10.植物王女と商業都市
五日後——
朝日の日差しはイウハリ平野の青草をキラキラと光らせている。
サボテンガーディアンたちは農園にてくてくと巡り歩いた。
収穫していたメロンについて、1個10000ギルでセラさんの店で販売する。
種の問題について、昨日リリスと一緒に味を試す時に、ちゃんと種を集めていた。
カットメロンと違い、今回のメロンは種が附くものであった。
故に、種の問題は既に解決したよ。 あたしの事業は順風満帆なのだ。
今日はリリスを連れて、商業都市・インストリアに行くつもりなのだ。
新しい商機を探すと共に、例のお嬢さんと会いたいなのだ。
僅か1時間で町を囲む壁が見えてきた。
「リリス、降りるぜ」
「デメテル様、何故直接に飛び込みませんか?」
「城壁に設置された対空兵器を見なかったのか?」
「それなら、軽くて突破できますよ」
あぁ…… 全く忘れちゃった。リリスは元魔王軍の一員だった。
「ね、あたしたちはここ来る目的を忘れたのか?」
「買い物ですよ」
「破壊したら、どこで買うの?」
「あぁ! ごめんなさい!」
天真爛漫の顔に目を凝らして見て、リリスに常識を教えることを決心した。
空から行き着いた植物族と竜人族の二人が目を引く。
町の門に近くなると、数人の門兵が駆け寄って来る。
「お前らは何のつもりだ」
門兵が尋ねてくる。
「普通の商人だよ、これは証明カード」
ギルドカードを彼らに示す。
「身分を確認した。中へどうぞ」
この際に、ある人間族の兵士がこっそりとクレームする。
「なんで下等の亜人達も町に入るのか? あの小娘領主は何を考えてるよ!」
来た、異世界でよくある人種差別問題だ。
シリスティアは亜人が集まる町のため、このようなことがあんまり気付かなかった。
幸い、リリスが聞こえなかったそうだ。さもないと、大騒ぎを起こしてしまうよ。
このままに放っておき、町に入るつもり時。
ある隊長らしい男性はさっきの兵士を叱った。
「お前ら、領主様の命令に不満なのか! 早くこちらのお嬢さんたちに謝れ!」
「チッ、悪かったよ!」
兵士が不本意的に謝って、門番のところに戻った。
「部下の失礼なことについて、大変申し訳ございません」
「構わないよ。ところで、あなたも人間族だよね?どうして……」
「それは——」
彼はディアウロス、商業都市の警備隊長という者であった。
数日前にまだ人間族優遇の町であったが、新しい領主は就任した後、種族平等の政策を推し進める。下等市民と奴隷の亜人待遇を一気に改善する。
元々の優遇された一部の人間族はこれで都合が悪くなり、不満な気持ちは理にかなっているのだ。今は彼女の新政について、賛否両論であった。
ところで、その領主はアレクス家の新任当主、クリエス・アレクスであった。
いくら天才と呼ばれると、15歳でこのような手段を持つ彼女は絶対にチートだった。
「それでは、お嬢さんたち、インストリアで楽しんでください」
「あぁ、いろいろ教えてくれて、ありがとう」
さすが商業都市と呼ばれる町だった。シリスティアより数倍大きいだった。
広場には女神像を付ける噴水があり、周りに何軒の屋台もある。
ある屋台の親さんが二人を気付いて、声を掛ける。
「いらっしゃい、可愛い嬢ちゃんたち、うちの新商品を食べてみようか?」
あたしは肝心のことを終わる後で遊びタイプなので、断るつもりだが。
リリスのピカピカと光っている目を見て、親さんに返事する。
「親さん、二つお願い」
「毎度あり!」
広場に設置しているベンチに座って、所謂『新商品』に目を凝らして見る。
「デメテル様、これは冷や冷やして、とっても甘いですよ」
「アハハ…… そうね」
ビニールのカップに盛る白い柔らかく固めて糊状のモノ。
どう見えてもアイスクリームだったよね!
この柔らかさと甘さ、絶対にアイスなのだ!
でも、味はちょっとおかしいだった。
せめて、北海道の味ではなかった。
この世界はそんなものがあったけぇ・・・
まぁ、気のせいかもしれない。
「デメテル様、あそこもまた美味しいものいっぱいありますよ」
「しょうがないね、それじゃ、2時間後で、ここで集合しましょう~」
「はい、デメテル様大好き」
◇■◇■◇■◇■◇
一人で種の専門店に行き着いた。
「いらっしゃい」
「すみません、果物の種が欲しい」
「それなら、こちらへ少々お待ちください」
さすが商業都市だった。果物の種だけで、数十種類を販売している。
ところが、リンゴや、モモ、スイカなどものあるのに、何故メロンの種がないの?
まるでこの世界があたしの来ることをずっと待っている見たいだ。
最後はイチゴとモモ種を各100個買った。
メロン以外のモノを育てつもりはない。それは【合成】のためなのだ。
選んだ二つの果物はメロンと共通性を持つ。
それは——— 果肉にたくさんの水分を含むことなのだ。
しかも、メロンより刺激的な甘さがなかった。それは、ブドウとスイカをパスした理由であった。
【メロンの種(普通)】と一緒に【合成】したら、もっと美味しいメロンを出来た可能性があると信じる。
「ところで、植物族のお客さんは珍しいですね」
「あたしは遠い場所からやって来たわよ。ところで、店主さんは人間族だよね、亜人のあたしに嫌いじゃないの?」
「安心してください。私と夫も領主様を支持する改革派ですよ。そして、嬢ちゃん見たいな可愛い子を嫌い人がいるわけがないでしょう?」
いるよ! 【SWO】に『デメテル被害者連合』という大嫌い組織があるよ!!!
「ウフフ~ その領主様に会いたいな。でも、貴族ならそう簡単にできないよね」
「いいえ、会いたいなら、アレクス商会ですぐ会えますよ。道を教えましょう」
「店主さん、ありがとう」
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