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賊との戦い

~東の森~

エインより先に駆け出したリュウガは刀を抜き、すれ違いざまに賊を斬り倒していく。

弓矢で狙われても刀で叩き落とすか避けるかしてまったく当たらない。しかし刀の間合いでは木の上にいる賊に攻撃は届かない。地上の敵を全滅させると一瞬だけ動きを止める。

「『気刀』発動」

リュウガは刀に魔力を纏わせ、木の上にいる賊を確認する。

何もない空間を横一線、刀で斬ると空間が歪んだかと思うと、次の瞬間斬られるはずのない木の上の賊が斬られて落ちてくる。

飛んでくる矢を避けながら先ほどの動作を五度繰り返し東側の敵をすべて殲滅した。

「強くはないが弓兵は厄介だな。」

木の上の弓兵の対策を考えながら南に移動していく。


南に向かう途中で木に登り、木と木の間を飛んで移動する。

リュウガは厄介な弓兵を先に倒してから地上の賊を倒すことにしたのだ。

しばらくすると、弓を持った人が見えてきた。今まで倒してきた賊と同じ格好をしているためリュウガは刀を抜くと弓兵めがけて一気に飛んでいく。

木がしなる音で弓兵に気づかれるが弓に矢を構える猶予はなく何も抵抗できないまま斬られる。

この一撃で他の賊にも気づかれたが、構うことなく近くにいる弓兵を倒しにまた跳躍する。

地上からは木の上にいるリュウガを迎撃する術はなく、木の上にいる弓兵も絶え間なく移動するリュウガを捉えきれずにいた。

瞬く間に弓兵を全滅させると、木の枝を蹴ってその勢いのまま地上の賊に斬りかかる。

勢いの乗ったその攻撃は賊を一刀両断する。

仲間の衝撃的な死を目の当たりにし、呆然としてしまった賊はリュウガが攻撃態勢に入ったことに気づくのが遅れる。

2人斬られてやっとリュウガの攻撃に反応したが、まともな剣の技を持たない賊には反応するのが精一杯であり、次から次へと斬られていく。

その中で一人リュウガを凝視している男がいた。仲間が斬られても男は表情一つ変えずただ斬られていく仲間を見ているだけだった。

リュウガは男を見る。

「…………」

ほかの賊とは違う雰囲気を感じたリュウガは周りの賊を倒すと一直線に男に向かって駆けだす。

一切素振りを見せない男は腰に差している剣を抜くとそのまま振り上げてから振り下ろした。

男とリュウガとの距離は剣が届くような距離ではない。

リュウガはとっさに剣の延長線上から離脱するとさっきまでいた地面が割れていた。

「楽しめそうだ。」

男はそれだけ言うとリュウガに向かってもう一度同じ攻撃をする。

リュウガは最小限の回避で攻撃を避け、男に向かって走り出す。

リュウガの刀と男の剣がぶつかり合う。

つば競り合いとなるが男がリュウガを蹴り飛ばそうとする。

それを避けたリュウガは一旦距離をとる。

「さっきのを避けるか……」

「貴様何者だ?ただの賊ではないだろ。」

「俺か……」

男が答えるより前に周りにいた賊がリュウガに襲い掛かり、再び戦闘が始まる。

しかしリュウガに敵う者は誰一人としていなかった。

結局男以外の賊は全滅した。

「さっきの答えを聞かせてもらおう。」

「ただの賊だよ。」

男はリュウガに向かって突進する。

男とリュウガは再び剣を交える。

二人しかいない森に剣と剣がぶつかり合う音と地面を蹴る音だけが響く。

互いに攻撃の読み合いになり決めの一手を相手に与えれない状態が続く。

男はリュウガの攻撃を受け止めると力任せにリュウガを吹き飛ばす。

「これで最後だ……」

男は懐から何かを取り出すとそれをそのまま口に放り込む。

リュウガには飲み込む動作しか見えなかったが、男を強化するものだろうと推測して剣を構える。

男は剣を振り上げたまま制止する。

攻撃してくださいと言わんばかりの格好にリュウガは攻撃をしようとするが、男の目を見た瞬間斬られるビジョンがリュウガの脳裏をよぎる。

リュウガが受けの姿勢をとろうとした瞬間男の姿が掻き消え、男の影がリュウガを覆いつくす。

「『身体強化』、「硬質化』!!」

男はただリュウガに向かって剣を振り下ろす。

剣同士がぶつかったとは思えないほどの音が鳴り響く。

衝撃によって地面が割れ、リュウガに倒された賊たちは吹き飛ばされる。

土煙が舞い、周りからは一切見えなくなる。

「『絶』!!」

土煙の中から一言だけ聞こえたその声とともに何かが倒れる。

「危なかった……」

リュウガは土煙から出てくると自らを追い詰めた男の最後の一撃を思い出す。

男が何かを口に含み、それによって強化されたことは明白だが強くなりすぎだとリュウガは未だに震えている右手を見ながら思った。


男との戦闘後、賊を一か所に集めると馬車に戻って紐をもらい、賊を縛り上げて馬車の方へ引きずっていく。

「こいつらどうするつもりですか?もしかしてこのまま王国まで連れてってギルドに引き渡すなんて言わないですよね?馬車に乗りませんよこんな人数。」

「当然そうなるよな。とりあえず逃げれないようにだけしておこう。」

リュウガは賊たちを動けなくするとエインの帰りを待つ。

終焉の先の物語~The demise story~を読んでいただきありがとうございます。ブックマークしていただけるとありがたいです。

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