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第662話 『海軍の再編成と陸軍の再編成。増員と人事異動』(1579/1/19)

 天正七年十二月二十二日(1579/1/19) 諫早城


 純正はフィリピン戦を見据えて、陸軍を8個師団編制、海軍を8個艦隊編制とする予定であった。


 しかし勝利したものの、明への対応も含め、スペインがいつ盛り返してくるか分からない。そのため3個師団ならびに3個艦隊への戦力増強は予定通り行われる事に決まった。


 また、今後の国家戦略として、その戦力配置に関しては十分な検討をする必要があったため、純正は戦略会議室のメンバーと陸相と海相を集めて会議を行ったのだ。


「まず、陸海軍ともに、国内に主眼をおくか、国外に主眼をおくかによって兵力の配置は変わってくるかと存じます」


 直茂が発言し、会議がスタートした。


「うむ」


「まずは国内、日ノ本にござるが、大同盟があり、同盟を結んではおらずとも、上杉ならびに北条とは戦う由もなし。ゆえに第一師団から第三師団までの配置については変えずともよいかと存ずるがいかに?」


 直茂の言葉に長与純平が応じ、続けた。


「左様、万が一上杉が寄す(攻めてくる)ならば越中の第五師団に処させれば良いし、北条ならば武田徳川がおりまする。未だ武田と徳川遺恨在り、同心(協力)能わぬならば、武田に求め陸路と海路にて三個師団を遣ればよい」


「うむ、他に考えのあるものは? ……ではそのようにいたそう。されど万が一の時に助勢に時がかかろうから、念のため新設の一個師団を吉原の湊に駐屯せしめ、もって北条にあたるのがよかろう」


「はは」


「陸軍の残りの二個師団は南方に配置しようかと思うがいかに?」


 台湾とフィリピンに1個旅団をおいて、その戦力でセブ島のサン・ペドロ要塞攻略を行ったのだが、今後は行動範囲が何倍にも広がる。極端に言えばオーストラリアまで入るのだ。


「では、台湾と呂宋の一個旅団に加え、新たに二個師団を南方に配すのでしょうか」


 陸軍大臣の純平が確認する。


「いや、種子島の分屯隊を除き、第四師団のすべてを南へ移す。台湾の基隆に師団司令部を置き、呂宋の半個旅団も基隆へ移す。そして呂宋には新設の第七師団、そしてさらに南の新幾内亜(ニューギニア)島の籠手田湊ポートモレスビーに第八師団を駐屯させるのだ」


 基隆に1個師団を置いたのは明へ対処するため、ニューギニアに置くのは壊滅させたとはいえ、いつスペインが攻め寄せてくるかも不明なため、陸上戦力をおいて防備を固めようとの考えである。


「第四師団は司令部が移動し、二個師団が動く訳であるが、基隆と呂宋に駐屯している部隊と連携すればなんら障りなく能うであろう。第七と第八は新設で加えて南方の配備ゆえ不満もでるかもしれぬが、人事考査で考慮すればよかろう」


 師団内部での兵員配置は師団長に一任するとし、当面は治安の維持に努める事となる。基隆とマニラは別だが、他は入植して日も浅い。どんなトラブルが起こるかもわからないからだ。


 その代わり士官、下士官兵ともに昇進が早まるようにする。


 ああそれから、と純正が続けた。


「第四師団の深作宗右衛門少将であるが、南方方面軍司令官に就任するため、中将へ昇進させるものとする。要塞攻略戦での働きは見事であった。陸軍大臣、よいか?」


「はは」


 戦時特例での昇進であるが、当然他の師団の将兵は対象ではない。



 


 戦略会議室は、あらゆる角度から見た政治の中枢である。しかし軍略面においては、おおまかな戦略を考え検討はするが、細部はほぼ各大臣の所掌となる。


「では次に海軍になりますが、本は陸軍と同じ考えでよろしいでしょうか」


 直茂が純正に聞く。要するに南方重視でよいか? という事だ。


「うむ。陸軍にしても海軍にしても、日ノ本には今のところ大きく備えねばならぬ敵はおらぬであろう。奥州から北の北加伊道や樺太、千島も同じである。ゆえに南に重きを置く」


 全員がうなずいて具体策を聞こうと視線を純正に集める。


「まず、既存の第一から第四艦隊を、南遣艦隊として独立させる。鎮守府を馬尼拉(マニラ)置き、第一、第二艦隊を置く。基隆には警備府と第三艦隊、籠手田湊ポートモレスビーにも同じく警備府と第四艦隊を置く」


 南遣第一艦隊、第二、第三、第四とするのだ。


「佐世保に第五、呉に第六、北海鎮守府(越中・岩瀬)に第七、そして最後に吉原湊にも鎮守府を置いて第八艦隊とする」


 直江津と吉原湊は陸軍とほぼ同じ目的である。呉はどちらにも対応できるよう、佐世保は西海ではあるが、状況によっては南方へも北方、東国へも作戦行動を展開する。


「海軍大臣、何かあるか?」


「ございませぬ。ただ……」


「ただ、何じゃ?」


 純正をはじめ一同は、部隊配置に問題なしとしていたので、純賢の言葉が気になったのだ。


「新たにできた蒸気機関なるもの、風がなくとも船が動くとのこと。以前より知っておりましたが、近頃さらに強く早いものができたとか。まず何よりも海軍の船へ乗せ、船戦に使えるように訓練をいたしたく存じます」


「御屋形様! それならば陸軍も!」


 純賢の発言に純平がかぶせるように加えた。


「わかっている。蒸気機関は陸でも海でも、これまでの理を覆すからくりにて、万事うまくよう取り計らう。すでに海軍に関しては、船に載せるものを開発するよう申しつけておる」


「はは」


「陸軍も同じく機関車なる乗り物をこしらえる考えゆえ、あせるでない」


「はは」





 蒸気機関の誕生は、軍事面でも大きな影響を及ぼしそうである。 


 次回 第663話 (仮)『日ノ本大同盟の今』

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