硝石としいたけは長ーい目でみよう。
一度、初心に返ってどんな産業が可能で儲かるか、出来るだけ考えてみよう。
まずはそれからだ。
■山(農業)
・菜の花(菜種油と食用、ビタミンC・・・南蛮船に売る壊血病予防)
・小麦から小麦粉でパンを作る。・・・食用とパンくずを消しゴムに。
・野いちごと山葡萄からイースト菌(鍾乳洞を使った氷室)
あるじゃん近くに!
・みかんジャム(みかんはそのままビタミンC)
・たまりを大量生産して同時に醤油もつくろう。生活必需品だから売れるはず。
・サツマイモ(飢饉対策)とキャベツ(ビタミンC ザーワクラウト)
これは南蛮船から手に入るかな。
■海(漁業?)
・塩
流下式塩田がいいかな?すだれ使うやつ。揚げ浜?入浜?があったけど、これが場所もとらないからよさそう。塩は特産品にして高値で売ろう。
・捕鯨
大島と崎戸はたしか江戸時代に捕鯨でかなり栄えたって記憶がある。五十年以上早いけど、やる。鯨油、鯨肉、その他諸々捨てるとこない。
・石炭
燃料、暖房・・・は、木炭の代替えでいけるか。・・・蒸気、いや無理。
そう言えば思い出した!
昔小さい頃、多分小学生くらいだったかな。実家の納屋?小屋の中に、何本も丸太が並べてあって、小さな木の欠片が打ち込んであった。
子供心にあれなんだろう?ってずっと思ってた。シイタケだ!
ガラス瓶(これは南蛮船から)に菌糸を入れて培養する。
米ぬかとか芋の煮汁とか、おがくずとか、そういうもので、やってみよう。
それで培養が完成したら、木の割れ目に菌糸を入れて木片を打ち込んで放置。
運がよければ初回から成功するだろけど、試行錯誤が必要だから一年から五年はかかるだろう。
それから、硝石の国産が可能になるまで、輸入硝石を独占せねばな。堺に流れる南蛮人の品々も、すべて豊後や肥前からであろう?もとを断ってしまえば流れぬ。
火薬は一発分で15グラム。
硝石75(11.25グラム)
硫黄10(1.5グラム)
木炭15(2.25グラム)
「忠右衛門、硝石は作成の準備は整ったのか?」
「は、奥野の郷にて風通しのいい小屋をたて、木の葉や・糞尿・塵芥を土と混ぜて積み上げ、定期的に尿をかけて、を繰り返しております。」
「異臭を放つゆえ人里から離れており、道もございませぬ。また、周囲に常時見張りを立てております。」
「うむ、時間はかかるかもしれぬが、早ければ一年で硝石がとれるはずだ。その後の糞尿の追加は必要だが、成功したら随時小屋を拡張していこう。」
「それから十分に日当を払うのだぞ。臭いがきついゆえ、誰もがやりたくない仕事なのだ。」
最終目標は年間二百斤。(1,500kg)
弾一発の火薬は15グラム。硝石は11.25グラム必要。
一万発分で約110キログラム必要だ。
あ、鉄砲鍛冶も招致して、製造を奨励しなきゃな。
そして、ややこしい!尺貫法!
「殿」
「・・・殿?」
「殿!」
(もおー)なにいー!?
しまった。条件反射的に声を上げて怒鳴ってしまった。
「すまぬ。」
「太田屋の弥市殿が、お連れ様ご同伴でお目通りを願っております。」
小平太が言う。
「何、弥市が?」
忠右衛門が確認する。俺は忠右衛門と顔があったので、うん、とうなずくと、
「通せ。」
弥市を主殿に通す。・・・誰だ?




