№12 結婚へ
なんとか完結です。
大助は両親を誘い、近くの昔ながらの洋食屋さんを訪れた。
お店自慢のハンバーグ定食に舌鼓みを打ちながら、父にビールの酌をする。
突然、彼は思い切って話してみた。
「あの、俺、家をでてもいい?」
「・・・二人で暮らすの?」
母が尋ねる。
「いや、向うのマンションに住もうかと」
「大助、マスオか」
父が茶化す。
しかし、大助はいたって真剣であった。
「どうかな?もし、駄目なら考え直すけど・・・」
「駄目な訳ないじゃない」
「お前たちが考えた事やろ。なんで俺たちが駄目とか言おうか」
「母さん、親父」
「ま、実家に長くおったけんが、心配ちゃあ、心配やけど」
「ねぇ」
「がんばる・・・俺がんばるよ」
「当たり前ったい」
父が笑う。
「芽衣さんと幸せにならやんよ」
母の優しい言葉。
「うん」
大助は胸が熱くなり、涙がでそうになるのを堪えた。
最近お気に入りのげんやま公園で、2人眼下の景色を眺める。
「いろいろあるね」
大助はしみじみと言う。
「まだまだ。これからよ」
芽衣は笑った。
「うん」
「両親も年老いていくし」
「う、うん」
「私たちも老々介護かも」
「・・・うん」
「おまけに身体も若くない」
「・・・・・・うん」
「いろんなこと、これからあるよ」
「うん」
「でも、大くんに会えて良かったよ」
「俺も」
2人は笑った。
「行こうか」
大助は芽衣へ手を差し伸べる。
「うん」
2人は前へ歩きだした。
おしまい・・・と。
「ねぇ、旦那ちゃん。そんなに文を書いていて飽きない?」
嫁ちゃんがPCの前で、キーボードタッチをする旦那ちゃんに尋ねる。
「うーん、飽きないというより、日課になっちゃっているからなあ」
「だけど、成果はいまだなし」
「にゃろ」
振り返ると嫁ちゃんは、ベッドへごろんとしてスマホをいじっている。
旦那ちゃんは苦笑する。
(こういう感じだから、いいんだろうけど)
「旦那ちゃん」
「はい?」
「パンツ」
「履いてるよっ!」
「履いてないよっ!お尻が・・・生尻がでてるでしょっ!いくら暑いからといって尻だし駄目っ!」
「え~じゃ、前で、どーん!」
「フン・・・安定のしょんぼり~・・・しょんぼりくん」
「うぇーん」
真夏の夜に旦那ちゃんの嘆きと、嫁ちゃんの笑い声、いつまでも。
おしまい
読んでいただき、ありがとうございます!




