彼女の事を知りました
私には狂気とは何か。狂気とはこう言うものだと言い切る知識がありません。
なので、フランは狂っていない前提で書かせてもらいました。ご理解いただけると助かります。
さてさて。フランドールスカーレットさん。
彼女の部屋で少しの間会話をしました。
どうやら彼女は姉のレミリアさんの事は姉とは認識しているけどそれ以上の感情が無いみたいだった。
いや、それを言えば紅魔館全体に対してかな? どうも、家族や友達を始め相手に関する興味が薄いようで、その反面知識としてはどんどん吸収している。
探究心は無いようで知識欲はあって、対人関係に興味は無いけどどんな人物かは興味ある。何とも不思議な感覚。
「否定している訳じゃないけど、フランドールさんみたいな考え方。始めてだから新鮮だよ」
「そう? 私はずっとこうだから判らないわ」
暫く話をしていると霊夢ちゃんが迎えに来た様で、咲夜とパチュリーさんと一緒に部屋に訪れてきた。
「もう帰るの?」
「そうだね。お腹も空いてきたし日も傾いて空が赤くなっているみたいだから」
「そう。吸血鬼の私が言うのも何だけど、元気でね?」
「うん。半人半妖の僕が言うのも何だけど、元気でね?」
フランドールさんの言葉に僕がそう返すとちょっとの間キョトンとした顔をして、変なの。って笑ってくれた。
「あまり笑わないのかと思ったけど、可愛く笑えるんだね。また来るよ」
そう言うとまたキョトンと……、いや、ピタッと止まった。何だろう?
霊夢ちゃんと咲夜に何か愚痴なのか何なのか判らない事をブツブツ言われながら退室し、扉を閉めながらパチュリーさんが呪文を唱える。
そんな多重音声の中、フランドールさんの声が聞こえた気がした。
「そう言って、誰も来ないじゃない……人間の魔法使いだって、巫女だって私にじゃない。それに…………お姉さまだって…………」
気がした。そう、その声を聞いたのが何故か僕だけだったから。
固まった僕と咲夜がどうしたの? と心配そうに聞いてくれたし、パチュリーさんは扉に抵抗力を与えると言う封印を終えて一息ついていた。
気づいていない振りとは思いたくない、聞こえなかった。僕はそう思ったし、実際に後々聞いた霊夢ちゃんの話では聞こえていなかったみたいだった。
霊夢ちゃんの所で夕飯をいただいた後に家に帰った僕は、紫お姉ちゃんと藍お姉ちゃんを捕まえた。
何故か嬉しそうだったけど、フランドールさんについて質問をしてみたら明るい雰囲気が真面目なものに変わった。
そして彼女について判った事。
一つ目。その身体能力は姉のレミリアさんを上回る程。
二つ目。彼女の能力は『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』である。
三つ目。その能力の危険性故、幼いうちから誰も近寄らない地下室へと軟禁。閉じ込めてはいないし、たまに部屋を出て屋敷内を歩く様ではあるがあまり積極的には部屋を出ない。
四つ目。部屋を出た際に遭遇した仕事を与えられている妖精を前触れもなく死なせたり、物を破壊する。
五つ目。狂気じみた無差別な殺傷、破壊行動に姉であるレミリアさんも接触が少ない。
そこまで聞いた僕は話を終え、また聞く事があるかもしれないと言って自室に戻った。
「フランドールさんの狂気って……ただ単に価値観の相違なんじゃないかな?」
そう、少しの間とは言え会話をした限りでは、彼女は非常に頭が良い印象だった。いや、寧ろ知識だけは豊富だったと言うべきか。
能力が危険だから軟禁してあまり関わらなかった? 違うでしょ。
命の尊重が出来ない? 違うでしょ。
狂気じみた無差別な殺傷に破壊? 違うでしょ。
彼女は、フランドールスカーレットは、ただただ、知らないだけ。
他者との繋がり。物の価値。家族とは何か。友達とは何か。命とは。
安易に壊せる能力を持った彼女は教育をされず、知る環境が無く、他者との繋がりが無い彼女は尊重をする事も出来ない。
知識が豊富で頭の良い彼女は、ただただ知らないだけ。
それは思い上がりかもしれない。優越感だったのかもしれない。
だけど、それでも、僕は彼女に他者の温もりを教えたいと思った。
真面目にやってるようでいて、大事な部分を省いて続きを投稿するんだろうなw




