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攻防(壱)

気付いた時にはもう遅かった。既に停滞者に囲まれた二人に容赦なく彼らの腕が伸びる。 「私の刀の餌食となれ」ゴエモンは刀を抜く。流派、[乾瑞流] 初代家元 イシカワ・ゴエモンは彼の愛刀、銘を[花芽丸かがまる]。その刀は。

波紋の揃った直刀。硬さと切れ味のみを追求した刀であるが、刀が反り返っているのは折れにくくする為である。それにあえて反した形状をしているのは、至極単純。厚さをまして遠心力を増加させ、薙ぎ払うからである。

「拙者が相手するでござるよ。拙者は忍者でござる。故に幾つもの戦線をくぐり抜けてきた。場数が違う。だから引き返すならば今でござるよ」忍者はそう言いながら、彼の武器、[忍者道具]

を取り出した。そしてその中から最もメジャーな道具、手裏剣を取り出し、構える。

「私の背中は任せた」

「拙者の背中を任せるでござる」


そして二人は、息を合わせて叫ぶ。「「行くぞ!逃げんなよ!!」」


☆☆☆☆☆☆☆☆☆★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆☆★★★☆★☆


大きく薙いだ[花芽丸]が最初に捉えたのは一際でかい停滞者だった。しかし、彼の花芽丸に対象の大きさも強さも関係ない。ただ、薙ぎ払うだけである。薙ぎ払われるだけである。『剣客』とヤシロは例えたが、実は、実際は違う。剣客では無く、剣豪だ。彼が剣豪たる理由はただ一つしかない。それは、天下一の剣の腕を持っているからである。

薙いだ先にまた別の停滞者。それの伸ばした腕を半身を剃らして躱す。そのまま一歩踏み込み、停滞者の喉を突く。突いてまだ刺さったまま刀を返し、上に斬り上げる。背後の停滞者には目もくれず、軍隊の本丸へと直進する。[ガッ!!]左から飛んで来る停滞者の魔力の塊を刀で弾き、術者へと返す。これが彼の魔法である。[完全反射]―飛び道具や遠距離攻撃を放った人物にそっくりそのまま返す。斬る、蹴る、殴る、等の直接的な物理攻撃はダメージを相手に返す。返すのはダメージだけであり、傷は付く。しかし、『完全に躱すことができれば』別である。躱す。返す。斬る。薙ぐ。払う。薙ぎ払う。ただそれだけの単純な行動の連鎖を繰り返す。それだけで停滞者に恐怖を味わせるのに十分だった。

停滞者は感情がある。人間との意志疎通が可能である。 だからこそ、停滞者は目の前にいる人間に―『イシカワ・ゴエモン』に対する恐怖が増していった。それを振り払うかのように、一斉に腕を伸ばし、魔力の塊を放った。そうなる事など予測できる訳が無い。故に油断して彼は魔法を解いていた。彼が気付いた時にはもう遅い。彼は無数の腕に、魔力の塊に―飲み込まれていった。


★★★★★★★☆☆☆☆☆☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆


TO BE CONTINUED.......

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