序章
はじめまして。大国と申すものです。
この物語は、単なるノリと思い付きだけが原動力のあほっぽい、ラブコメディー(?)風のファンタジー小説です。
誤字脱字はご勘弁ください。そのうち直すと思いますゆえ。たぶんね。
楽しんでいただけるとこちらもうれしいので、たくさん楽しんでください。そしてメッセージで感想ください。野望がちらつくそんな小説です!
―序章―
抉るような痛みが腹部に刺さる。
白衣の男の蹴りが入った、と気づいたとき。
吉月恵、広島県広島市大野中央高校普通科所属二年生。イケメンでもない美少女アニメとエロゲ好きのお盛まっしぐらな隠れオタク。
つまり俺の人生は終わった。
閃光が確かに目の奥側で爆ぜ、猛烈な痛みと激痛を一瞬だけ感じ、さらに言えばアニメでもなかなか聞いたことのないような「ゴッキュン」というような音を耳が捉えたのを最後に俺は俺を見た。
そこに横たわっていたのは、白目をむいて口からよだれと大量の血液を零し、血まみれになった階段の踊り場でケツを天井に突き出してあり得ない格好で倒れている「俺」だったもの。そのものだった。
なんだかもうちょっとましな格好で死ねなかったんかなー、と思っていると周囲が一気に色を変えた。
世界はすべて闇に包まれ、俺はただ暗がりの中を一人っきりで漂っていた。
思い返せば悪くない人生だった。いや、むしろ最高の人生だったかもしれない。
大嫌いな期末テストの前日に死ねたし、「ビンビンシャワー天使明日香の秘密」の最終回も見れた。あれは感動の結末だった。
けれど残念なのは、何故に美少女アニメ「レイティアの涙。再来」のDVDを予約購入しに行った先でわけのわからん男に蹴られて、階段から落ちて死なねばならんのかという不満だった。
いや、不満どころではない。
俺は今日この日のことを、魂に刻むと決心した。
バイトでへらへら頭を下げて、使えもしないクソ従業員の代わりにあくせくレジを打っていたのは、学費を稼ぐためでも携帯料金を稼ぐためでも、家庭にお金を入れるためでもない!
すべて俺、この俺の趣味につぎ込むために、アルバイトをしていた。
だのに、だ。
なぜそのバイト代で買うはずだった、もう一度言うが「レイティアの涙。再来」を再生して初回限定版のエロゲすれすれのセクシーポーズしたフィギアをニヤニヤ眺めて悦に浸るという、この俺の願いや夢を打ち砕かれなければならなかったのか!!
許すまじ、俺を殺した奴。
ほとんど覚えてないが、薬品くさい学校の理科の教師のような白衣を着た長身の男だ。我先にというように階段を俺を押しのけて駆け上がり、俺が運悪く、―――この日は本当に運が悪かった。ともかく―――切れた靴紐を結び直して階段を上がろうとしていたら、「邪魔だ」の一言で容赦なく俺の腹部に蹴りを入れてきやがったあの男!!
『マジ、許すまじ!!』
その時ふと、声が聞こえた。
かすかに、俺を呼ぶ、懐かし・・・くは全然ない声だ。
俺を呼んでいたのは、父でもなく、母でもなく。七才歳の離れた兄でも、隣の家に住むセクシーおねーちゃんでもなく、ちょっと色っぽい高校の担任の先生でもなく、聞き覚えがあるようでないような。そう、これは―――。
『あ。俺の好きなアニメ声優の声!!』
跳ね起きた俺を世界は優しく喜んで迎え入れてくれた。
ただし―――。
世界を救う美少女戦士、として―――。