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魔物娘と不思議な冒険  作者: ねこがみ
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第二十二話 筆頭見習い




私はルル。

各地に存在するエルフ達の隠れ里、その中のひとつ『ハイン』に籍を置く森の戦士だ。


エルフの社会は完全に上下社会で、見習いエルフである私はその一番下。

通常、見習いのエルフは里を大きく離れて任務を受ける事はまず無い。

カントク責任…とかなんとかがあるらしいのだが分からぬ。


しかし私はそこらの見習いとは違う!

上司エルフの指示の元、この地に派遣された将来を嘱望される見習いなのだ!


見習いエルフでは扱えぬスキルも華麗に使いこなす、見習い界のエリート。それが私さ。

一足先に見習いを卒業した同期から、見習いでは扱えない秘術を聞き出しているからな!

格が違うのだ!


まぁ、その同期が上司になってやりづらいわけなのだが……


分かるか?


共に訓練に打ち込んだ同期が一人、また一人と管理職になっていく焦燥感が。

後輩と呼びこき使ってきた新人が自分と肩を並べる恐怖が。


だがしかし!


この『霧』の異変を解決し、里に凱旋した暁には私も管理職に昇格ができる!

…はずなのだ。


はずなのだが……

今私は危機に直面している。


目の前には我が覇道を阻む敵、風の精霊が睨みを効かしているのだ。


この精霊、どういうわけか私の百発百中の矢を無効化する能力があるらしい。

なんでも風の加護とか言っていたが…里の研修で習った気がするが思い出せぬ。

つまりは矢が直撃する事はないのだ!


……直撃さえさせなければ矢は当たるのか?

どういうことだ?


ともかくも、我が秘技『癒しの祈り』に続く無免許スキルを使うしかない状況だ。


本当は使いたくないのだが……



*****



「それで?あなたはどうするの?その役に立たない木の矢で私を倒すつもり?」



ニンゲンとスライムを吹き飛ばしたエアリアルは不機嫌そうにルルを見て言う。



(なんとかしてアレを使う隙を見つけねば…)



「エ、エアリアルよ!私はハインの里から霧の調査に来た者だ!

そのニンゲン達とは偶然居合わせたに過ぎぬ!」


「ハインの里…?随分と遠くから来たのね。

お里事情は分からないけど、この塔には既にエルフが来て状況は説明してあるわ。

…呼んできて確かめましょうか?」



なんと!既に他里のエルフが調査に来ていたのか。


というかまずい。

これから使用するスキルは見習いエルフには禁止されているものなのだ。

なんでも人生設計が狂うほどの危険性を秘めているらしく、里では狂人扱いされるのだとか。

それを他里とはいえ見咎められれば上司に連絡が行くのは必然。

なんとしてでも避けねばならない事態だ。



「あー、そのですね!私もちょうど調査が終わりまして…これから帰還するところだったんですよ!

他里のエルフさんも忙しいでしょうし、私はこの辺で…」


「そ。ならあなたはお帰りなさいな。

仲魔ごっこで暇潰しなんてしていないで、里に帰って関わり不要と伝えてくれればいいわ。」



そう言うと興味を失くしたようにエアリアルは振り向き、瓦礫の山…ニンゲンが埋もれている場所へ掌を向ける。

意識を刈り取る一撃を放つためだ。


手の表面に風が収束していく。

「あっけないものね」と小さな呟きが聞こえた。


仕掛けるなら今。

ルルに意識が向いていないこの瞬間しかないだろう。


他里のエルフの存在は気掛かりだが、ここでおめおめと逃げ帰っては何も変わらない。

霧の異変の解決、それが絶対条件なのだ。


覚悟を決める。


………

……………



「今だ!『爆発の矢』!!」



ルルがはじけるように射ち放ったそれ。

しかし、エアリアルの加護に阻まれ寸前で勢いを失っていく。


直撃はしないはずの矢。

それなのに。

エアリアルは何かに気付き距離をとろうとした。

直後。



全ての音を置き去り、閃光が広間を包む。


そして…遅れてきた大音量の爆音と共に、ルルとエアリアル、


二人の姿は無くなっていた。



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