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上洛。源朝臣小佐々弾正大弼純正

俺は今、京の都にいる。そう、あの京都だ。


上洛したのだ。全権は深作治郎兵衛にあずけた。勝行だと心配だ。とは言っても今回は大々的に兵を従えての上洛ではない。大騒ぎにしたくないし、あくまで京の都の現状視察。肌で感じておきたかったのだ。


随行員は鍋島直茂と岡甚右衛門、大蔵省の太田屋弥市、護衛の井戸作兵衛もいる。九州の状況も穏やかならぬ今、なぜ上洛をという反対意見もあった。しかしどうしても見ておきたかった。そうしないといけない気がしたのだ。


しかしさすがは京の都だと感心、感嘆したのは、応仁の乱後に町衆によって復活した町だ。ちなみに町衆の多くは日蓮(法華)宗の信者だったようだ。信仰の力ってすごいし、そして怖い。団結力でいうと一揆と同じ匂いがする。


天文になって一向宗浄土真宗本願寺派の拠点だった山科本願寺を、焼き払って門徒を追放している。いや、キリスト云々関係ないやん。でもその後、今度は違う宗派の延暦寺の僧兵が六角と組んで日蓮宗(町衆たち)の寺院を焼き払われた。


しかしまた、町衆たちは舞い戻って復興をさせている。いや、町民パワーすげえや。


京都って全部同じで、全域が均等に焼け野原になったんだと思っていたらそうじゃなかった。上京と下京に分かれていて、被害がひどかったのが内裏のある上京。三分の二が消失した。しかし下京は二~三割程度だ。いずれにしても復興すさまじい。


乱の直後を知らないからわからないが、民間パワーのなせるわざだ。しかし一方で、朝廷や幕府が貧乏なのは変わらない。乱後百年たっても良くなるどころか悪くなる一方だ。だから、といってはなんだが定期的に献金はやっているし、都度要望にも応じている。


俺のやっている事は偽善だ、と言われても否定はしない。別にボランティアではない。その代わり官位など社会的地位を得ている。


それでも社会還元とはいかないまでも、復興に資本を投入して、それで民が金を持って豊かになってくれればいい。そうして俺の店でいろんな買い物をしてくれれば、それでいいのだ。そういう意味で、街の様子を見る意義があった。と、思う。


決して、決して、日々の業務に頭がパンクしそうになったからではないよ!


断じてないよ!


大使館はその上京の内裏の北、道向かいにたまたま大きな空き地があったから、そこに建造中だ。それまでは相国寺を宿舎にしている。もちろん義父上である先の関白二条晴良様のお許しは得ている。室町幕府の花の御所にも近い。


何かあればすぐに対応できるが、残念(?)ながら十四代足利義栄は、将軍宣下はされているがまだ上洛はできていない。三好三人衆あたりから支援しろと言われるかもしれないが、我関せずだ。あくまで内裏との義父上の警護。


で、久々に登場の・・・藤子姫!なんで?いや、それと舞。わからんでもない。わからんでもないよ。父親に会いたいのは。それと舞も。正直一緒にいる時間が少なすぎる。ストレス発散に京都見物も仕方ないのかもしれない。


しかしそうなるとお付の者が多い!多い!


「さすが、荒れたとはいえ、京の都ですね。民の力の偉大さがわかります」。


「きゃー!帰ってきた~帰ってきた~わらわは帰ってきた~」。


う、うん・・・・。二人とも。舞は、はしゃぎたいのを我慢してる?藤子は、いいんだけど、いいんだけどさ。もう、いやまだ十四歳だな、うん、許そう。


(お、れ、の、のびのび京都ライフが台無しじゃあないか!う、ごほんごほん!)


「それで常陸介よ。大使館の拡大でなにかあるか?」


「は、さしあたって害にはなりませぬが、都の商人より誼を通じたいと、主だった者全員が言ってきております。また、朝廷や幕府より支援の申し出が続出しております」。

大使の常陸介は言う。


「なるほどな。予想はしていた。義父上と相談の上、できる限り要望に添うように。商人は絶対優遇だぞ。もちろん三人衆(道喜、宗湛、宗室)と協議の上な」。


「他にはないか?特に所司代は兵を京都に置いている。三好や松永、六角やその他の勢力からの接触はないか?」

俺は再度、確認した。


「実は・・・」。

常陸介は話しづらそうにしている。


「なんじゃ?どうした?」


「三好日向守様より書状がまいっておりまして、松永の信貴山城攻めに加勢せよ、と」。


ふん、予想通りだ。しかも『せよ』だと?臣下ならいざしらず、いかに幕府の御供衆とはいえ、俺に命令するなどおかしな話だ。勘違いも甚だしい。


「なるほど、そうか。では一応返信せよ。『ご助力したいのは山々ですが、われら小佐々家は所司代ゆえ、洛中ならびに内裏の警護以外は任にあたらず』とな」。誰が四ヶ月で形勢逆転して京都を追われる勢力に加担するかよ。


それに宣下された足利義栄は上洛すらできていないではないか。


「それから五百、いやそれでも多いか。百の兵を密かに・・・。いや、やはり落ちるとわかっている城に、わが兵を向かわせるわけにはいかぬ。よし、ひそかに鉄砲矢玉を送れ。その際に『山城守殿、左京大夫殿、ご助力いたしたいのは山々でございます。しかし、それがし幕府の所司代を仰せつかっているゆえ、支援できませぬ。なにとぞ九月まで耐えていただきとう存じます。九月には光明がみえまする』と書状を送るのだ」。


立場上どちらにも加勢はできない。いや、幕府の御供衆が攻めているから、どっちかといえば三好三人衆側か?いずれにしても、これがベストだろう。


よし、次は美濃だ。

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