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出発と出会い

ゴルドーが部屋に戻るのをみんなが黙って見送るとゲルフが料理を運んできた。

「ゴルドーはどうした?」

「部屋で泣いてるんじゃないの~「エインがいなくなって寂しい~」って。」

シルニアはこの場にいないゴルドーをおちょくるように言う。それと同時にゴルドーの部屋から壁を盛大にたたく音がした。

「泣いてるわけではなさそうですね。」

「そ、そうだね~」

目を泳がせるシルニアはこれから起こることが予想できたのか少し冷や汗をかいていた。その後、部屋から出てきたゴルドーも加わりいつも通りの時間が流れた。

みんなが食べ終わった後ゴルドーはシルニアの肩に手をポンと置いてから部屋に戻って行った。シルニアはセインたちに助けを求めたが全員無視して各々の部屋に戻っていった。その夜ゴルドーの部屋から鈍い音とともに「ぎゃあああ」という叫び声が聞けてきた。

次の日、荷物整理などをして一日を終え、出発の日を迎えた。

「頑張れよ。」

「体には気を受けろ。」

「学園で新しいことをしっかり学んでこい。」

「バランスよく栄養を取るんだぞ。」

ガルア、ギルダ、グルト、ゲルフがそれぞれ別れの言葉を言う。

「エイン~私たちが恋しくなったらいつでも帰ってきていいんだからね。」

「お前の方がエインを恋しくなりそうだがな……」

「王国では何が起こるかわかりませんから細心の注意を図るんですよ。」

「何が起こるかわからないのは俺らが王国に行ったときだけだろう。」

シルニアの別れの言葉はギルダから、セインの別れの言葉はガルアからそれぞれ突っ込みを入れられた。「あなたたちはもう少しエインのためになるようなことはいえないのですか?」とセインに言われ

ガルアたちとセインたちの間に不穏な空気が流れるがゴルドーが彼らを睨みつけ黙らせる。

「はぁー。まったくエインの旅立ちだというのにお前たちが喧嘩してどうする。何か手に負えないことがあればあの爺さんを頼れ。それでもだめなら俺たちを頼ってくれ。俺たちといるだけでは分からなかったことをたくさん学んでこい。」

「ありがとうみんな。それじゃあ行ってきます。」それだけ言うとエインは小屋を後にした。


小屋がある山からエルドリア王国までは到底人の足では踏破できない距離にあるため通常馬車などを使って移動するのだが、ゴルドー達は仕事の都合上、エインと一緒に行けないため道中で馬車を確保しなければならない。幸い歩き始めてから10分もかからないうちに後ろから馬が地面を蹴る音が聞こえてきた。エインは大きく手を振って御者に自分の存在を知らせる。

「どうしたんだい?」エインの横に止まった馬車の御者が聞いてきた。

「僕はエルドリア王国の魔導学園に行く途中なのですが、見ての通り学園までの足がなく、徒歩で学園までの道のりを歩かないといけないのです。なのでこの馬車に乗せていただけないでしょうか?もちろんタダとは言いませんから。」

「いくら出すかわからんが積荷はいっぱいなんだすまないな。」

御者はそういうと馬車を出発させようとする。

「銀貨五枚」エインがそういうと御者は一瞬動きを止める。

「本当か?」

「足りないというのなら銀貨二枚足すが、それでどうだろうか?」

この付近から学園までの距離は徒歩では十日以上かかるが馬車なら三日程度で着く。さらに馬車を使う場合一日なら銀貨一枚、二日なら銀貨二枚と銅貨五枚、三日なら銀貨四枚で足りるのだがエインはそれより多い銀貨七枚を支払うといったのだ。御者としては思ってもみない提案に少し戸惑ったそぶりを見せるが銀貨七枚という魅力的な提案は、御者のような危険と隣り合わせの職に就いている者にとっては断る理由がないものだった。

「銀貨七枚。それで乗せていってやる。後ろに乗りな。」

エインは御者の言う通り後ろに乗った。すると中には男が乗っていた。

「君も学園に入学するんだね。」

「さっきの話聞いてたんですね。」

「聞くつもりはなかったんでけどね、『魔導学園』と言ったのが聞こえてきたものだから少し気になってね。すまない。」

顔の前で両手を合わせてすまないと言ってくる男性はエインより年上に見えた。

「構いませんよ。僕も中に人が乗っているなんて思っていませんでしたから。」

「申し遅れたが俺はリュウガ・トドロキだ。リュウガと呼んでくれ。」

「僕はエイン・クロイル。エインと呼んでください。つかぬ事をお聞きしますが、リュウガさんの歳はいくつになるのでしょう?」

「歳か?今年17になったばかりだ。エインはどうなんだ?」

「僕は14です。」

「そうだったのか。落ち着いたしゃべりだし、御者ともあんな風に交渉してるのを聞くと14には見えんな。」

リュウガもたいがいだとエインは思った。17にしては纏う雰囲気が強者が纏うものと大差ないものに感じられた。エインは改ためて男性を見る。服装はこの辺りでは珍しい和装で腰には刀を差していた。刀を武器として使っているのはここより東にある極東と呼ばれる島国付近の地域にしかない。そのためリュウガは極東とこの大陸とを結ぶハルマナ港から馬車に乗っていることになる。

「リュウガさんは極東出身ですか?」

「やっぱこの服装はこっちでは目立つんだな。その通り、俺は極東出身だ。向こうでの修行が終わるまでは学園への入学を許してもらえなかったんだが、去年やっと修行がすべて終えたから入学が許可されて今ここにいるってわけだ。」

そこからは互いの身の上話などをして夜を迎えそのまま野宿をした。


終焉の先の物語~The demise story~を読んでいただきありがとうございます。ブックマークをしていただくとありがたいです。


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