05.植物王女とドラゴンメード
ミユーを無事にニャーニャー堂に送り、リリスを連れて、町の外へ飛んで行った。
飛びながら、地面を俯瞰する。
生き生きをしている木の枝に、見たことのない鮮やかな花が咲き誇っている。茂った草が夏の風にそよいで「サラサラ」と音を響いていた。緑の草原と青い空が地平線までつながっている。
元々、リリスを町の外へ連れて、山とか何とかを破壊し、彼女に力を見せるつもりだった。
ところが、この美しい大自然を見たうちに、気が変わった。
「ふ、ふふ……あははははは!」
「な、何をするつもりか!!」
「大丈夫だって、はっきりと楽しんでくれよ」
事後、鞭で縛られたリリスを連れることを忘れ、空に自由自在に飛び回ることをきちんと謝っていた。
綿花のようにふわふわの雲を突き抜け、雲上の世界にたどり着いた。眩し太陽の光があたしにとって、すごく暖かい、癒されているような感じであった。
「リリス、もう着いたよ。目を開けて」
「お前! こんなところに何をつもりだ! 私を太陽の中に投げつもりか!!!」
「別に」
「ならば、何をつもりだ! 正々堂々と勝負で言ったでしょう! お前を信じていた私はバカだ!!!」
あたしのことを信じているか。
この子可愛いな。今すぐ抱きしめたいけど。
まずは彼女に力を見せてやろう!
「目を開けて、はっきりと見せてくれよ。あたしの力を——」
「水仙、発動準備!」
冴えた声は雲上の世界に木霊している。このような美しい花を名乗るスキルは世界を亡ぼす力を持つこと、誰でも想像できないだろう
雲上に5キロ平方メートルの青い魔法陣が現れている。真珠のように輝いた太陽の光でキラキラと光り輝いている。魔法陣の中から澄んだ水は燃える炎のように空へ湧きたっている。魔法陣の真ん中に二本の莟を付ける茎が萌え出して、太陽の光を吸い込み、30メートルの高さまでに急成長した。
「これは、お前は、いっ、いっ、一体!」
「大丈夫だよ。安心して見てくれ」
「水仙、発動!」
発動の命令と共に、二つの莟は同時に異色な花を咲き誇った。青空からの光は咲いた花をキラキラと光らせている。雲上の世界はだんだんと眩しい光で満たされている。
「――――――!」
聴覚を破壊できるような甲高い音が響くと共に、二本の花が一斉に爆発した。白と黄色の閃光は周りの大気を微か残らず蒸発させていた。青い水は燎原の火と化し、雲の上を水色に染め上げている。
爆発の余波は凄まじい空を切り裂き刃のように、四周へ拡散した。
もちろん、スキル使用者のあたしに対して、効かないよ。後ろに隠されたリリスもね。
これこそが、最大の切り札———【水仙】である。
かつてのPVPインベンドで、一撃で500人以上の敵を倒した超強いスキルだった。
本来の威力があまり強くないけど。ユニックスキル【日光】で作った人工太陽の光を吸収した後、威力が一気に10倍に上昇できる。
しかし、近距離で太陽の光を吸い込む何で、初めてだった。
ところで、さっきの威力は50倍程度があるね。さすがあたし。
「リリスちゃん~ この攻撃を耐える自信があるの?」
不味い…… 彼女は衝撃により、ポカンと口を開けている全身がぶるぶる震えてしまった。
当然の反応などのことを思わない。一刻も早く地面に降りて、彼女を休ませてくれよう!
鞭を収め、彼女を抱いて地面に緩めて降る。
今の彼女はまるでさっきのことを忘れたように、仔猫のようにあたしの懐に丸く縮んでしまう。
やりすぎよ!! あたしは凄く後悔した。
「もう大丈夫だよ。怖れさせて、ごめんね」
彼女はやっと意識を取り戻したが。あたしの懐から力で抜け出した。
まだやる気があったか? そろそろ止めよか…… 彼女に傷つけたくないだもの。
「おま、あなたの名前を教えてくれませんか?」
「デメテルよ」
「デメテル様の強さもうはっきり感服しました! このリリス、デメテル様に忠誠を捧げます!!」
忠誠……か? そうなに深いことを考えてないよ。
「収納ボックス!」
「リリス、さっきはごめんね。服をボロボロにしちゃった。これを着替えてくれ」
「はい! デメテル様からの服、きっと大事にします!」
リリスの手を触った瞬間、黒水晶のような神秘感をもつ光を輝く。
【暗黒竜リリスは僕になった。称号【植物王女のメード】に変更した】
「デメテル様、首筋が暖かいように! とてもいい気持ちを感じます」
リリスの首筋に小さな淡緑色の網目模様な丸い印に表した。
…… メロンかよ!!!
「リリスは勝手に契約をしたことは大丈夫かしら? 確か四天王の一人の手下だったよね」
「それは大丈夫ですよ! ベストラ様は私を娘として育てていたから。強い主を見つけたと知ったら、きっと喜びますよ!」
娘か…… 勝手に娘さんを奪ったこと、ごめんなさい……
あたしも女の子だもの、大丈夫だよね。ウフフ~
「ところで、リリスは最も使いやすい武器は何かしら?」
「はい! 双剣です! しかし…… さっきデメテル様に縛られた時、剣が落としてしまいました……」
「それはごめんなさい。えっと、双剣だよね。これはどうかな、よいしょっと」
「これは! 凄まじい切り味、軽くて完全に重さを感じられません。本当にもらえていいでしょうか?」
「いいよいいよ~ あなたの剣を落とさせた謝りだもの」
「デメテル様から授けられた剣と衣装! きっと命より大事させていただきます!」
「おおおお! 結構似合いじゃない」
黒を基調としてのワンピースに清楚な白いエプロンと組み合わせる半袖のメード服は、リリスの黒曜石のようにツルツルの髪にぴったりと似合っている。白い微粒に取り巻かれた太陽光は彼女の双剣をキラキラと光らせている。
「デメテル様! デメテル様!」
「アハハ~ ごめん。リリスが凄く可愛いだもの、つい……」
「わ、わ、私は…… か、か、可愛い何て」
リリスの顔が完熟トマトのように、赤くなった。
やはり、あたしの目が間違いなかった。彼女こそ、夢の中でも追い求めるメードであったよ!
昨日の芽衣ちゃんはきっと夢にも思わなかったでしょう。
「相手のステータス確認!」
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名前:暗黒竜リリス
種族:竜人族
称号:植物王女のメード
レベル:70
HP:2000/5000
MP:2400/3000
STR:200(+400)
VIT:150(+150)
INT:100
AGI:120
DEX:150
装備
頭:【空欄】
体(上):【漆黒のメード服三式】VITを2倍にする、破壊不能
体(下):【漆黒のメード服三式】
左手:【閃光竜の双剣】STRを3倍にする。ユニックスキル【ドラゴンの怒り】
右手:【閃光竜の双剣】
装備品:【竜王の加護】 ユニックスキル【竜人化】
装備品:【空欄】
装備品:【空欄】
スキル
S;【空欄】【空欄】【空欄】【空欄】
A:【暗黒の息吹】【火炎の息吹】【空欄】
B:【闇耐性・大】【火耐性・大】【空欄】【空欄】
C:【闇耐性・中】【火耐性・中】【双剣熟練度上昇】【空欄】
ユニックス:【ドラゴンの怒り】【竜人化】
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まぁ、他の装備はまた後にしよう。
「デメテル様、世界征服は何処からしますか?」
世界征服? そのようなつもりはないよ!
せめて、今はそう思わなかった。
女神様に満足させるメロンが育てないと、あたしは地獄に落ちてしまうよ!
「いいえ、そうなんつもりはないよ」
「そんな…… なら、デメテルさんの野望を教えませんか?」
「畑でメロンを栽培するよ」
「畑だとう!!!」
リリスが耳を疑ったように大声を出した。
「デメテル様はあれほどの力を持ったのに、何故畑を…… そしてメロンは何よ!!」
「収納ボックス!」
「リリス、これを食べてもらえないでしょうか」
「これは?」
「メロンだよ、あたしの故郷の名産だよ。美味しいよ」
「カム!」
「わあああ!この柔らかく食感、口の中に残された甘さ」
「リリス、あたしの夢はね、世界一番美味しいメロンを育てるよ! あたしを助けてくれないか?」
「意味はまだ分かりませんが、デメテル様の夢なら、是非完成させてください!」
「ウフフ~ これからよろしく。さぁ、町に帰るよ」
「わかりました。デメテル様は速過ぎますよ! 待って」
再びニャーニャー堂に戻った時。目を疑うような光景を見た。
「皆さん! 大変申し訳ございません。今日のメロンは全部売り切りました」
閑古鳥が鳴いていた店の外には、既に十数人が並んでいる。セラさんとミユーは何を説明しているようだ。
あたしの姿を見て、まるで救世主を見たように、目がキラキラしている。
「デメテルさん! 見て見て、40カットのメロンは僅か30分で売り切っだぞう!」
「申し訳ございません。お客様がどんどん来て、全然止まりませんよ! 良ければ、追加注文していただけないでしょうか!?」
「わかった! わかった! 今すぐね、収納ボックス!」
「これは60カットよ、ミユーちゃん手伝いお願いね」
こうして、メロンの発売初日で100カットを飛ぶように全部売り切った。一気に売れ筋の商品になった。
売上の七割175000ギルと追加注文100カットの前払い金75000。
250000ギル~ つまり2500000円をゲットしたよ。
異世界生活の第一歩、メロンメロン大成功。
今日はもう遅い。土地を買うなどのことを明日やりましょう。
「木の実」という宿屋で泊まりたいが。ツインルームは全部満室をしてしまった。しかも、シングルルームが1室しか残っていなかった。
…… まぁ、女の子同士だもの、平気平気。
柔らかいベッドでごろごろして、まるで昨日の憂鬱さは全てなくなったようだ。
あのつまらない生活の呪縛から解放して、自由自在に人生を送っている。
「ふうう、こわい」
「デメテル様! 何か怖いものが現れたのか! 私に任せてください!」
「違う! ごめんごめん、つい故郷の言葉を話した。あたしの故郷で『こわい』は『疲れた』の意味だった」
「もっ、申し訳ございません! デメテル様が疲れたら、早くごゆっくり休んでください」
「リリス、床で何を? 早くベッドに入れ、早く!」
「デメテル様と一緒に寝るものですか。私は床でもう十分です」
「命令だよ、早く!」
こうして、竜人族の仲間と250000ギルという素敵なスタートで、あたしの異世界生活は始まった。
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