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06.植物王女と土地売買

「メロン、もう、食べられない。エヘヘ」

「でっ、デメテル様。あそこはだ、もう、ダメ」


 リリスの色気っぽい声を次々と出した。

 何よ、欲求不満かしら?なら、ちょっといたずらしましょう。

 それより、口の中で、尖った硬いものは何?

 そして、手元の柔らかいふにゃふにゃの触感は?


「デメテル様、角は、だっ、ダメ」

「わあああ! ごめん! あたしの寝相が悪いだもの。アハハ……」

「デメテル様のバカ! あたしはもう嫁にいけないの!!」


 リリスは口を可愛いリスのように膨らんでおり、床に落ちた服を拾い上げる。

 爽やかな朝日は窓から、彼女のボディに照らしている。赤ちゃんのように白い滑らかな肌は宝石のようにキラキラと光っている。


「あの…… どうしてリリスはツルツルしているの?」

「デメテル様のバカ! 私にあんなことをさせたのに! もう! ちゃんと責任を負ってくれよ!」


 …… あんなことで? 全く覚えがないね。

 この状況から見ると、『眠れるエロい女帝』と呼ばれる寝相のせいだったらしいね。

 昔に修学旅行をした時に、眠れる状態で同室の三人を下着も残らず脱いでしまった。

 アハハ…… 幸いにしてあたしは女の子なのだ。男なら既に社会的に死んでしまったよね。

 いかんいかん、思い出の場合じゃない! 早くリリスを慰めよ!


「収納ボックス!」


 収納ボックスからピカピカと光っている指輪を取り出した。


「リリス、ごめんね、あたしを許してくれないか?」

「デメテル様! 未婚の女性にあんなことをさせたのはダメです! 次があれば、絶対に許しませんよ!」


 リリスはマジ天使だ! 


「アハハ、お詫びとして、これをもらったくれないかな」

「素敵~ こんな綺麗な指輪が初めて見た。これはドラゴンだよね、本当にもらっていいでしょうか?」

「いいよ、リリスととっても似合いだもの、早く」


 リリスは指輪を受け取って、右手薬指に付けており、マジ天使の微笑が露になった。


 ちなみに、それは【竜王のリング】であった。竜人族ドラゴニュートの全ステータスを1.5倍にするインベンドの賞品であった。

 ところで、収納ボックスの中にあたしに役立たない装備は結構多かったよね。

 例え自分に役立たないにも、決して他人に売らない。他人を強くさせないことこそはあたしの強さの秘密であった。


 今日の一番肝心のことは畑を作るための土地を探すことである。

 この町に土地売買の専門店がないため。よって、取引は商業ギルドを仲介業者として販売する。


 畑の土地を買うため、リリスを連れて、銀行、じゃなくて、商業ギルドに行き着いた。


「いらっしゃいませ。あら、これは期待株のデメテルさんではありませんか。私はもう聞きましたよ。初日ですぐあれほどを稼ぐ何て」


 昨日の有翼族ハピーの娘———ミリアがあたしを見ていったら、すぐ笑って声を掛けた。


「ウフフ、それはどうも…… そういえば、人が多いね」

「それは仕方ではありません。暗黒竜の騒ぎで、沢山の店が損をしました。皆さんが全部保険金の給付を待っていますよ。そういえば、暗黒竜が凄い人に倒されたそうですが、一体に誰かしら?」


 保険金か…… 保険会社じゃなく、ギルドで? まぁ、異世界だしね、気にするな。それに、騒ぎの張本人が今ここにいるよ。

 念のため、ミユーに『内緒して』を願いた。

 その決断はやはり正しかったよね。


「ところで、デメテルさんは何か御用ですか?」

「あぁ、大事なことを忘れちゃった。あたしは土地を購入したいが、待つ必要があるよね。なら、また次で——」

「土地の仲介なら、すぐ受付できますよ。二階で案内します。どうぞこちらへ」


 ミリアに従い、二階のVIP室に来た。


「それでは、デメテルさんはどのような土地が探したいですか?」

「えっと、町にちょっと離れて、日当たりが良い、うん、周りは川とか湖があればもっといいかも。予算は150000ギルでお願い」

「あの、土地はどの用途で使用なさるのでしょうか?」

「畑を作るためよ」

「畑!!!!!」


 ミリアは昨日のリリスと同じ反応だった。

 畑を作るって、そんなに不思議なの?


「そうよ。昨日からニャーニャー堂で販売したメロンは知っているよね?」

「はい。私も2カットを買い、食べましたよ。その甘さは今でも口の中に残っていますよ!」

「あたしはそれよりもっと美味しい、イーヤ、世界一の美味しいメロンを栽培したいだ! そのため、良い土地を探しているよ!」

「もしよければ、収穫したメロンは是非ギルドで販売させていただきたいです!!」


 彼女はピカピカしている瞳であたしを見て、机の下から結構厚い冊子を持ち出した。


「デメテルさんの要求について、広い方ですよね。せめて60坪以上…… 満足できる物件では…… 1件しかありません」

「1件しか……か? まぁ、厳しい条件だしね、かくなる上は仕方がないよね」

「ご理解させて、ありがとうございます。では、この物件について、説明します」

「シリスティアから15キロ、北西部のイウハリ平野に位置している広さ120坪以上の土地です。ディナイ川から2キロの距離があります。周りは山など日当たりを妨げるものが一切ありません。値段は120000ギルでいかがでしょうか」


 15キロか? あたしとリリスとも飛べるから、気にしなくてもいい。120坪なら、アレを建てられるかもしれない。

 ところで、イウハリって、イウバリ、ユウバリ! 夕張かよ!!!


「ウフフ~ これはいいかも、見に行きたいが、行けるかしら?」

「はい、今すぐ案内します。しばらく……」

「そんなに面倒なことをしなくてもいいよ。地図を貸してくれ。行くよ、リリス」

「はい! デメテル様」


 地図を持ち、ギルドから出って、リリスと一緒に風に乗せて、紺碧な大空に舞い上がる。


「リリス、スピードの勝負しょう」

「それは無理です! 私はデメテル様の足元にも及びません」

「昨日はそうかも、今日はきっと違うよ。自信を出して、行くよ」


 放った矢のように空を切り裂き、飛ばした。

 リリスは黒曜石のように真っ暗な翼を振り、全力であたしを追いかけている。


 あたしのスピードなら、15キロの距離は数分だけですぐ行き着いた。リリスのAGIは【竜王のリング】により、1.5倍にアップさせて180になった。しかし、AGI2400のあたしを追いつきたいなら、別の話なのだ。


「やはり私はデメテル様の相手ではありません。しかし、どうして私のスピードはこれほどにアップしましたか!」

「その指輪だよ。あなたの能力を1.5倍に上がったぞう」

「そんなにいいものを私に! デメテル様」

「よっ、よせ! 今はそんなつもりはないよ! 早く土地を確かめて、契約をしたら。部屋を建てられるよ」


 とはいえ、朝にはあんなに嫌な顔なのに—— どうしていきなり積極的になったのか?

『女の心は猫の目』——か? ていうか、あたしも女の子だよ!!!


 空から俯瞰する。ここは海のような広がる平野でおる。立ち木が緑したたる大地にこんもりとした影を落とす。真珠のように輝いた太陽の光は芝生をキラキラと輝かせている。雲上にそびえる山から生命の水を人々にお与えになる美しい川は流れている。


 ここはもうすぐあたし、いいえ、あたしたちの家になることを思ったら、胸を膨らませ、興奮で鼓動が高鳴る。

 片手でリリスの腰を抱き、今まで一度も出さなかったフルスピードでシリスティアの町へ向かう。


「デメテル様! 速過ぎますよ! めっ、目が開けられませんよ!」

「アハハ、今は一刻も早く、あたしたちの家を作りたい気持ちが興奮するぜ! 我慢して、もうすぐ到着よ」


この度、自分の拙作をお読み頂き、誠にありがとうございます。

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