09話
隊長の後について歩くこと20分。
途中、クラウディアの目的地である兄の研究室らしき場所を素通りし、入り組んだ石畳の道を進み、王城の裏門を抜け出て森の中を進んで行くと、小枝に小さな蕾をちょぼちょぼと付けた木々のたくさん生えた広場に辿り着いた。
男はその内の1本の樹木まで来ると、だるくて重くなった身体を木に寄り掛かかせながら、身に付けていた兜、鎧のパーツをひとつずつ取り外していく。外された防具達は震えた手で丁寧に並べられ、次第に数を増やしていく。
その作業をしている間も、肩で息をしながら時には止まりながら、少しずつ進ませていく隊長。
ここに至るまでの間、クラウディアはまだ隊長の顔をちゃんと見れていなかった。道中も側で見ていて、辛そうにしていた。途中で肩を貸そう、ここに着いてからは防具を外すのを手伝うと名乗り出たがどちらも、いいと一言で断られてしまった。
ーーでは、何の為に自分は呼ばれたのか?
せめて、顔色を確認させて欲しい。
「あの、隊長……」
男はちょうど、外した胴部を地面に置くところだった。
「……なんだ」
そう言って気怠そうに上半身を起き上がらせながら、クラウディアの方に振り返ってみせる。
その顔を見たクラウディアはふと思ったことをそのまま口に出していた。
「フリッツ」