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08.植物王女と初めて栽培

 朝間の空が青く澄んで絹のように光る。色とりどりの小鳥たちが自由に歌っている。


「収納ボックス!」


 収納ボックスから木の芽を取り出して設置する。

 魔術のように幅広い農園がすぐ現れた。

 中央は20坪ぐらいの畑であり、隣に2棟の倉庫も付いている。


 これは【農豊女神の農園】という生産職イベンドの賞品であった。

【SWO】に、あたしは戦闘職として活躍していったが、生産職にも結構やっていたよ。


「これはデメテル様が言った畑ですか? まるで農場のように広いです」

「凄いでしょう」

「はい、さすがデメテル様。このガラス見たいな部屋はなに?」


 リリスが農園を見渡しからあるガラス張りの建物に射して疑問を口にする。


「これは温室と呼ばれるものだよ」

「温室って」

「えっとな、その中にメロンを栽培すると、雨が降っても風が吹いても大丈夫よ。因みに、内部の温度が部屋と同じ、自動的に調節できるよ」

「温度って、なに?」


 うん…… どうやら、話は自動的に翻訳されたが、言葉は存在しないと伝えなさそうだ。


「つまり、熱さと寒さは自分の好みで決められるのだ。部屋の中にもそうでしょう」

「やっぱりデメテル様は素晴らしいよ! 見たことのない凄いものがいっぱいです」


 まぁ、剣と魔法の世界について、科学の存在そのものが不思議だったよね。

 っていうか…… これは科学じゃないよね? ゲームの仮想アイテムだよね!


【農豊女神の農園】なら、用水問題を考えなくてもいい。

 この農園自体が地下水脈を探す機能を持つのだ。


「収納ボックス!」


【メロンの種(普通)】は100個、【メロンの種(良質)】は40個、【メロンの種(上質)】20個。最後は1個しかなかった夕張市連動インベンドの記念品【夕張メロンの種(特級)】なのだ。


 特級のメロンは女神様に差し上げるのは言うまでもないのだ。

 そのため、温室で栽培するのは当然なのだ。


 それについて、ちょっと考慮がある。

 唯一の特級種なら、普通の水と土壌できっといいものを育てないことだ。

 そのため、世界一の水と土壌を探さなければならないのだ!


 その前に、まず資金のことだ!

 メロンハウスと農園をレベルアップするため、かなりの金が必要なのだ。

 昨日は確かめていた。【SWO】のゼニじゃなく、ここの貨幣——ギルなのだ!

 つまり、一年で農園を最高レベルにアップさせて、最高級の夕張メロンを女神様に差し上げることだ。


「リリス、この種を畑に蒔いてくれ」

「わかりました。任せてください」

「1個ずつ60㎝の距離を保してね、こうして」

「デメテル様は上手ですね」

「ウフフ~ あたしは農家の娘だよ」


 二人の力を合わせて、100の【メロンの種(普通)】を30分だけで蒔いた。

 太陽が昇ると共に、農園はだんだんと暑くなってしまった。

 汗びっしょりの二人は顔を見合わせて笑い出した。


「ウフフ~ リリスは大丈夫かしら? びっしょびっしょしているよ」

「デメテル様こそ、体も萎んでいますよ。大丈夫ですか?」

「平気平気、もうすぐ終わりよ。」


「栽培!」


 スキルを使うと共に、畑の土壌から浅い緑色の芽が次々と萌え出る。


「デメテル様! 見て、芽が出るよ~ これがあのメロンに変わりますか?」

「そうよ。五日ぐらいで出来上がるよ」


 現実世界のメロンはほぼ50日が必要だったが、【農豊女神の農園】と【栽培】を合わせて、で五日だけで収穫出来たのだ。

【栽培】だけで使うと、またカットメロンが出る。

 コストと利益を考えると、やはり丸1個の方が良いなのだ。


「リリス、一緒にお風呂入ろう」

「わかりました」


 ◇■◇■◇■◇■◇


 冷房がついている居間に二人はメロン味のアイスを食べて、ソファにごろごろしている。


「やっぱり人生は楽しむものなのだ」

「デメテル様」

「なに」

「次々と不思議なものを出したデメテル様の故郷はどんな場所ですか?」

「うん…… 魔法と全く違って、科学というものを用いる国なのだ」

「科学? でも、デメテル様の魔力も凄いですよ! 例の広範囲魔法、何の名前だけ?」

水仙スイセンだよ」

「そうそう、あのスイセンを使うと、即刻に国を滅べますよ。どうして世界征服に興味がありませんか?」


 リリスが赤ちゃんみたいな期待している眼差しであたしに目が向く。

 うん…… 転生のことを教えるか? 

 でも、そんな不思議なことを信じる人があるではないだろう?

 まぁ、転生の部分を抜いて教えましょう。


「ね、リリス」

「はい」

「あたしはね、女神様のお陰で、ここに来たんだ」

「へへへ! デメテル様は女神様の使者なのですか!」

「そう、そういう感じなのだ。女神様とあることを約束していた」

「あることって」

「一年で世界一番美味しいメロンを女神様に差し上げることなのだ。そういう訳で、この一年間に世界征服などの余裕がないのだ」

「わかりました。つまり、女神差が満足した後、デメテル様の野望は世界征服ですよね~」

「まぁ、そういう感じなのだ」

「わい~ デメテル様凄い!」


 世界征服について、あたしもすごく興味があるのだ。

 この大地をメロンの色で染め上げる何て。

 考えるだけで、もう興奮してたまらないのだ。


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

『面白い』『続きが気になる』と思われましたら、是非ブックマークの登録をお願いします。

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