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授業開始

教室に戻ると先生がすでに来ていた。

「ちょうどよかった。これから授業を始めるから席について。」

エインが席に着くと先生がこれからのことについて話し始めた。

今からクラス全員の魔力量の計測を行い、その後、二年生から初級魔法のレクチャーを受けるというスケジュールだ。

先生は教卓の中から水晶のように透明な球体を取り出す。

「これは魔力計測器というもので、このように手で触れて魔力を流すことで光を放ちます。この光の強弱で大体の魔力量がわかるという物です。自己紹介した時と同じ順番で計測を行います。」

計測が始まるが、光の強さは、魔石を動力源とする魔石灯の明かり程度の明るさの者がほとんどだった。

先生が計測器に触れたときは直視できないほど明るかったので、先生に比べて魔力量が少ない人が多いということである。

当然と言えば当然だが、才能がある人はこの時点で既に先生の魔力を超えていることが多いと言われている。

エインの前の生徒が計測器で魔力を測る。

「眩しいっ」

今までの光より数段明るい光が教室を照らす。先生と同程度の光の強さに教室内がざわつく。

そしてエインの番が回ってくる。

「卑怯者の番だ。」

「どうせ魔力が少ないからあんなことしたんだよきっと。」

エインには聞こえないように皆口々に悪口を言っていく。

特に貴族は、エインが近くを通るというのにわざと聞こえるように侮辱をする。

蹴りでも入れてやろうかと考えたエインだったが、フォルトゥに止められた。

「それじゃあエイン君、お願いします。」

計測器の前に立ったエインは魔力を流し始めると、教室全体が白く染まった。

エインが計測器から手を離すと教室はもとの色を取り戻すが、エインを除く教室にいた人全員はすぐに周りがどうなっているのか確認できなくなっていた。

「な、なにが…」

「先生終わりでいいですか?」

エインの声が聞こえるが、しっかりと姿を把握できない先生は少し待つように言う。

一分ほどしてようやくエインを除く教室にいる全員の目の機能が回復した。

「えっと、もう一回お願いできるかな?どれくらいの強さか判断できなかったから。」

「わかりました。」

エインはもう一度触れて魔力を流すが先ほどと同じ結果になる。

「おかしいな計測器の故障か?」

先生が計測機に魔力を流すがはじめと同じ強さの光を放つ。

「故障ではないってことは…エイン君の魔力はこれでは測定不可能ということに…」

先生が信じられないものを見るような目でエインを見始める。同じように教室にいるみんなからの注目がエインに集まる。

(エインこれはあまりよろしくないぞ。魔力を抑えてもう一度計測するんだ。)

(なぜ?)

(これ以上悪目立ちすると貴族連中からどんな言いがかりつけられるかわかったもんじゃない。)

エインが生徒の方を見ると、唖然としている貴族、「平民のくせに…」と睨みつけてくる貴族とがいた。

(わかった、そうする。)

エインはもう一度計測器に触る。

今度は魔力を抑えながら流したので先生並みの強さの光しか出なかった。

「やはり計測器のエラーですね。あれほどの明るさの人を今まで見たことがありませんでしたから。」

学園長なら計測器を壊すくらいの魔力を持っているはずなので、エインの魔力量なんてかわいいものである。その後は魔力が先生と同等の人が数人出てきたが、先生以上の魔力を持っていると思われる人は出てくることなく計測は終了する。


魔力測定が終わり、中庭に移動すると二年生と思われる生徒が数人いた。

「これから先輩たちに初級魔法を教えてもらいます。扱える属性は人によってそれぞれなので自分と同じ属性の先輩に教わるようにしてください。」

各々先輩のところに向かっていくなか、エインを含む三人の生徒はその場に残っていた。

「先生、無属性の人はどうすればいいですか?」

先生の近くにいた一人が聞く。

「無属性の人たちは私が教えます。とりあえず、無属性魔法の基本である、インパクトとブーストを教えますね。とはいってもエイン君はは既にブーストは使えるようですが、どうですかエイン君?」

「ブーストもインパクトも使えますよ。」

「そうですか。なら、的を出すのでそこにインパクトを打ち込んで下さい。『アースウォール』」

先生が地面に触れるとエインたちの少し前に土壁が出来上がる。

(エイン、威力は抑えろ。おそらくいつも通りの威力で打つと驚かれる。)

(わかった。できる限り抑える。)

「エイン君いいですよ。」

先生がインパクトを打つように催促してくる。

「すみません、今やります。『インパクト』!」

エインの手から放たれたインパクトは土壁にあたり、それを破壊する。

「えっとだね…エイン君それ、インパクトだよね?インパクトってあんな豪快に土壁を破壊できたっけ…?」

威力を抑えたエインだったが一年生が放つインパクトにしては異常な威力であることに変わりはなく、先生は唖然とする。

「えー本来インパクトというのは魔力を球状に固めたものを手から放つという物で、一年生はあの土壁にひびを入れる程度の威力しか出ないはずなので二人とも土壁を壊せなくても落ち込まないでくださいね。」

先生が残り二人へエインのインパクトの威力がおかしいことを伝えつつ、エインに魔法を教えるのを手伝うように言ってきた。

それを承諾したエインは教える側になって残りの二人に教え始める。


各属性の初級魔法レクチャーが終わると一度集合することになった。

「今から教わった初級魔法を使って今から作る土壁に当てください。当てるだけでいいので土壁を破壊しようと思わなくていいです。」

先生が複数の土壁を作るとその手前に生徒が立つ。

ファイアボールやウィンドボールなど初級魔法を土壁に向かって放つ。

狙いが定まらず当たらなかった生徒がいる中で、土壁に当たった魔法はエインのように破壊するということはなく、弾けて消えるか、良くても砂ぼこりが立つくらいだった。

無属性魔法の三人は先生の前で既に初級魔法を放っていたためこれは免除された。

一通り終えると二年生が手本を見せる番となり土壁の前に立つ。

「二年生になればこのくらいはできるようになれるはずだからしっかり見ておくように。じゃあ、お願い。」

二年生も一年生と同じように初級魔法を放つ。

「同じ初級魔法なのにこんなに違うんだ…」

「ここまでなれるかな?」

二年生全員、目の前にある土壁に魔法を直撃させ、ことごとく粉砕していく。

同じ初級魔法でここまで差を見せつけられた一年生たちはこれからのことが不安になってくる。

「これが二年生の実力です。一年違うだけでもここまで差が付きます。しかし君たちも同じ道を通って行くことになります。勉強に励み、魔法技術を向上させていってください。では二年生から一言お願いします。」

先生はまとめのようなことを言った後に近くにいた男子生徒に話を振る。

「いきなりですね、先生。えーっと俺は一年の時は今みたい威力の魔法を撃てなかったんだ。だから、一年間ひたすら魔法の練習をしたんだ。そしたら今みたいに初級魔法でも的を壊せれるようになったから、みんなも諦めずに努力すれば強くなれるからね。」

一年生から拍手が起こる。

「はい、じゃあ次」

先生が今話した二年生の隣の二年生を指名する。

「魔法の力は無限大だよ~。」

「ハイルさんみんなにわかるように言ってあげて。」

先ほど話していた男子生徒が突っ込む。

「えっとね~魔法は友達だよ~。」

ハイルと呼ばれた二年生は言い終わるとこれでわかるでしょという顔をする。

「はぁ~。ということで今回の授業はここまでです次は教室だから遅れないように。では解散。」

「その大きなため息は何ですか⁉先生‼私わかるように言いましたよね?ね?」

先生はハイルの顔を一度見るとそのまま校舎の方に帰っていった。

「先生なんか言ってよ~‼」

ハイルの叫び声が木霊していくのであった。

終焉の先の物語~The demise story~を読んでいただきありがとうございます。ブックマークしていただけるとありがたいです。

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