ハーライベンツ島
人々より、忌み嫌われる島。
その島の住人は、悪逆卑劣、外道の限りを尽くすーなどと、偏見の目を向けられていた。
そんな島に生まれた、一つの物語。
そんな島に産まれた、1人の物語。
少年は、産まれてすぐにこの島の事を理解した。
世界は、この島の事を嫌っていると。けれど、少年は。だから少年は。
この世界を嫌った。うんざりするくらい、この世界を嫌い、拒絶し、忌避して、恨んだ。
そして。
どうしようもないくらいに、絶望を孕んだこの島を。愛した。
それでも、当時の少年は世界を壊そうなんて考えなかった。
けれど。
少年の心理は、次第に崩壊していった。そして出来上がったのが、今の彼である。
元々、彼には全てが解っていた。
この、どうしようもなくくだらないせかいが。
いみもなくたにんをはいじょするせかいが。
自分を受け付けない事を。
自分を無価値と決めつけた世界。
そんな世界は逆に、彼にとっても無価値であった。
だったら壊しても構わない。そうして出来上がったのが[闇]であった。
「俺は―。闇の先に、絶望の先に、果の先にある物を見てきた。いつだってそこにあって、触れる事のできない、崇高な世界だよ。それを、人は何と呼ぶか知ってるか―?」
ヤシロは、一つため息をついて続ける。
「それを、人は、〈停滞〉って言うんだよ」
「けど―。もう良いよ。俺は。終わりにしよう―」刹那、爆発が起きる。
舞い上がる爆炎―爆煙の中で声がする。
「なんだ貴様ら!?」ルナの声だ。
「―っ!!くそっ!!」ヤシロの声だ。
「あいつらの言ってた事は―」ヤシロの声は、そこで途切れた。
しかしその後も金属音が響く。頭を割るような、高い音。それが四、五回した後には。静寂が訪れた。そして、煙が晴れると、そこには。ヤシロとルナ以外の隊長が倒れていた。
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「ん…ん?」ルナは目を覚ます。辺りを見渡すと、隣でヤシロが倒れていた。慌てて距離を取るも、この状況では、ヤシロが仕組んだことでは無いのが容易に理解できる。倒れている―とはいえ、ルナにとってこれは又とないチャンス。そっと目を閉じて―。そして。誰も触れた事のないその柔らかな唇を、ヤシロへと近付けていく。
そして。人類最強と[闇]は。互いの総意では無いものの、産まれて初めての口付けをした。
この行為に意味を問うなら〈愛〉故の行為。
けれど、それは、誰にとっても意味の無い事だった。
〈カツン―カツン―〉と、靴の鳴る音。ルナは急いでヤシロを起こす。
「なんだ?ココ」とヤシロが言うのとほぼ同時に。フードを深く被った人物が、牢屋の前に立った。
そして。
「ようこそ、ハーライベンツ島へ」
と。その男は言ったのだった。
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TO BE CONTINUED……




