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流転

僕は、恥の多い生涯をおくってきた。

―まるで、そう。それこそ、人間失格だ。

誰かのために走り続ける事なんてできやしない。

だから、僕は、あの話が大嫌いだった。

他人の為に何も出来ない自分と、妹の結婚式の為に、身代わりの友人の為に走る彼が、酷似していたから。まるで、鏡だ。けれどそれは、マジックミラーであって、向こうからしか見えない。僕に見えるのは、醜い、この醜態だけ。


虎になりたいと思った。旧友に、今の自分の境遇を語りたかった。誰をも寄せ付けぬ傲慢で醜い自尊心。そのせいで虎になったあの人も、まるで自分だった。だから、虎になんて成りたく無かった。


時折、自分には世界が広く見えた。狭く見えた。まるで、教師に拾われた、あの猫のように。世界の広さに心を踊らせ、同時に絶望した。最期に溺れるあの猫は、いったい何を思ったのか。結局わからなかった。それは、まるで、僕だ。


仕事を失い、絶望していた彼は、何を思って老婆の着物を剥いだのか。きっとそれは、彼の心に聞くしか無いのだろう。罪を犯して生きるのか。生そのモノが罪なのか。罰がなければ罪は正なのか。そんな事はどうでもいい。僕は。僕は。死んでいるんだから。けれど、僕は、何度でも。


罪に生きて、罰に死ぬ。


★☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆★☆★☆★☆★☆★☆★


変わらないものなんてあると思うかい?変わることに抵抗は無いのかい?変わる勇気が君にあるかい?変わらない彼女を受け入れられるかい?変わる君は変わらない彼女を受け入れる勇気と自信があるかい?答えが聞きたいだけさ答えが知りたいだけさ答えを聞きたいだけさ答えを知りたいだけさ疚しいことも疾しいことも下心も何もないさ応えてくれないか。うるさいよしつこいようるさいなしつこいな当たり前だろう僕は彼女を受け入れる勇気と自信があるさ答えを聞かせてやったよ答えを知らせてやったよ満足だろ十分だろ文句ないだろ充分だろ。そうだね十分だそうだよ充分さありがとうじゃあ次の質問だ君には停滞する勇気はあるかい?抵抗する勇気が君にはあるかい?決まってるさそんなことくらい怖いさ恐いさ恐ろしいさけれど全てが彼女のためなら僕は喜んでそれを受け入れるよだから僕は―停滞と引き換えにアンタを殺してやるよ。


★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★


果無き悠久の時の中で生命は流転する。その、森羅万象を覆す魔法―〈禁技―黄泉転身〉

ヤシロが目を覚ますと、そこは第一部隊の部屋だった。

「痛ぇ」そう言って彼は立ち上がる。体が訛ってる。節々の痛みを堪えて、辺りを見渡す。そこには、第一部隊のメンバーとエヴァがいた。

「隊長!!」爆弾魔が叫ぶ。頭が痛い。頭が重い。ぐらぐらする視界の中でそれを彼女となんとか認識する。気持ちが悪い。吐きそうだ。けれど、堪える。ガンガンと響く頭を抑えて、「心配掛けて済まない」と、謝った。―誤った。


生まれて来る世界を―過った。


「ラデン。停滞者の状況は?」あの場所で、あれだけ禁技を連発した。魔力に寄せられて集まっているはずだ。

「〈雷帝〉が殲滅したよ」

なるほど―と、ヤシロは納得する。魔法が使えない、雷遣い。周囲の静電気を身に纏った機械で増幅させて放つ一撃は、刹那で宮殿丸々一つを破壊できる。帝都の約四割を占める宮殿を、たった一撃で。


魔法ではない、〈力〉


「で、隊長。ルナの所に行った方が良いよ。彼女―かなりキケンだから」


その言葉の意味が良くわからない。キケン―?なんの事だ。そもそも彼女には、ヤシロが目障りだったはずだ。エヴァに加担する、この、[元停滞者]が。ならば、

「行く理由がないだろ」と。無感情のままで言い切った彼は。彼の瞳は。


未だに紅く滾っていた。


☆☆☆☆★★★★☆☆☆☆★★★☆★☆☆★★★


TO BE CONTINUED……



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