対峙
彼女には、彼がどう見えたのだろう。
彼には、彼女がどう見えたのだろう。
わからない。知りたくもない。彼女は、こう言った。
「命なき者に価値はない」―と。例えそれが愛した人の命であっても。価値など―無い。
彼女には、大好きな人がいた。その彼には、また、好きな人がいた。一方通行の、想いだった。届く筈が無かった。心が折れそうなくらいに、愛して、愛した。それは、そう―。
殺したいくらいに恨んだのと、同じくらいに。
[闇]は、母を殺した。皇帝と一般人の間に産まれた自分は、何となく。それとなく。解っていた。―様な気がした。曖昧で、不鮮明且つ意味不明だが、これが一番わかり易い表現―比喩なのだ。察してくれとは言わないが。せめて。せめて。せめて。
想いに応える事くらいは出来た筈だろう―と。殺したいくらいに恨んだのだった。
彼からすれば、それは迷惑だった。意味が解らない。その感情に応える気など毛頭無かった。どうでも良かったと言えば嘘だが、けれど、どうとでもなれば良かったのだ。
わからない。頭の中が混乱してくる。
何にも考えたくない。けれど、ここまで来たのだから。決心してヤシロは、ルナの部屋の扉を開けた。
刹那―飛んで来る〈天獄〉の雷撃。それを素手で弾き飛ばす。
「、、、」無言でヤシロを睨みつける彼女。
無言で扉を背に立ち続ける彼。
暫く、何も起きなかった。ただ、二人は無言でいた。
「生きてたのか…」ルナは言った。頷く。
「禁技か…」頷く。
何故か落胆したように、下を向く。
彼女の心が読めない。わからない。けれど、ヤシロにとってそれは二の次。一番は。
「あなたの心臓に突き付けてあるその〈天獄〉を置いたらどうですか?自殺がこの僕に脅迫の意味を持たない事はお分かりですよね?」
自分の心臓に向けられた天獄は、既に発射ができる状態となっていた
★★★★☆☆☆☆☆☆☆☆★★☆☆☆☆☆☆☆☆
TO BE CONTINUED……




