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代表戦当日

「まず今日は、魔法の威力を上げるための練習をしていこうと思う。昨日フォティアは出来ていたから反復練習。フーリアとガウダは出来るようになるまでイメージをしてインパクトを放つの繰り返しだ。じゃあやってみようか。」

フォティアは的に向かって右手を突き出した状態で静止し、フーリアとガウダはエインにレクチャーを受けながら小さい容器に水を満タンにいれるイメージを頭の中に思い描いていた。

「やっぱり難しいな、イメージしながら魔法を発動させるのは。」

「普段は無意識にやっているからなんだけど、改めてやってみるとすごく難しい。」

フーリアとガウダは苦戦しつつも少しづつインパクトの威力を上げていった。

一方のフォティアは既に何枚かの的を壊していた。

「なかなか様になってきたじゃないか。」

「まあ、止まった状態でならできるんだけど、多分動きながらはまだできない。」

フォティアはガウダたちよりかは進んでいるが、まだ戦闘で使えるまでには至っていないのである。

訓練を始めて1時間経ち、三人は魔力切れで地面に座り込んでいた。

「疲れたー」

「魔力量上がってるのかわからんな、これじゃ。」

フーリアは大の字になって倒れこみ、ガウダは先程までインパクトを発動させていた手を見る。

フォティアはインパクトで壊し続けた的の残骸を見たまま黙っている。

「今日はこれくらいにして終わろう。」

エインが終わりを宣言すると三人はゆっくりと立ち上がって訓練室を出る。

そのままエインは宿屋へフォティアたちは寮へと帰っていった。


翌日、朝のホームルームで明日の代表にライアルが立候補したことが先生から知らされ、他に立候補する人もいなかったため、代表はライアルに決まった。

「それじゃあ、ライアル君代表戦頑張ってくださいね。」

「俺にかかればほかの生徒なんて瞬殺してやりますよ。」

ライアルは勝利が当然のような言い草で先生の励ましに返事をした。

確かにエインのクラスの中では上の方の実力であるのは確かなのだが、ライアルの戦い方は雑なところが多すぎて、隙がありすぎるのだ。

フォティア曰く貴族の舞踏会などで行われる剣舞の動きだそうだが、戦闘とは全く無縁の剣技を戦闘に取り入れる考えがエインには理解できなかった。

時間は流れ、代表戦当日の昼になった。

教室には各クラスの代表者の一覧が張り出されていた。

その中にはエインと一緒にこの国に来たリュウガの名前も書かれていた。

「エインはそいつ知ってるのか?」

近くにいたガウダがリュウガの名前をずっと見ていたエインに疑問を持つ。

「ああ。僕がここに来るときに一緒の馬車に乗ってたんだ。和服がとても似合っていたよ。」

「やっぱり、極東出身か。リュウガなんて名前ここら辺じゃ見かけないからな。」

この国には、至る所から人が集まるため、極東出身の人がいてもおかしくはないのだが、大陸と離れた島国であるため大陸に来る人はとても少ないのである。ましてや学園に入学するような年齢の子どもが一人で大陸を渡るなんてのは危険極まりないのだ。

「そのリュウガっていうのは強いのか?」

エインたちの会話を聞いていたフォティアが興味津々に聞いてくる。

「一年生の中なら勝てる人はいないだろうね。」

「なっっ⁉そんなわけないだろ。いくら強いっていても同じ一年生だろ?」

「彼が言うには向こうで修行してきたから入学が遅れたそうだよ。」

エインは旅の道中でリュウガとの会話を思い出す。

いくら何でも修行を理由に入学を遅らせるはずがないとエインは思っていたが、賊をいち早く察知した感覚は並大抵の人じゃできない芸当だった。

エインでさえリュウガが気付いていた時にはまだ気づいていなかったのだから。

「じゃあ、エイン君はそのリュウガ君が代表戦を制すると思っているのかな?」

フーリアがひょっこり現れる。

「そうだね。多分というか確実にリュウガの優勝で決まりだろうね。」

「エイン君にここまで言わせるなんてリュウガ君は本当にすごいんだね。」

まだ見てもいないのにフーリアはリュウガの戦いぶりにワクワクしていた。

「そろそろ時間だし行こうぜ。」

フォティアは時計を見てそう言う。

既に代表戦開始の8分前だった。

教室から代表戦の会場である第二闘技場までは5分の距離にあるためそろそろ行かないと遅刻してしまうのだ。

他の教室からも足早に会場へ向かう生徒がちらほら出てきた。

第二闘技場に着き、自分たちの席に座ったエインたちは代表戦が始まるのを静かに待った。

開会式は一年担当教師のまとめ役の先生が開会宣言をし、生徒代表が意気込みを先生の前で述べて開会式は終了した。そしてすぐに第一試合が行われた。

試合は一年生同士ということもあり一進一退の攻防が続く戦いが多かった。

ただし、リュウガが出た試合を除いて……。


代表戦が終わり閉会式が終了したところで各自解散となった。

エインは一人階段を下りると闘技場の中をふらふらしていた。

「お、エインじゃないか!元気だったか?」

ふらふらしていたエインを見つけたリュウガが駆け寄ってくる。

「久しぶりだねリュウガ。元気にしていたよ。」

「お前と別れてから、一度も会ってなかったからてっきりどこかで野垂れ死んでるのかと思ったよ。」

リュウガは冗談まじりに久しぶりに会ったエインをからかう。

「そう簡単に野垂れ死んだりしないよ。僕だってサバイバル知識はあるからね。」

「ま、そうだよな。そういえばなんで代表戦に出なかったんだ?お前の実力なら余裕で代表になれただろうに。」

「僕は代表に立候補しなかったからね。」

「立候補?クラスで一番強いやつが代表になるんじゃないのか?」

「多分、クラスによって選び方が違うんだ。僕たちのところは立候補制だたけど、リュウガの方は違っただろ?」

「そういう事か。俺らのところはクラス総当たりで一番勝ちが多いやつが代表に選ばれることになってたんだ。」

「やっぱりそうだったか。それで試合の方はどうだった?」

「はっきり言ってつまんなかったね。全員、一の太刀で切り伏せられるから楽しくもない。」

今まで行われていた代表戦はリュウガの圧勝で幕を閉じていたのだ。

リュウガはすべての試合を一太刀のうちに終わらせていた。

むしろ試合はすべて一太刀のうちに終わってしまったと言っても過言ではない。

代表に選ばれていた生徒は決して弱いというわけではない。しかし、リュウガの実力はその中でも頭一つ以上抜きんでていた。

攻撃を避けようにも間に合わず、攻撃を受けようにもまともに受けきれない。

それがリュウガと代表生徒との圧倒的な差だった。

「あーあ、エインが出てくれたらもっとおもしろかったのになー」

「リュウガは僕のことを過大評価しすぎだよ。」

「謙遜しすぎもあんまよくないぜ。それに」

リュウガは周りを見渡して、人がいないことを確認する。

「お前、親善試合で『光帝』に勝っただろ?」

誰にも聞こえないように小声でリュウガは誰も知らないはずの事実を口にする。

「リュウガ、おまえ……」

「確実に見えてたわけじゃないけどな。二人の気配を追ってたら光帝の気配が一瞬だけ極端に弱くなったから。もしかしてと思ったんだ。」

エインは引きつった笑みを浮かべるのが精一杯だった。

エインがあの試合で使用した煙玉は魔力疎外の粒子を混ぜた特別製でサーチなどの索敵魔法対策として使用したにも関わらず、リュウガは魔法に頼らず自らの感覚だけで、エインたちの戦いを感じ取っていたのだ。

「でも、そのあとエインが吹っ飛ばされたのを見て何となく察しがついたから誰にも言ってないよ。そこは安心してくれ。」

「あ、ああ。ありがとう。」

かろうじて感謝を述べるがエインにとっては全く持って想定外の事態であった。リュウガが強いことは賊との戦いで理解はしていたが、ここまで人間離れしているとは思っていなかったのだ。

「リュウガのほかに僕が『光帝』を倒したって感ずいてい生徒はいると思うか?」

「居るんじゃないか?だってここは【魔導学園】なんだぜ?そういうやつがいてもおかしくはないだろ。」

この学園の生徒を軽視していたとエインは反省する。

確かにここはあのアルドルが作り上げた学園なのだいてもおかしくない。むしろなぜいないと思っていたのかとエインは自分で自分を問いただす。

「気にしなくていいんじゃないか?むしろお前が卑怯者扱いされてる方が俺は心配だったんだが、だいじょぶそうだな。」

「まあ、反省はしているけど卑怯者として扱われようがどうとでもなる。この学園は実力がすべてなんだから。」

「いまだに卑怯者扱いされてるのが俺は気に食わないんだけどな。1対1はいかに自分が有利に戦えるようにするかが大切なんだから、あれくらいは許容範囲だと思うんだけどね。」

「その口ぶりだとリュウガは煙の中のでも戦えるように聞こえるんだけど?」

「向こうでさんざんやってきたからそりゃ当然できるよ。」

予想外の返答にたじろぐエイン。

「あ、うん。……えっとね、この学園では魔法と武器を使った戦闘しか教えてないんだ。だから煙玉みたいな搦手対策はしてないんだよ。」

「本当か?戦場に立ったら搦手の一つや二つやってくるだろ?」

「それは多分僕とリュウガが考えている戦場が極端なものかもしれないな。」

「そういう事にしておこう。」

「ていうか、リュウガだって刀しか使てないだろ?」

「まあ、刀さえあれば大抵のことには対処できるからな。」

「リュウガもたいがいな気がするぞ……」

二人が話をしていると、エインの後ろからフォティアが走って来る。

「エイーンちょっと話あるんだけど…………この人は……」

エインと話していたリュウガに気づく。

「俺は、リュウガだ。つっても試合出てたからわかると思うが。」

「フォティアです。さっき試合すごかったですね。」

「ありがとな。でもお前さんとこの代表に勝った俺に賛辞なんて送っていいのか?」

「あんま気にしてないんで大丈夫です。むしろあそこまで圧倒できる実力があることがうらやましいくらいなんで。」

「そうか。で、フォティアはエインに用があるんだろ?」

「あ、そうだったよ。エイン頼みがあるんだ……。」

終焉の先の物語~The demise story~を読んでいただきありがとうございます。ブックマークしていただけるとありがたいです。

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