悲しい涙を見せたくない
今回は霊夢視点。今後視点変更があるかは謎ですが、書きたい事は書けたと思ってます( ^ω^)
「霊夢ちゃん」
五年前、急に聞けなくなった声がそこにあった。
その姿はあいかわらず私より年上のくせに少し小さい。だけど、五年間ひと時も忘れずにいた笑顔は今もそのままで。
思い返せば太助さんとはいつからの出会いだったろうか。
物心がついた頃にはすでに一緒に遊んでいたと思う。そう、魔理沙よりも先に出会っていたのだ。
紫が連れて来た時だけ、まぁ、連れてこないと来れない太助さんだけど。連れて来た時だけ会える兄妹の様な関係だった。
いつも私の事を見守ってくれていた。振り向けば、いつも笑顔で居てくれた。
ずっと過ごしていく中で、気がついたら好きになっていた。
太助さんには霊力や戦う力は無かった。だから、私が太助さんを守ろうと誓った。
だけど、太助さんは急に居なくなった。いや、紫が逆神隠し。結界の外に連れて行ってしまったのだ。
当時の私は何にも例えようのない怒りを覚え、紫に食ってかかったのは今でも覚えている。異変が起きる? 妖怪に襲われる? そんな事無い。私が全部守ってみせるって。
どれだけ言っても、紫は太助さんを帰す気は無かった。ならどうしたら太助さんは帰ってくるのか聞いた。
そしたら、霊夢が強くなりなさい。スペルカードルールを浸透させ、異変を解決させ、妖怪の抑止力になれる様にと言われた。
それからは修行の日々だった。紫に鍛えられ、藍にも鍛えられ、空いた時間は自分で鍛え。
そして五年の時が過ぎた。魔理沙と出会った時には免許皆伝とは言わないまでも、それなりの力を身につけていた。
レミリアが起こした異変、紅霧異変を乗り越えスペルカードルールは完全に定着した。
これにより、紫から太助さんを呼び戻すという言葉を聞き私は心から喜んだ。
また、大好きな声が聴ける。また、大好きな笑顔が見れる。その気持ちでいっぱいだった。
呼び戻すの言葉から数日が経ち、紫は嘘ついたのかしらと思っていた矢先藍が現れた。
「太助が帰ってきたよ、霊夢。今、外に居る」
その言葉を聞いた瞬間。考えるより先に体が動いた。
外へと駆け出す私。そして、逢いたくて逢いたくてしょうがなかった人物の目の前に立つ。
「久しぶり、霊夢ちゃん」
そう言って笑顔を見せてくれた太助さん。
頭の中は真っ白だった。何も考えつかなかった。
気がついたら涙がポロポロとこぼれ落ちていた。何で泣いているのだろう。
そっか。嬉しいんだ。太助さんに逢えて、嬉しいんだ。
「ぐすっ……ひっく」
「れっ、霊夢ちゃん!?」
泣き出した私に太助さんが駆け寄ってきた。そして、肩に手を置いた彼に思わず抱きつく。
「太助さん……太助さんだぁ」
太助さんは戸惑いつつも私の頭を撫でてくれた。その優しさに、私は笑顔になった。
女の子視点の小説とか難易度高杉(´・ω・`)