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エインVSフォティア

僕はエルドリア王国に着き、シルニアたちと別れてから一旦ミレさんがいる宿によって帰ってきたことを報告した。

そして、爺さんに近況を報告するため学園を訪れた。

そこで、闘技場の入り口でポツンと立っている爺さんの秘書、メイさんが目に入ったので声を掛けた。

「お久しぶりです。メイさんはここで何を?」

「あら、エイン君じゃないですか。今ここで学園長がフォティア君とお話しているんです」

「フォティア君とお話?じゃあ何でメイさんはここに?」

「私、というよりも誰にも聞かれてはいけない話をしているからだと思います」

誰にも、聞かれてはいけない?

何をフォティア君に話してるんだあの爺さんは!


「あなたは何をしに学園に?」

「僕は爺さんに近況報告をしに来たんだ。僕のことについて何か聞いてる?」

「いえ。特に聞いてませんが?何かあったのですか?」

メイさんに話していると思ったけどもしかして話してない?

それとも僕のことはぼかしてある?

「いや、特に何も」

「…………そうですか」

そこからは、特に会話はなく、爺さんとフォティアの秘密の会談が終わるのを待った。


十分ほどが経ち、僕が来た時に既に発動されていた魔法の反応が消えた。

それと同時にメイさんが動き出したので僕もそれに付いて行く。

舞台へ上がるための通路を通り、そこの入り口を出ると、爺さんとフォティアが舞台の上に立っている。

「雰囲気が変わってる?」

夏休みに入る前よりも放っている空気が鋭くなっている気がする。


「お疲れ様です。学園長」

「待たせてすまなかったね、メイ。ところで…………」

メイに謝辞を述べたところで、僕に目線を移す。

「何でエインがここにきているんだ?」

「もうこっちに来たから、近況報告も兼ねて会いに来たんだ」

「そうか、よく来てくれた」

爺さんは僕の肩に手を置き、笑顔を向けてくる。

この笑みは嫌な予感が、する…………


「フォティア君、ちょうどここに同学年でトップの実力を持ったエインがいる」

ああ~これは…………

ミレーネの酒場で一日ゆっくりしておけばよかったと、遅まきながら後悔する。

「今ここで、戦ってみる気はないか?」

「えっっ!?エインとですか?」

そうなるよね。戦うこと自体は嫌じゃないけど、唐突過ぎないかな!


「魔力の事なら心配するな。私がすぐに治すから。『マジック・ヒール』」

爺さんは魔力を急激に回復させる魔法を使用する。

ということは、フォティアは僕が来る前に誰かと戦っている?

「フォティア君は僕が来る前に誰かと戦ってたの?」

「ああ。戦った」

やはりそうか。

そしてその相手も見当はついている。

「ん?よくわかったね。そうだよ。私だよ」

目線を爺さんに向けるとすぐに肯定した。


「誰にでもわかるだろ?これくらいの事。フォティア君はいいの?学園長とやったってことは相当疲れてるんじゃない?」

「まあ、疲れてはいるけどそれ以上にエインと戦ってみたいんだ!」

やる気満々な返事が返ってくる。

少し雰囲気が変わった理由も気になるし戦ってみますか!

「僕も今のフォティアがどれくらい強くなっているのか気になるし、やろうか!」


「メイ、審判をお願いしてもいいかい?私は外で見ていたいんだ!」

「はぁ。いいですよ…………これが終わったらしっかり仕事してもらいますからね!!」

この爺さん、いつでも仕事に追われてるな…………

「わかったわかった。二人とも準備はいいかい?」

僕は舞台に上がり、少しストレッチをする。

フォティアも屈伸などをして準備をする。




「それでは、フォティア君とエイン君の試合を始めます」

メイさんが放った魔法が試合開始の合図になる。

左手を真上に挙げ、炎の魔法を放つ。


『ドンッ!!』


開始の合図と共に両者一斉に動き出す。

「炎を…………」

纏っている!

夏休みに入る前にあった時は使えていなかった魔法。それに、ノータイムでの行使。

「『インパクト』!!」

牽制を兼ねて二発同時に放つ。


「『フレイム』!」

フォティアはインパクトを初級魔法で迎撃する。

「「はああああああ!!!」」

互いの拳がぶつかり合う。

近接肉弾戦。様子見の数発は互いに軽々と捌き、炎を纏った右拳のストレートをエインは左手で受け流す。

「『インパクト』!」

拳と魔法の二弾攻撃。追撃を防ぐための攻撃をフォティアは左手で受け止める。


「イっつ!?!」

この攻撃に反応して受け止めた!?

夏休み前は受け止めても浮き飛ばされていたのに。

それに、この体の動きは…………


左手で受け止めは下が、左腕自体は後ろに思いっきり吹き飛ばされている。

しかし、フォティアはその勢いを利用、加速させ、次の攻撃に移る。

「はぁあ!」

「くっ!」

彼の攻撃は炎を纏っているため、触れるだけでもダメージが入ってしまう。


逆に僕が飛ばされる羽目になるなんて。

それにこの威力、ファイア・ブーストまで使ってる。

「『ファイア・ランス』!!!」

距離が離れた相手にすかさず魔法攻撃。しかも、中級魔法を5連発とは!

「『ペネトレイト・インパクト』!!!」


互いの魔法がぶつかり合う。相殺しきれなかったものはお互いがいる場所まで届いてしまったが、当たることはなかった。

「すごく、強くなったね」

「エインにそう言ってもらえるとは思わなかったな。でも、まだ本気じゃないだろ?リュウガとやった時みたいに全力でかかってこい!!」

炎の色が一瞬蒼に?いや、緋のままだ。


「ならお望み通り、全力で行かせてもらうよ!」

後のことは、爺さんに任せればいいし…………

「『トリプル・ブースト』!!!」

地面を抉るほどの力を持って体を前に押し進める。

フォティア君は反応はするが対応が一歩遅れる。


「がはっ!?」

勢いを載せた拳はみぞおちに直撃。そのまま殴り飛ばす。

「まだだ!『インパクト』」

足裏からインパクトを放ち、吹き飛ばされたからに追いつき、そのまま両手でインパクトを放つ。

轟音と共にフォティアは壁に激突。砂煙が立ち込め、彼がダウンしているかすらわからない。

「さすがに今のは…………」

「いえ、待ってください」

「えっ?」

試合を終了するメイさんを制止する。

エインの判断を肯定するように煙の中から、緋色の炎が燃え上がる。

終焉の先の物語を読んでいただきありがとうございます。ブックマーク、評価、コメント等していただけるとありがたいです。


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