幕間:森の奥
幕間二つ目です、、これは入れといたほうがいいなってので入れました!この後は本文に戻ります!
森の奥は静かだった。風は吹いている。木々も揺れている。だが音が少ない。鳥がいない。小動物もいない。
本来なら夜の森はもっと騒がしい。虫の羽音、獣の足音、枝の折れる音。それらが重なり合い、森は常に生きている音を立てている。
だが今、この森にはそれがない。静けさだけが残っていた。地面には古い骨が散らばっている。鹿の骨。猪の骨。小動物の骨。どれも綺麗に砕かれていた。噛み砕かれた跡が残っている。普通の獣ではこうはならない。骨の太さが違う。力が違う。
森の奥、倒木の影で巨大な影が動いた。低い息。重い体。地面がわずかに沈む。猪の姿だった。だが普通の猪ではない。体は異様に大きく、背中の毛は針のように硬い。牙は長く湾曲し、石を削れるほど太い。鼻先が地面を嗅ぐ。土の匂い。血の匂い。獣の匂い。だがこの森にはもう獣が少ない。食べるものが減っている。
影はゆっくり歩き始めた。一歩ごとに土が沈む。枝が折れる。だが逃げる獣はいない。逃げるものはもうほとんどいないからだ。森の生き物は気づいている。この森には新しい支配者がいる。強すぎる捕食者だ。鹿は逃げた。猪も逃げた。狼も森を離れた。それでも残ったものは、すべて食われた。巨大な猪は歩きながら木に体をこすりつける。樹皮が剥がれ落ちる。木が揺れる。普通の猪ならここまでの力はない。森の奥の空気がわずかに歪む。腐った匂い。湿った鉄の匂い。血と土が混ざった匂い。巨大な猪の目が暗闇で光る。
そこには獣の理性しかない。だが同時に、普通の獣とは違う何かが混じっていた。森のさらに奥。誰も入らない場所。そこからこの変化は広がっていた。最初は一頭だった。だが時間が経つにつれ、森は変わった。獣が変わった。身体が歪み、大きくなり、凶暴になった。
変異体。人間はそう呼び始めている。巨大な猪は森の境界へ向かって歩いていた。食べ物を求めている。森の獣は減った。ならば次は別の場所へ行く。森の外。そこには畑がある。家畜がいる。人間がいる。そして人間の集まる場所がある。
城壁に囲まれた都市。アルディア。巨大な猪は歩く。重い足音が森に響く。木々の間から、かすかに街道が見えた。人が通る道だ。森の静けさの中で、風が一度強く吹いた。葉が揺れる。その音に紛れ、巨大な影が森の奥から街道へ近づいていく。まだ誰もそれに気づいていない。だが時間の問題だった。森の異変は、もうすぐ人間の世界に届く。
※この小説は作者の完全な自己満です。




