№2 山本家食事会!どうぞ、どうぞ~
大助の両親に会う、
それから一か月後、大助と芽衣はホテル問題などを解決しながら山本家食事会の日を迎えた。
さきにホテル問題とは、いわゆるラブホというのに、彼女は抵抗があって、ちゃんとした(ちゃんとしたって、なんだよ、笑)ホテルのデイユース(ビジネスホテルなどの休憩)で・・・って感じになって、大変だなとなった時期である。
しかし、この問題は実際、ラブホに行ってみて、案外便利で快適であるということ(そういう為の施設なんで当然)にお互いが気づいたことから解消される。
のちにいろんなホテル巡りを楽しむという事になるのは内緒としておこう(笑)。
昼時、大助は近くの駅まで芽衣を車で迎えに行く。
助手席に乗った彼女は、菓子折りを握りしめ緊張した面持ちでいた。
「大丈夫だって、うちの親、フランクだから」
「うん」
食事会の場所は大通り沿いのこじゃれた懐石料理屋だった。
先にうちの両親は座敷で待っている。
彼女の緊張が大助まで伝わる。
襖を開ける。
「つれてきたよ~」
と、彼の声も若干うわずっていた。
「おー、ようこそ」
と、父。
「はじめまして」
と、母。
「芽衣です」
みんなは同時にペコリと頭をさげる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
ぎこちない感じで食事会がはじまる。
コース料理を食べ進めていくうちに少しずつ場が和みはじめていく。
「ときに・・・」
ちらり、父が芽衣を見る。
「うちの大助のどこが良かったん?」
「お父さん!」
「親父!」
大助と母が同時に大きい声をだす。
「いや~ごめん」
父は悪びれる様子もなく笑った。
「そうですね・・・優しいところですか」
芽衣は躊躇いもせず言った。
「そっかあ、大助は優しいところはあるもんな」
父は笑う。
「そうね」
と、母も笑った。
ほっこりとした空気が流れる。
「母、親父」
大助は切り出す。
「ん?」
「芽衣さんと結婚します」
大助は言った。
「うん」
「うん、うん」
と、父と母。
「よろしくお願いします」
と、芽衣。
「にしても・・・」
父はほっとしたような表情を見せる。
「はい」
と、母が頷く。
「よかった~。こいつ結婚せんと思っとった」
「ねぇ」
「ちょっと!」
大助は顔を真っ赤にする。
「芽衣さん」
父は真顔となる。
「はい」
「どうぞ、どうぞ、こいつば貰ってください」
両手を差し出し見せる父。
「ふふふ」
笑う母。
「ちょっと!ちょっと!ちょっと!」
「ありがとうございます」
芽衣は笑いながら頭をさげた。
送る車中にて、くすくすと芽衣は笑っている。
「ねぇ、大くん」
「ん?」
「安心した」
「ん?」
「お義父さん、お義母さん、挨拶して安心した。間違いないって」
「なんだい、そりゃ」
大助もまんざらでもない顔をして微笑んだ。
車は夜の沿岸道路を走り芽衣のマンションへ向かう。
無事、山本家の両親に挨拶を済ませた2人、芽衣はあるライブに大助を誘う。でもそれは・・・次回「東京でハナクソが固まりました」で、何かが起きる(笑)。
芽衣ちゃんはこの時に確信したんだって。