あっち
あっち
オウムアムアは2017年に発見された史上初の恒星間天体だ。ハワイ語で遠方からやってきた最初の使者を意味する。文字の区切りはオウ・ムアムアでオウム・アムアではない。
それが何だったかは未だに解明されていない。分かっているのは数100mの大きさと 7.3時間かけて10倍の明るさの変化があった。つまり太陽光を反射して、ゆっくり回転している事になる。葉巻型か薄いパンケーキのような形らしい。単純回転ではなく 複数の回転軸がある。多軸回転だから近くの恒星の光を、スポットライトの様に縦横360度に方向性を持つ反射をさせている。
太陽の近くを迂回し離れる時に、非重力的な加速が観測された。氷系彗星は恒星の光が当たる全ての面からガスが一斉に吹き出る。恒星に近づけば強く噴き出し離れれば弱く噴き出す。つまり離れれば加速度は下がる。しかしガスの噴出などの痕跡は観測されなかったから氷系彗星ではない。
球状ではない。スィングバイした。理解不能な加速。偶然と言ってしまえばそれまでだが、3つも重なるのは不自然すぎる。棒状でもパンケーキ型でも縦横の比率が10倍なのは、作為的だ。太陽は天の川銀河を回っていて、銀河レベルの思考で恒星を利用したスィングバイを行った。多軸回転なのに一定方向にタイミングを合わせ何かの力が発生した。3つだけの偶然しかないから、地球に生命が誕生した偶然の確率よりはずっと高い。偶然で片付けていいのだろうか。どうしても、あっち方向で考えてしまう。
もしも地球に生命がいる事を知っていたら、定期的に観察しに来るだろう。まず発見してくれるレベルなのか。発見したら追従してくるレベルなのか。何らかのコンタクトを試みてくるレベルなのか。どんな文化レベルでコンタクトをしてくるのか。そう考えているに違いない。
もしもオウムアムアにセンサーを装備していても何も反応しなかっただろう。窓に小石をぶつけて、「来たよ」って知らせて来たレベルだ。「何だろうか?」と窓から外を見ていない。今までは、小石の音にさえ気が付いていなかった。今回は、「ん?」レベルか。
そもそも、まったく異なる文明との意思疎通はどうするのだろう。数学、物理、化学は共通の原理と聞く。文字、絵、物の単位の認識は文明で異なるはずだ。数字を扱うにしても、10進法を使っているかも分からない。10進法を使っている事をどうやって知らせるのだろうか。小さな丸を10個集め繰り上がりは大きな丸にするのだろうか。
約50年前のボイジャーに乗せたゴールドディスクのジャケットの絵を見た。どれだけの人があれを見て理解できるのだろうか。人間レベルでは理解できなくてもいいと思っているのだろうか。再生するには、宇宙空間から大気のある地上または宇宙船の中へ持っている必要がある。ボイジャーの本体の大きさは2m以下、パラボラアンテナも4m以下だ。そんな小さな物体を発見し、壊さず運ぶ技術が必要だ。
ボイジャーは直接惑星に降りる事を想定していない。大気のある惑星では燃え尽きてしまう。大気がなければ高速で地表に衝突して木端微塵だ。宇宙空間で捕捉され壊さず運搬される事を想定している。つまり今の地球文明よりはるかに進んでいなければならない。
オウムアムア2が来た時、コンタクトに成功したら何が起きるのだろう。敵対したと勘違いされれば、太陽系第3惑星は地図から消滅するかもしれない。レベルが低すぎて、まったく相手にされないかもしれない。交流に成功し、一気に文明開化するかもしれない。宇宙への進出! ワクワクする。
昨日より素敵な明日に出来ますように