№1 結婚へのカウントダウン
現実が迫まります。
さて、プロポーズを決めた大助と芽衣ちゃんだったが、目の前に迫る結婚を甘く考え、築けばお互いに現実を直視することとなる。
そんなことも思いもしない二人は、尾道プロポーズの翌週、バカップルよろしく天草でお泊りデートをいそしんでいた。
「いや~、天草は近いし海が綺麗だね」
大助の遠出に慣れたおつむは、完全に麻痺していた。
「でしょ。食べ物も美味しいもん」
安旅館の食事に大満足し、翌日は晴天の青空と冬の煌めく海を眺めつつ、海岸線を車で走らせる。
大助は頃合いを見図り、
「親に会ってくれる?」
とおそるおそる聞く。
「いいよ。いつにする」
芽衣ちゃんは即答してくれた。
「そうだな~じゃ早い内に」
「じゃ、先に大くんのご両親に会おうか」
「分かった・・・んじゃ、結婚式も考えないと」
大助は先へ話を触れる。
「いいよ結婚式は別に」
予想外の返事がくる。
「なんで?」
思わず、聞き直す。
「だって、そんな年でもないでしょ」
「ま、そうだけど」
「するにしても、小さい結婚式がいいな」
大助はおぼろげながら地元で結婚式をあげ、いっぱい招待してご祝儀をたんまり貰おうという腹だったので、
「そう、俺はみんな呼んで大きな結婚式にしたいな」
「みんなって、どこまで」
「友達とか、会社の人とか」
「無理無理、友だちはいいけど、会社の人は嫌・・・絶対に!」
芽衣ちゃんは強烈に拒絶する。
「・・・そう」
「そうよ・・・そう」
大助は食い違う考えに結婚へ前途多難を感じた。
その後は旅行を楽しむことにして、この話題には触れなかった。
しかし今後、熟年のバカップルに澱のように結婚という現実が、積み重なっていく。
微妙に考え方のズレが生じているのに一抹の不安を感じる大助だったが、
(なるようにしかなるさ、まずは踏みだす事)
そう思うことにした。
もう、2人は前へ踏みだしたのだから。
結婚という現実が少しずつ重くのしかかる2人だったが、まず第一関門、大助の両親へ結婚の挨拶をすることになる。
緊張する芽衣ちゃん、その時大助は・・・次回「山本家食事会!どうぞ、どうぞ~」でお会いしましょう。
年をとってからの結婚は、いろいろあります(笑)。