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運命だった (実話です)

作者: るる

あれはきっと運命だったんだと思う。


中2の春、倉島は私の中学校に転校してきた。ちょうど空いていた私の隣の席に座ったアイツは、背が高くて大人しそうだった。


倉島が転校してきてから2週間。たまたま読んでいた本が同じで、私たちはすっかり仲良くなっていた。クラスの男子達にも馴染んだようで、楽しそう。あまりニコニコしているタイプではないアイツが、下手くそに笑う顔が好きだったんだ。


いつからだったか、倉島は一人でいることが多くなっていった。


「また本読んでるの?」


「びっくりした、お前か。うん、まあ。」


「そう。」


後で分かったのだが、この頃から倉島はだんだんクラスに馴染めなくなっていったのだとか。どんどん笑顔が少なくなっていくのが悲しくて、よく話しかけてたな。笑った顔を見れると嬉しかった。


中学の卒業式、私たちはLINEを交換した。別々の高校に行って、会うこともなくなったけど、連絡だけはずっととっていた。


高校生になってからは、とても楽しかったようだ。こんなことがあった、こんなことをした、と楽しそうなLINEをしてくる倉島を愛おしく思ってたんだ。

そのうち電話もするようになった。私も倉島も電話、苦手なのに。声を聞いてると、幸せな気持ちでいっぱいになった。


高校2年の頃だったか、電話の最中に倉島が言った。


「お前、あの子覚えてる?中学の時の、マイカちゃん。あんまり喋ったことないけど、最近LINE始めたんだ!」


「へえ、よかったじゃん!あの子いい子だよね〜可愛いし!」


本心だったよ。でも今思えば、その時にはもう倉島のこと好きだった。気づいてないだけだったんだ。


それから、電話をしたりLINEをしたりする中で、倉島とマイカちゃんが少しずつ親密になっていくのが分かった。


「明日ご飯行くんだ!やべー、何喋ったらいいんだ!?」


「いつもみたいにマンガの話でもすれば?」


「やだよ、引かれそう。」


そんな感じの会話を何回かするうちに気づいた。ああ、倉島はマイカちゃんのこと好きになったんだなぁって。お金かけたくないから彼女は今はいらないなぁ〜とか言ってた時もあったのに、ご飯奢ってあげたりしてるもん。


高校三年生の夏、きっとマイカちゃん以外に興味は無いだろうなぁと思いながらも、受験前最後に倉島に会いたくなって、文化祭に行った。久しぶりに見るアンタの笑顔はとっても輝いて見えた。


冬、センター試験の一週間前。倉島は就職が決まっていた。私は勉強で忙しかったが、倉島とのLINEは続けていた。

そんなある日。


『ねえ、俺彼女できた!』


『えっ、マイカちゃん?』


『そう!!』


瞬間、涙が溢れて止まらなかった。自分でも驚く程に悲しかった。


『ちゃんと自分から告白したの〜?笑』


『ちゃんと言ったよ!笑』


知ってるよ。アンタは誠実だから、彼女できたら他の女の子とは連絡断つって。涙で滲んで、上手く文字が打てなくて、初めて気づいた。ああ、こんなに好きだったんだなあって。しばらく泣いて、泣いて…。それから、まだおめでとう言ってないことに気づく。


言わなくちゃなぁ。でももうLINEも出来なくなるのかぁ。


後悔したくなかったから、


『倉島、』


『ん?』


『ごめん、私ずっと倉島のこと好きだったんだ。マイカちゃんのこと、大事にきてあげるんだぞー!笑

こんなこと言って、困らせてごめんね!またね!』


泣きながら送ったメッセージは、もしかしたら文章めちゃくちゃだったかもしれない。既読がついてから、ずいぶん経ってから


『ありがとう。お前のことはほんとにいい奴だと思ってる。いろいろ世話になった。勉強教えてくれたり、LINEしたりして楽しかった。マイカちゃんのこと、絶対幸せにする。お前も幸せになれよ!』


『うん!ばいばい!』





もうすぐ大学2年生になるけれど、私は今でもこのメッセージを見返すことがある。大好きだったあの純粋な気持ちは、いつまでも色褪せないよ。


隣の席が空いてたのは運命だったんだと思う。私と倉島が結ばれる運命じゃなくて、私が倉島のこと好きになる運命。


後悔はしてないよ。これからもマイカちゃんと幸せにね。


一年記念日!と笑顔の倉島とマイカちゃんの写真を見て、心からそう思った。

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