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13話


 帰隊してから1週間が経った。この1週間は、日中は仕事に行き、帰宅後に舞踏会にむけての特訓の日々をおくっていた。


 本日は舞踏会当日。今は夕時。場所は王城へ向かう馬車の中。もう目的地は目と鼻の先だ。

 クラウディアは揺れる車内で目の前に座るアーサーと横に座るエミリアをちらりちらりと見た。そうして、数日前にあった彼らとの会話を思い出す。




 ーーーーいい? この舞踏会は、ホウノ国に歓迎の意を示す友好の証として開催されるんだ。だから、落ち度があってはいけない。


 ーーーーああ。


 ーーーー………今のままだと良くないな。まず、その言葉遣いと態度を女性らしくしたほうがいい。君は……僕達は、名門フィンレー家の人間なのだから。


 ーーーーそうそれ! 今のままじゃ、ただの男子中学生だもんね。それに……せっかくこんなに可愛いんだから、オシャレしないともったいないじゃん。


 ーーーー……エミリーも言葉遣いを直したほうが良さそうだな。2人とも、舞踏会まで所作・言葉遣いを徹底してやろう。他にディアは、ダンスは覚えているだろうか? 細かなマナーは? 覚えていないこと、知らないことはこの1週間で全てマスターしよう。




 こうして、兄・アーサーによる対舞踏会レッスンをみっちり仕込まれた。そうはいっても元々踊り慣れていたのか、覚えるのにそこまで苦労はしなかった。舞踏会のマナーも特に言うことなし。



 それでもクラウディアの気持ちは晴れないのは、普律(フリツ)との庭園での出来事が脳裏を離れないからだった。



 庭園で結界膜を張られたのを見計らって、隊長は右の手のひらから炎を噴出させた。それから魔法の使い方を軽くレクチャーして、いざ魔術を使わん!とクラウディアが言われた通りに仕掛けてみせたが、まるっきりウンともスンともならない状態を繰り返した。

 

 そこで真面目な顔をした隊長に指摘されて、そこで初めて自分が危ない綱渡りをしていることに気付く。



 ーーーーお前、このままだと死刑になるぞ。


 ーーーーそれはなぜ?


 ーーーー……入隊する時にな、魔法で国に契約をすんだよ。忠誠を捧げて、国を、王を裏切らない。その契約の中に、『虚偽をせず』ってのがあって、これに当たってんだ。魔力が無いのに隊にいることがな。ま、普通は魔力がない時点で契約はできないんだが、たまに……権力と金の為に魔法道具やなんやを駆使して入隊するヤツがいるから、そういう項目を入れたんだろうな。


 ーーーーいや、待ってくれ。それは、記憶を無くして魔法の使い方を忘れただけっていうのも当てはまるのか?


 ーーーー……8日後にはホウノ国との合同演習が始まる。そこで使えないんなら魔力が無いと見限られる可能性は高いな。


 ーーーーそんな……


 ーーーー普段の演習ではお前の能力は危ないから使わせないんだが、他国との演習ってなると話は別だ。抑止力の為に国の軍事力を見せつけたいだろうからな。


 ーーーーそうか……じゃあ、合同演習までに、魔法が使えれば良いんだな。……また練習に付き合って貰えるだろうか?


 ーーーーああ、いいぜ。何度でも付き合ってやる。


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