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目覚め

1話修正終わりいい!!今日は徹夜じゃい!!筆が乗ってきた!!

 目を覚ましたとき、最初に見えたのは見知らぬ木の天井だった。

 黒ずんだ梁と粗く削られた板。どこか古びた匂いがする。


 男はしばらく瞬きを繰り返しながら天井を見上げていた。ゆっくりと身体を起こそうとした瞬間、奇妙な違和感が走る。身体が軽い。あまりにも軽すぎる。腕を持ち上げると、そこにあったのは皺のない若い手だった。指を曲げると素直に動く。関節の痛みもない。膝も腰も痛くない。思わず声を出す。『……?』自分の耳に届いた声は、記憶にあるものよりずっと若かった。低く枯れた老人の声ではなく、若い男の声だった。


 男はゆっくりと周囲を見回す。部屋は簡素だった。木の壁、粗末なベッド、小さな机。どれも見覚えがない。それどころか、この空気、この匂い、この空間のすべてが知らないものだった。

 男は自分の手を見つめた。小さい。確かに若い。だが指の動きには覚えがある。弓を引くときの指。罠を仕掛けるときの手。獲物を解体するときのナイフの握り。身体は違っても、長年染みついた動きは消えていない。


 その瞬間、記憶が蘇る。山の匂い。湿った土。枯れ葉を踏む音。焚き火の暖かさ。自分は山にいた。夜の山で焚き火を起こし、静かな時間を過ごしていた。八十を過ぎた身体だったが、不思議と苦しさはなかった。少し眠くなり、そのまま目を閉じた。そして――それが人生の終わりだったはずだ。


 だが今、自分はここにいる。若い身体で、知らない場所に。

 レンが状況を整理しようとしていると、扉が開いた。数人の男たちが部屋に入ってくる。粗末な服装の男たちだった。農民のような雰囲気だ。彼らは男を見ると何かを言った。だが言葉が理解できない。聞いたことのない響きだった。


 彼らは互いに顔を見合わせ、再び男に話しかける。やはり分からない。男は首を振るしかなかった。しばらく奇妙な沈黙が続く。やがて一人の老人が男の肩を軽く叩いた。落ち着け、という仕草だった。そしてゆっくりと胸を指差し、言った。『レン』短い言葉だった。それが自分の名前なのだと直感的に理解する。老人はもう一度言う。『レン』 

 男はゆっくりとうなずいた。「……レン」自分でもその名前を口にする。老人たちは安心したように笑った。どうやら意思疎通の第一歩は成功したらしい。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 数日が過ぎた。レンは少しずつこの世界に慣れていった。言葉も簡単なものは理解できるようになり、周囲の状況も見えてくる。ここは小さな村だった。森に囲まれた辺境の村。農業と狩りで成り立っている。自分の身体は二十歳前後の若い男らしい。そして名前はやはり『レン』だった。なぜ自分がここにいるのかは分からない。


 だが一つだけ確かなことがある。自分は死んだ。そして今、別の人生を生きている。

 レンは村の外れに立ち、森を見つめていた。深い森だった。木々は高く、影は濃い。風が吹くと葉がざわめく。

 その音を聞いた瞬間、レンの身体が自然に反応した。風向きを読む。匂いを確かめる。足元の土を観察する。完全に無意識の動きだった。狩人としての習慣が身体に残っている。

 レンは小さく息を吐いた。「……やっぱり森か」前世でも森だった。鹿を追い、猪を追い、罠を仕掛け、季節ごとに山を歩いた。狩人としての人生だった。

 八十まで山を歩いたのだから、十分すぎる人生だったはずだ。


 だが今、もう一度森がある。レンは森を見つめた。静かな森だった。だが同時に、どこか違和感があった。獣の気配。鳥の鳴き声。風の流れ。どれも普通の森に見える。だが長年森を歩いてきた経験が、かすかな異常を告げていた。何かがおかしい。まだはっきりとは分からない。だが確かに違和感がある。レンは目を細める。狩人は森の変化を見逃さない。ほんの小さな異変でも、それはやがて大きな危険につながる。しばらく森を見つめた後、レンは小さく笑った。「まあ、いいか」どうせまた森を歩くことになる。ならば、そのときに確かめればいい。

 レンはゆっくりと村へ戻り始めた。第二の人生は、どうやらまた森から始まるらしい。

※この小説は作者の完全な自己満です。

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