表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『転生したら弱小領主の嫡男でした!!元アラフィフの戦国サバイバル~時代・技術考証や設定などは完全無視です!~』  作者: 姜維信繁
転生!そして長崎が横瀬に変わる!?-歴史改変仕方ない。やること多すぎです。-
23/827

第21話 推参!深沢勝行。牡蠣の浦の海戦③

 未一つ刻(1300) 沢森政忠


「妙だな」


 寺島水道をまっすぐに南下して、大島と蛎浦(かきのうら)島の間にある中戸瀬戸に向けて進路を西にとってしばらくした頃、親父がポツリとつぶやく。


「いかがされましたか?」


「島を見てみろ。蛎浦(みなと)の煙が消えている。崎戸島の本郷城の煙はそのままだ」


「いかなる事でしょう」


「わからん。わからんが、俺が攻めるなら、城は攻めん。攻め取ったところで兵糧が持たんし、こちらから近すぎる。すぐに取り返されるだろうしな。平戸から見れば遠すぎるのだ」


 親父は戦術的な事ではなく、戦略としての城攻めの愚を話している。


「俺ならまず、港を襲撃して船が寄港できなくする。しかる後、小佐々や沢森は頼りなし、銭を払っても守ってくれるかわからんと、噂を流す」


 事実、小佐々と沢森が警固料(警備料)と帆別銭(入港税)で潤っている事は確かだ。


「その上で平島と江島を落とし、五島航路の利得の権を奪う。そして我らをじわりと弱らせてから、相神浦松浦氏、佐志方氏、針尾氏を順につぶして我らを攻める。これが一番危うからざる策だ」


 力攻めではなく、経済的に弱体化させてから攻めるのが、被害が少なく効果的だということなのだろう。


「なにかの罠にしても、近くで見んとようわからん。最初は二手に分かれようかと思っていたが、まずは事の様(状況)を確かむるが先ぞ」


「父上、城が攻められているのなら、急ぎ助けに行ったほうが良いのでは?」


「なに、あの城は簡単には落ちぬ。あやつがおるしな」





 ■同日 同刻 本郷城 深澤義太夫勝行


「まあぁっっったく! いったいあの親父はなにやってんだ!」

 

 襲ってきた敵兵を斬り、蹴飛ばしながら、悪態をつく。


「若、もうへばったのですか?」


 家臣の三十郎が言う。


「へばってなどおらぬわい! ただ、豪快さが取り柄のあの親父にしては、来るのが遅くないかと思ってな!」


 また一人、倒す。


「沢森の殿はああ見えて思慮深い方です。きっと何か考えがあるのでしょう」

 

 どうにも考え方の違いがあるようだ。





 ■同日 同刻 敵旗艦上 一部勘解由いちぶかげゆ


「ええい勘解由よ! まだ城は落ちぬのか!」

 

 イライラして九郎様の扇子をたたく手に力が入る。


「は、なにぶん砂浜から城まで郭がいくつもあり、一本道ゆえ、こちらに数の利があっても一気呵成(かせい)には攻めきれないのです」


「何を言う! そちもこの程度の小城、落とすことは簡単だと申しておったではないか」


「簡単、とは申しておりませぬ。事前に策を練り、しっかりとした手順にそって攻めれば、落ちない城ではない、と申し上げたまでです。しかも力攻め一辺倒ではこちらの被害も大きくなります」


「ええいだまれ! その方わしを愚弄する気か!」


「めっそうもありません! ただお屋形様は、港を焼き払って船が立ち寄れなくするだけでよい、そう命じられていたではありませんか」


「そんな事はわしでなくても誰でもできるではないか。兄に無理を言って、せっかく大任をおおせつかったのだ、小城のひとつくらい手土産にせねばなるまい!」


 頭に血がのぼっておられる。もはや何もいうまい。あとはどれだけ被害を少なくして撤退できるかを考えるとしよう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国 武将 転生 タイムスリップ 長崎 チート 無双 歴史 オタク
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ