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好きかわからないまま、結婚した

作者: 椎井 ナナ
掲載日:2026/02/04

初投稿です。わざと漢字変換にしなかった部分があるので、その点のご指摘はご容赦ください。

結婚して八年で離婚した。

「やっと」という言葉が、いちばん近い。


好きで結婚したのかどうか、今でもわからない。

恋人がいないまま年齢を重ね、周囲の友人や同僚、後輩たちが次々と結婚していく。その流れに取り残されるような感覚だけが、じわじわと私を追い詰めていった。

「子どもが生まれた」「二人目ができた」

その報告を聞くたび、胸の奥で形のない焦りが膨らんだ。


私はもともと、人と深く関わらない生き方を選んできた。

学校や職場が変われば関係も終わる。

浅く広く、去る者は追わない。

人間関係に線を引くのは、傷つかないためだった。

だから、結婚できなくてもいいように、安定した仕事を選んだはずだった。


それでも、子どもを産んでみたいと思った。

その願いを叶えるには、結婚が必要だと考えた。

今で言うマッチングアプリのような場所で、何人かと会って、何度か嫌な思いをして、元夫と出会った。

付き合って、妊娠して、結婚した。


家族になって、楽しい時間は確かにあった。

男の子二人に恵まれ、賑やかな毎日は、幸せと呼んでもよかったのだと思う。

ただ、その裏で、少しずつ感じていた違和感から、私は目を逸らしていた。


元夫は、配慮ができない人だった。

暴力はない。

けれど、納得するまで子どもを責め、自分の理屈を押し付け、幼い子どもにさえ優位に立とうとした。

自分が病気のときは心配されることを当然とし、私や子どもが体調を崩すと、自己管理ができていないと嗤った。


そこに悪意はなかった。

だから、余計に苦しかった。

悪意があれば、怒る理由になる。

でも、悪意がない人は、傷つけた自覚すら持たない。


私は何度も話した。

お願いもしたし、気持ちも伝えた。

それでも変わらなかった。

気づけば、嫌いになり、最後には諦めていた。


私にとって彼は「いらない人」になった。


育児と家事を抱えながら働くのは簡単ではなかったが、仕事を辞めなかった自分を、今は少し誇らしく思っている。

子ども二人は、私が引き取った。


元夫は

「母親と離れるのはかわいそうだ」

と言った。

けれど、それはきっと、彼自身が父親になる覚悟を持てなかっただけなのだろう。

私は、心の中で静かにため息をついた。


正直に言えば、私も無責任だった。

「子どもを産んでみたい」という願いを、深く考えきれなかった。

それでも、今さら過去をなかったことにはできない。


夜、子どもたちが眠る静かな部屋で、私はふと思う。この選択が正しかったのかどうかは、まだわからない。

でも、これからもどう生きるかは、自分で決めなければいけない。


朝になれば、また忙しい一日が始まる。

子どもたちは笑い、泣き、成長していく。

その側に、私はいる。


私は、これからも生きていく。

子どもが成長し、独り立ちしても一人で生きていく。

でもそれは、孤独とは違う。

誰かに合わせて自分を削る人生ではなく、

自分の足で立ち、前を向いて歩いていく人生だ。


窓の外が、少しずつ明るくなっていた。

新しい朝は、もう始まっている。

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