表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/121

代表戦 

「それはな、容器を小さくするんだ。」

「容器っていうと?」

「さっき容器の中に水を詰め込むって言っただろ?その容器を小さくするんだ。」

「またイメージの問題になるのか……」

「今すぐできるようになるわけじゃないから、そんな難しく考えなくていいよ。」

「ま、そうだな。そうだ、一回手合わせを……」

フォティアの申し出を学校のチャイムが阻む。

「今日はもう帰ろう。明日はフーリアとガウダも一緒に訓練室でやろう。」

「そうだな。」

二人は正門から出るとフォティアは寮へエインはミレさんの酒場に帰っていった。



フォティアは寮に入っていき、自室の扉を開けて中に入る。

「ただいま」

「おお、帰ったか。どうだった?収穫はあったか?」

中にはルームメイトが一人、胡坐をかいて座っていた。

「あったよ。どうにか魔法を教えてもらえるところまでは行けた。」

「大進歩じゃん!で、どうだった、エイン君は?」

「とんでもなかったよ。インパクトでシールドを砕いたからな。」

「えっ?それって普通じゃないか?シールドなんてグーパンで一発だろ?」

「俺もそう思ってたんだよ。でも、俺が放ったインパクトでシールドは砕けなかったんだ。」

「本当かそれ?いくら何でもそれは……」

「じゃあ、確かめてみるか明日?」

「そんなに言うなら、本当なんだろうな。でもよくあんな卑怯者に教えを乞おうと持ったな。」

ルームメイトの顔が少し険しくなる。

「俺は強くなりたいんだ。」

「いつもその答えだな。ま、いいけど。変な風評被害だけはごめんだからな。」

「わかってるよ。俺のこと聞かれても何も知らないで通してくれればいいから。」

「そういう事にしておくよ。じゃあ今日は寝るわ。」

「あぁ、お休み。」

部屋の明かりを消し、二人はベッドに潜っていった。


フォティアたちが眠りに入った頃、エインは客の注文を聞いていた。

「ビールジョッキ目いっぱいにして持ってきてくれ。あと地竜の丸焼きも頼む。」

今日も昨日と同じように冒険者が店内を埋め尽くしていた。

ただ、昨日より店員は増えているのでてんやわんやな状況になっているわけではないがそれでも注文の量がとても多かった。

厨房では料理人が休む暇もなく手を動かしていた。

「おい!肉はまだか?はやくしろ‼」

「はーいただいまー」

注文量に料理人の手が追い付かない状況が続き、料理待ちの冒険者から催促の声が飛んでくる。

店のフロアにいるのはエイン含め5人、昨日に比べたら十分な人数がいる。

「私が厨房に入るから残りの4人でどうにかできるね?」

「わかりました。」

「了解です。」

「はーい。」

「大丈夫でーす。」

エインを含めた4人は厨房に行くミレーネを見送る。

ミレーネが厨房に入ったことにより料理の出来上がるスピードが格段に上がった。

「これ4番テーブルお願い。こっちは6番テーブル。あと1番テーブルの食器片づけちゃって。」

料理の出来上がるスピードが上がった分エインたちの仕事もスムーズになっていった。


「今日もお疲れ様。明日も忙しくなるだろうから、頼んだよ。」

「「「はいっ!」」」

エインを除いた三人は大きく返事をする。

「エイン君もありがとね。昨日に続いて今日も手伝ってもらっちゃって。」

「僕ができることなら何でもやりますよ。」

「なんでもって言ったね?」

ミレさんは不敵な笑みを浮かべる。

「あ、訂正します。僕のできる範囲で何でもします。」

「言い直さなくてもわかってるから大丈夫だよ。」

ミレーネとエインのやり取りを笑いながら、三人の店員は更衣室へ向かって行った。


次の日もいつものように授業を済ませ、帰りのホームルームが始まった。

「いきなりで悪いんだけど、明後日は授業内容を変更して午前中で授業を終えて昼からはクラスの代表によるクラス対抗戦が行われることになりました。代表はクラスのみんなで決めることになるから今決めてくれても構わないけど、どうしますか?」

沈黙の時間が続く。

当然ではある。こういうイベントで代表となるのは貴族と相場が決まっているのだ。

しかし、貴族でもし試合で負けるようなことがあれば、自分の家名に泥を塗ることになる。

そのようなことを避けるために、実力がわからないものとの戦いを貴族は避ける傾向にある。

「まあ、まだ時間もあるし、やりたい人がいたら私のところまで言いに来て。じゃあこれでホームルームを終わります。」

ホームルームが終わり、先生が教室から出ていくと一斉に明後日の代表戦についての話題で教室内は持ちきりになった。

友達に出るように勧める者、どうにか代表に選ばれようと考える貴族たち。

エインは浮かれ切った空気を嫌い、すぐに教室から出る。

(出ないのか?)

(僕は出ないよ。多分出てもまた悪目立ちするだけだろうからね。)

(それはあれを使ったから……)

「エイン、今から訓練室だろ?一緒に行こうぜ。」

一人教室から出ていったエインを見ていたフォティアはすぐにエインを追いかけて教室を出てきたのだ。

「フォティアは代表戦に興味はないのか?」

「ないよ。どうせ、ライアルあたりが立候補しそうだからね。」

「ライアル君は……そういえば貴族だったね。」

「まあ、貴族って言っても俺よりか階級は上なんだけどね。それこそエインが出た方がいいんじゃないか?」

「僕が出るとその貴族たちが騒ぎ出すだろ?」

「確かにそうだな。」

誰が代表戦に出るかを話しながら、エインとフォティアは訓練室へ向かった。

途中、フーリアとガウダも合流して4人での魔法の練習が始まった。

終焉の先の物語~The demise story~を読んでいただきありがとうございます。ブックマークしていただけるとありがたいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ