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早速だけど、風邪引きました

作者も風邪引きました。(||´Д`)o<ゴホォッ!





 瞳を閉じている。風を感じる。


 瞳を閉じている。草、土の匂いを感じる。


 瞳を閉じている。風になびく草の音が聞こえる。


 そして、瞳を開いた。



「うわぁ……」



 目の前に広がる自然。草原の向こうには森が見え、森の向こうには山が見え、そして視界一杯に青い空が見えた。



「ようこそ。幻想郷へ」



 気づいたら後ろに立っていた紫お姉ちゃんがそう言った。



「ただいま。幻想郷」



 そんな紫お姉ちゃんに僕は言い返してあげた。二人の顔は、笑顔だった。






 結論から言いますと、風邪を引きました。


 幻想郷に帰ってきてから二日目。環境の変化に着いていけなかったからか発熱。


 朝から紫お姉ちゃんと藍お姉ちゃんが大慌て。迷惑を掛けてしまって御免なさい。



「何、気にする事は無い。太助は黙って私達に甘えれば良いのだからな」



 そう言いながら、濡らした布を額に載せてくれた藍お姉ちゃんの優しさが染み入ります。



「そうよー。私達に任せて、太助は安心して寝ていれば良いのよ」



 ありがとうございます紫お姉ちゃん。だけど、気のせいじゃなかったらずっとこの部屋に居るだけでやる事なす事全部藍お姉ちゃんがやってる気がするんですが?



「あら? 何の事かしらー」



 あ、目をそらした。



「普段から何もしていないお方だからな。こういういざと言う時にどうしたら良いのか判らないと言う事もあるさ」



 なるほど。流石藍お姉ちゃん。合点がいきました。



「ちょっ! 二人共酷くないー!?」


「当然の事かと」



 らしいですよ、紫お姉ちゃん? 藍お姉ちゃんって昔っから紫お姉ちゃんの式なのに厳しいよね。



「主だからこそ、しっかりしていただきたい。そう言う思いなんだよ、太助」



 なるほどー。ところで、さっきから僕一言も喋ってないのに会話が成立しているね?



「気にしない気にしない」


「そうですね。私達だから出来る事ですから」



 ……なるほどー。



「ゴホッゴホッ! ゴヘハッ!!」


「! 大丈夫? 太助」


「うん、ちょっと咳をしただけだから」


「たかが咳だと思うな。どれ、栄養をつけなければな……おかゆを作ろう。少し待っているんだぞ」


「うん、ありがとう。藍お姉ちゃん」



 藍お姉ちゃんはそう言うと台所へと行ってしまった。言った通りにおかゆを作ってくれるのだろう。


 紫お姉ちゃんはさっきの話を気にしてか、額の乾いてきた布をぎこちない手で取り替えてくれる。慣れていないその手つきに思わず笑みがこぼれてしまう。



「あら、急に笑い出してどうしたの?」


「ううん。なんでもないよ、ただ……ありがとうって思って」


「そう……病人が遠慮するんじゃ無いわよ?」


「うん」



 何て言うか、昔から変わらず。優しい二人で居てくれた事がただただ、嬉しかった。






「おかゆが出来たぞ、太助」


「ありがとう、藍お姉ちゃん」


「何。このくらいお安い御用さ」



 そう言ってテキパキと茶碗と、スプーンと言うか木製のレンゲみたいな、とにかく木製スプーンを用意してくれた。


 梅がゆだった。すでに種は取り除かれていて食べやすくしていてくれた。早速食べようと体を起こし、それを受け取ろうと腕を伸ばす。……避けられた。



「藍お姉ちゃん?」


「感覚が覚束無い(おぼつかない)だろう? 私が食べさせてあげよう」



 そう言って一口分すくい上げ、フーフーして差し出してくれた。


 ……さすがに恥ずかしい!



「い、いや。大丈夫だよ? 一人で食べられるから」


「まぁ、そう言うな。ほれ、アーン」



 紫お姉ちゃんに助けを求めようとそちらを見ると、……ニヤニヤしていた。


 絶対面白いって思ってるな!



「紫お姉ちゃんなんて嫌いだ」


「ええ!?」



 僕は観念して藍お姉ちゃんに食べさせてもらう事にした。



「美味しいか?」


「うん」


「ら、藍? 私もやりたいんだけど」


「藍お姉ちゃんが良い」


「え? 太助?」


「太助?」


「紫お姉ちゃんは嫌いだから藍お姉ちゃんが良い」


「太助ェ……」



 紫お姉ちゃんが手と膝を着いて「おおぉぉぉぉぉ」って唸っているけど気にしない。


 藍お姉ちゃんにそう虐めてやるなと小声で苦笑されたけど知らない。


 紫お姉ちゃんなんて、好きだけど嫌いだ。






こんな看病してくれる人が欲しいです(*∠_*)

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