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№8 大助ゼク〇ィを買い、その気になる

 ゼクシィそれは使い方を間違えれば恐ろしいものとなる。


 現代社会において、手軽に手に入れられる暗器あり、その名は「ゼ〇シィ」といふ。

 これを用いて、にっくき相手に振るえば、たちどころにオツムはパッカーンしてしまうものなり。

 男どもは恐れをなしこう呼んだ「彼女が〇クシィを持ったら、覚悟しろ」と。

 だが、これは男が手にした物語である。


 ・・・その男が、コンビニの前でうろうろしている。

 大助である。

 かつてレンタルビデオ屋でAVを10本以上借りた(つわもの)にもかかわらず、目の前の結婚情報誌「ゼクシ〇」を購入するのに躊躇っているのである。

 大助は意を決して、ゼクシィ(面倒くさくなった〇外します)を手に取ると、カウンターへ行き、女性店員の視線にそっぽ向き、ぼそりと「これ妹のなんで」(ここは嘘だよ~)聞かれもしないことを呟き、猛ダッシュして店をでた。


「うひょ~」


 家に帰ると、早速、禁断の書を開けてみる。

 苦節ウン十年、堂々とその書物を読むときが来たのだった。

「俺もついにゼクシィデビューか~」

 大助はそのやたら分厚い本のページをめくる。

 

 結婚の流れみたいなのが、こと細かに書かれてあり、オールカラーのページには乙女心をくすぐるイラストで分かり易く丁寧にアドバイスされていた。

 大助は次の芽衣とのデートまで熟読し、結婚に思いを馳せる。

 ※木村カ〇ラさんの「バタフライ」脳内再生お願いします。


 で、デートの日。

「俺さぁ、ゼクシィ買ったんだよね」

「マジで」

 意外にも彼女の反応は冷たい。

「だって、ほら結婚までの手順って分からないじゃん」

「まぁ、そうだけど」

「でしょ~」

「んで、なにか分かった」

「ん~、やっぱり結婚式はあげないといけないと思った」

「うん、私もしたい」

「だね。じゃ・・・」

「こじんまりとした結婚式がいいな」

 芽衣が大助の機先を削ぐ。

「やっぱり、地元でどーんと挙げて、ご祝儀がっぽりっていかない?」

「会社の人、呼ぶのが嫌なのよ」

 芽衣は頑なに地元での結婚式は断固拒否する。

「・・・じゃ、やっぱりリゾ婚?」

「出来れば」

「はあ」

「不満そうね」

「別に・・・ゼクシィ調べによりますと、沖縄、北海道、それから軽井沢なんて避暑地が人気らしいね」

 大助は熟読したゼクシィからブライダル知識を披露する。


「流石、ゼクシィ」

「で、(結婚式)するとしたら」

「・・・沖縄かな・・・うちのお父さんいったことないし・・・」

「・・・沖縄」

 大助の反応は鈍く、遠いなとお金かかるんじゃねという思いが、即座に込み上げてきた。

「ま、調べてみないとね」

「だな」

「やっぱり、乗り気じゃない?」

 芽衣が大助の顔色をうかがう。

「・・・・・・」

「・・・・・・」

「そんなことないよ」

「本当?」

「まぁ、芽衣ちゃんの願い。しゃーねーなー」

 大助は頭に両手をまわし、素っ気なく言った。

「ありがとう」

 芽衣は感謝を口にした。

「まだまだ(これから)やることあるぞ~」

「流石ゼクシィ持ってる男っ」

「いやいや~・・・それって褒めている?」

「・・・・・・ううん」

 芽衣はゆっくりと首を振った。

 こうして、結婚式の話が動きだした。



 結婚式はリゾ婚と決めた2人は、今、ゼクシィ相談所の目の前に立っている。こいつがブライダルカウンターってヤツか、俺たちもついにデビューする日が来るなんて・・・次回「ふたり立つ!財布はガッチリ!リゾ婚という名の出来るだけ節約婚式」で、また会いましょう。



 ゼクシィそれは結婚への希望を抱かせてくれるもの。

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