表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
184/827

永禄十一年度緊急戦略会議

永禄十一年 四月 小佐々城 小佐々弾正大弼純正


あまりにもいろんな事起きすぎ。胃が痛い。俺、18の頃、こんなストレスまじなかったのになあ。・・・閣僚級(評定衆)緊急戦略会議(評定)を開いた。


議題は次の通り。


・爆破犯

・島津の動き、琉球関連

・相良

・飲食店またはその他生活に密着した直販店

・京都問題、大使館、所司代問題

・大友問題

・石炭

・粘土

・コークス

・大砲

・造船

・レンガ

・燃料問題

・難民、人身売買問題

・etc


「それでは始めさせていただきます」。

静に直茂が始める。


「まず始めに、先日の爆破事件でございますが、情報省藤原どの、現在の進捗をお願いします」。

「はい。まずは犯人でございますが、残念ながら、いまだ証拠が見つかっておらず、特定にはいたっておりません。捜査中です」。


一同、ざわつく。一月も経って犯人どころか証拠も見つかってないなんて。しかし、みんな思っているはずだ。しかけてくる可能性が一番高いのが誰なのか。


「もう、いいんじゃないの?」

出た。やっぱりいつも突破口を開く・・・いや、物議を醸すのはこいつだ。

深沢義太夫勝行。


「皆さま、ご承知の様に、証拠が出ていないのは事実。しかしながら我らに害をなす輩、われらに損を負わせ、力を弱める必要がある者は一人だけ。大友でござろう?」


・・・大友。

みな、わかってはいたが口に出さずにいた。一番われらを恨んでいて、攻撃したいが簡単には出来ない者。


「しかし、証拠もないのに決めつけるのは性急でござろう」。

尾和谷弥三郎が言い、庄兵衛も同意する。


「証拠証拠証拠、大義大義大義と。確かに大義も名分も必要にござる。とくにわが殿はおやさしいゆえ、こだわる。しかし、いまだかつて誰もが納得する大義などあったであろうか?一方の大義は一方の名分に反する物がほとんどではないか?いくさとは大義と大義の戦い。一方では大義でも、一方では難癖とも捉えられかねん。ゆえに・・・・。怪しきは、誅する。これしかございませぬ」。


勝行が説く。珍しく饒舌だ。すると、


「話が飛躍しすぎです。仮にそうだとしても、何を根拠に大友を犯人に仕立て上げるのです?」

太田利行が反論する。


「そんなもの、作ればよいのだ」。


それは乱暴だ!いや事ここにいたっては大友と一戦もやむなし!いや、まずは外交にて!しらばっくれるに決まっておろう!ではどうするのだ?・・・。


侃侃諤諤。議論が白熱する。


「あの・・・」。

内務省の八並舎人がボソリと言った。


「実は休暇明けの人間が、陸軍省の知り合いなのですが、休みに入る当日、午前中ですが、不審な女を見かけたと」

「なにい!?なぜもっと早く報告せんのだ!」

直属の上司、太田七郎左衛門が怒鳴る。


「申し訳ありません。不審といっても、報告するほどでもないと思い」。

舎人は(言わなければよかった)と思ったかもしれない。


「それで、どう不審なのだ?」

俺は直接聞いてみた。


「いえ、その日の朝警備中に、門の前で女がうずくまっているのを見たそうなんです」。

「それで、『大丈夫か?』と駆け寄ったら、よく聞こえなかったが、『大丈夫です。ちいとんずつようなりました。』と言って去っていたようなのです」。


『ちいとんずつ』・・・なんだそれは?


「殿、それは、豊後の方言ですね。『少しずつ』という意味です」。

!豊後?いや、別に怪しくはない。


「舎人よ。それだけでは別に怪しくはない。何が怪しいのだ?」

「いえ、その同僚いわく、きれいな女だったんで、休み前にもう一度探してみたら、居なかったようなのです」。


間者か?その間者にしてみれば、運良く休み前の人間が発見して、運良く休みに入って誰にも知られずに国外に出れたと?行方不明者だからといって、それだけで犯人にはできぬ。しかし事件直前に消えているとなれば・・・。


「千方よ。至急しらべよ」。

「はは!」


「それがしからもひとつ・・・」。

「なんじゃ」

早岐甚助が言う。


「流民なのですが、仕事に就いて働いていた者です。休暇で筑前に出かける、と言っていた者が、今日帰ってくるはずの者が数名おります。しかしまだ戻っておりません。出身が・・・」。


「どこだ?」

「薩摩です」


会議に出席している全員が驚いたようだ。薩摩か・・・。しかしまだ断定はできぬし、薩摩が直接われらに攻撃を加える理由がない。領地も接しておらぬ。大友なのか薩摩なのか?どっちなのだ?


これだけで半日が過ぎた。山積みの議題は、次回へと持ち越しとなった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
戦国 武将 転生 タイムスリップ 長崎 チート 無双 歴史 オタク
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ