河童のいる川
河童がいた。
あの川出るらしいよ、と聞いていたが、まさか河童がいるとは思わなかった。
バイト帰り、原チャリで川の近くを通ったら何やら怪しい人影が動いていた。目を凝らすと人間の色では無く、緑色の人影だった。
よく見ると河童だった。そして目があった。
驚きでお互い固まっていたが、河童はしばらくすると僕から目をそらし、懐からきゅうりを取り出して、川の水で洗い始めた。
ちょうど良い感じの岩に腰掛け、僕の方を見ながらきゅうりを食べている。
なぜ僕の方を見るんだろう。あちらが僕を見続けるので、僕も目を離すことが出来ない。
河童はきゅうりに味噌を付けた。味噌もきゅうりもめちゃくちゃ美味そうだ。
僕のお腹が減ってきたところで、河童は会釈をして川の中へ姿を消した。
僕はしばらく呆然としていたが、帰宅して早々きゅうりの味噌漬けを貪り食った。
という話を大学のぬらりひょん達にしたが、信じてくれる人は一人もおらず、ただただ爆笑されただけだった。