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ハーライベンツ島

人々より、忌み嫌われる島。

その島の住人は、悪逆卑劣、外道の限りを尽くすーなどと、偏見の目を向けられていた。


そんな島に生まれた、一つの物語。

そんな島に産まれた、1人の物語。


少年は、産まれてすぐにこの島の事を理解した。

世界は、この島の事を嫌っていると。けれど、少年は。だから少年は。


この世界を嫌った。うんざりするくらい、この世界を嫌い、拒絶し、忌避して、恨んだ。

そして。

どうしようもないくらいに、絶望を孕んだこの島を。愛した。


それでも、当時の少年は世界を壊そうなんて考えなかった。

けれど。

少年の心理は、次第に崩壊していった。そして出来上がったのが、今の彼である。


元々、彼には全てが解っていた。


この、どうしようもなくくだらないせかいが。

いみもなくたにんをはいじょするせかいが。


自分を受け付けない事を。


自分を無価値と決めつけた世界。

そんな世界は逆に、彼にとっても無価値であった。


だったら壊しても構わない。そうして出来上がったのが[闇]であった。


「俺は―。闇の先に、絶望の先に、果の先にある物を見てきた。いつだってそこにあって、触れる事のできない、崇高な世界だよ。それを、人は何と呼ぶか知ってるか―?」

ヤシロは、一つため息をついて続ける。

「それを、人は、〈停滞〉って言うんだよ」


「けど―。もう良いよ。俺は。終わりにしよう―」刹那、爆発が起きる。


舞い上がる爆炎―爆煙の中で声がする。


「なんだ貴様ら!?」ルナの声だ。

「―っ!!くそっ!!」ヤシロの声だ。


「あいつらの言ってた事は―」ヤシロの声は、そこで途切れた。

しかしその後も金属音が響く。頭を割るような、高い音。それが四、五回した後には。静寂が訪れた。そして、煙が晴れると、そこには。ヤシロとルナ以外の隊長が倒れていた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


「ん…ん?」ルナは目を覚ます。辺りを見渡すと、隣でヤシロが倒れていた。慌てて距離を取るも、この状況では、ヤシロが仕組んだことでは無いのが容易に理解できる。倒れている―とはいえ、ルナにとってこれは又とないチャンス。そっと目を閉じて―。そして。誰も触れた事のないその柔らかな唇を、ヤシロへと近付けていく。


そして。人類最強と[闇]は。互いの総意では無いものの、産まれて初めての口付けをした。


この行為に意味を問うなら〈愛〉故の行為。


けれど、それは、誰にとっても意味の無い事だった。


〈カツン―カツン―〉と、靴の鳴る音。ルナは急いでヤシロを起こす。


「なんだ?ココ」とヤシロが言うのとほぼ同時に。フードを深く被った人物が、牢屋の前に立った。

そして。


「ようこそ、ハーライベンツ島へ」


と。その男は言ったのだった。


★★★★★★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


TO BE CONTINUED……

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