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行ったら〜

  

  その後エミはうちで引き取ることになった。軽く説明するとうちの両親とエミがリビングで話しあい、一度母親の部屋でじっくりと話すと言って戻ってくるとなにやらエミは疲れた顔をし母さんは満足気な顔をしていた。


 一体エミに何を……。


  「エミちゃんは家族の一員になりました!これからよろしくね、私の事は本当のお母さんだと思ってもらって構わないから」


  すると父さんがすかさずに口を挟んできた。


  「いや、流石にそれはまずいんじゃ〜ないかい?」


  しかし父さんは10分後に言いくるめられていた。


 母は強いってね。


  一体なにを話したのやら。


  俺はソファーに寝そべりながらテレビを見ているとその横で妹が体を器用に曲げていた。


  体柔らかいな、これがヨガってやつなのかな?


  「よくそんな体勢になれるな……」


  「これはお兄ちゃんみたいに引きこもりで体が動かなくならないようにしてるんだよ」


どことなく強めな口調で言ってきた、きっと将来体が動かなくなる事を心配してくれてるのだろう。


  そうかい、人と会話するときは目を見ようか。


  「そんなに引きこもってないと思うけど……」


  そんなとりとめのない会話をしていると廊下の扉が開いた。


  「人生からは、逃げるように引きこもってるじゃない」


  エミがそう言うと妹は鼻で笑った。


  2人とも俺のこと馬鹿にしてない?気のせいかな?


  「随分と嬉しそうな顔をしているが……なんかあったの?」


  エミはどことなく……と言うかかなり分かりやすく感情が顔と喋り方に出るほうだ、今の落ち着いてる話し方からして打ち解けているのだろう。


  「そうね……まぁ人と言う生き物も悪くないと思えたのよ」


  ……また訳のわからないことを。


 俺と妹は顔を見合わせ頷く。


  「エミちゃん……一緒にお風呂入ろっか?」


  優しく問いかける妹の目は優しさにに満ちしていた。まぁ欲望にも満ちている気がするが。


  とりあえず、さすが俺の妹だ……俺もエミの事を温かい目で見てやろう。


  「やめてよ!2人とも可哀想な人を見る目になってるわよ!……自覚ないでしょ……」


  おっとこれはいけない、それにそろそろ俺も風呂に入らなくては。


  「2人とも先に入ってきていいぞ、お兄ちゃん後で入るから」


俺は誤魔化すため会話を変えた。


  「そんな事言って、私たちの残り湯をゴクゴク飲むつもりでしょ」


  んな事しないわ!


  「まだお父さんは入ってないから湯船に浸かれる程度には残しておいてね?」


  だから飲まんわ!


  「分かったから……はよいけ、ほらほら」


  俺は手でいけとサインを送ると2人とも風呂場に向かった。


  すっかりエミは和んでいるが、学校とかはどうするんだ?


  俺より年上とか意味のわからない事を言っていたが……。


  俺はテレビのチャンネルを変えるとバラエティー番組を見始めた。


テレビの前には妹の読みかけ雑誌が置きっ放しだったので拾い上げるとそれを机に置きソファーに座った。


  「ま、いいか」


  俺はそのままテレビを見続けていた、正直いろんな事を考えていたが気にし始めたら止まらなくなってしまう。


呪いの絵なんていう非現実的なものをこの歳になってみる事になるとは……。


俺はあの日の思い出はひょっとしたら夢ではないのかと、志保と美代の性格が変わったのはもともと、あんな性格だったのではないかと、心のどこがで思っていたのだが。


 今の状況を見ればそんな事は無かったのだ。


 あれは後天的に作られた性格で元々は二人ともメンヘラでもヤンデレでもないのだ。


 不可解な点はたくさんある。


 俺の部屋にあった謎の防弾ジョッキとか。


 あれなに?


 怖くて触ってないけど。


 それに気になるのは俺は何かを成そうとしていた。


 特定の人物に何かをする事によって何かを得る……。


 こんな断片的な記憶なら僅かに思い出せる。


 一体誰を?そして何を手に入れるんだ?


  そんなこんなで妹たちが風呂から上がってきた。


  「お兄ちゃんお風呂空いたよ〜」


  エミも妹もパジャマ姿に変わっており肩にタオルを巻いて髪の毛をグシャグシャと拭いていた。


  「はぁ〜……さっぱりしたわ〜」


  エミは風呂の良さがわかると見た、今度温泉に連れて行ってやろう。


  俺はそれとなく2人の格好を見てある事に気がついた。


  そのパジャマは昔妹が着ていたやつ……やはり俺より年下だろう貴様!


  「お兄ちゃん、お兄ちゃん」


  俺のそばにより耳元で囁き始めた妹。


  温まりきった体からはほんの少し湯気が出ていて頬も赤く染まっていた。


  「エミちゃんってあんまり世の中の常識分かってないかも」


  「どゆこと?」


  一度エミの方を見ると冷蔵庫から牛乳を取り出しコップに入れると同時にぐいっと一気飲みをした。


  「なんかシャンプーもリンスも体の洗い方さえも分かってないし……もしかしたらどこかのお嬢様なのかも」


  ……妹よ現実にそんな人はいないだろ、ラノベの見過ぎだ。


  しかしだ、シャンプーもリンスも体の洗い方も分からないとなると今までどうしていたのやら……もしかしたら記憶喪失なのかも?


  言動も行動も少しおかしい点があるし、それに俺の事を知っていたようなもの言い。


  「とりあえずお兄ちゃんお風呂入ってくるから」


  俺はテレビを消すと風呂場へ向かった。


  「行ったら〜」


  「はいよ」


  エミについては今後話せる状況になったら詳しく聞くとしよう。


  そう思い俺はお風呂を堪能した。

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