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魔物娘と不思議な冒険  作者: ねこがみ
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第六話 初めての仲魔




ニンゲンの冒険者と、落ちた橋を架け直しに同行する事に決めたゴブリンのリナ。


彼らの動向を水晶の玉『力の宝珠』から投影されるプロジェクターで見守る魔術師メルトは荒れていた。



「お姉ちゃんは仕方ないとして、なんでリナちゃんまでニンゲンの手伝いしてるんだよう!」



バキンボキンとチョコレートを頬張り、ぐぬぬ…と顔を顰める。



「まぁ〜魔王様命令が出るならともかく、誰と仲良くするかは個人の自由ですし〜」



子守を務めるガーゴイルはヘラヘラと笑う。

ニンゲンと魔族が同行する事について、特に驚いた様子はない。



「それにしてもあのニンゲンやりますねぇ〜。リナっちだけじゃなくスライムの子まで仲良くなってますよ〜」



ほら〜、と促されて画面を見るメルトはまたもぐぬぬ顔となった。


全身が青い人型のゼリー状のスライムは、先程まで頭突きを喰らわしてやったニンゲンに敵意が無いことを悟ると、世間話に花を咲かせ、仲良し魔物『仲魔』として同行する事にしたようだった。


冒険者に手渡されたパンをおいしそうに頬張っている。



「最近は仲の悪いニンゲン族との争いも無かったですし〜、退屈しのぎになっていいんじゃないですかね〜」


「ですねえ〜。

私も遊びでついていこうかなぁ〜」



めんどくさがり屋のガーゴイルにしては珍しく冗談を口にし、ニヒヒっといたずらっぽくメルトの顔を覗きこむ。



「うっ…一人になっても…ひっく。私一人でもやりきるもん…ううっ」


「あっ、あっ、冗談ですよ〜!

他のガーゴイルはともかく、ここにいる私達はメルトさん一筋ですって〜!!」



冗談を真に受けたメルトは泣き出しそうだ!

それを見て慌てふためくガーゴイルの二人。


絶対に裏切らない理由100選、やら、ごはんを幸せそうに食べる顔が好き!

と、普段ののんびり加減からは想像もつかないほど言葉を陳列しスタミナを浪費する。



「まったくもう、うちの姫様を泣かすんじゃないよ!」



ゴチン!と、モップ掛けをしていたドラゴンにゲンコツを落とされた。



「あのニンゲンは面白そうな奴だけど、こっちだって好きでここにいるんだ。

俺達は、なびきはしないから安心しなよ」



それを聞いてうん…と。


ドラゴンのお姉ちゃん、と呼び慕っている彼女の言葉は、メルトを安心させるには充分だったようだ。

当のドラゴンはゲンコツを喰らわせた手の痛みを出さまいと必死であるが。

やはりガーゴイルの石肌は硬いのであろう。



「メルトさん意地悪言ってごめんなさい〜」



こちらはゲンコツのダメージも無くケロッと謝罪していた。



「ぐすっ…ありがとう。でも皆を縛り付けるのは嫌だっても思うの。強制は嫌。

どうしようかな…」



ニンゲンと魔族の対立は絶対、というわけではない。

極一部ではあるが、ニンゲンと交流がある魔族の集落も存在している。

メルトは腑に落ちていないが『はじまりの村』もその一つなのだ。


過去に大規模な戦争があった時代とは違い、よほどのことが無い限りは、ニンゲンとの接し方は個人の自由という認識が緩く共有されている。

メルトには成し遂げなければならない目的があるが…そのために他者を、他の魔族を縛り付ける事はしたくなかった。


頭では分かっているだろうに決めあぐねているメルトを見て、ガーゴイルは背中を押す提案を出す。



「それなら〜」


「こんなのはどうですか〜」



この日、協議の結果、塔のスタッフから一帯の魔族へ回覧板が出されることになる。


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・誰が誰と仲良くしても個人の自由です。戦闘になっても恨みっこ無しで楽しくやりましょう。


・来月の芋煮会は場所を変更して村長宅で行います。


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