……ねぇ……ねぇ!そこで暗い顔をしている人
放課後の教室、ここには俺1人のみが滞在していた。
今日は日直のため日誌を書いているのだが。
太陽が沈みこもうとしている中、カラスも一斉に鳴き始めると帰宅する生徒も増えてきた。
そんなどうでもいい環境に気がつくのはやはり俺の周りが物静かで特に語るような事もないからだろう。
俺もそろそろ帰るか……。
今日1日でだいぶ変わってしまった、それは別に悪い方へ進んでいるわけではない。
だがもう前みたいに志保や美代と話すのは不可能だろう。
それは今日のクラスを見てよく分かった。
俺ってこんなに友達少なかったんだなぁ……。
「はぁ〜」
俺は大きくため息をはくと、椅子から立ち上がって廊下へ出た。
美代は野球部のマネージャーをしていて志保は剣道部。
二人ともこの世界線だと普通の女子高生をしているみたいだ。
これが普通なんだよ。
今までがおかしかったんだ。
二人がメンヘラとヤンデレになって。
そのせいで俺に付きまとうことになって。
あんなに普通の高校生活を望んでいたくせにいざなってみて退屈だからやっぱ戻りたいなんて。
そんな都合のいいこと考えしまう。
志保と美代がいない生活なんて考えもしなかった。
ん?
階段の方で人影がチラッと見えた気がしたけど……それにだいぶ小柄だったような……。
まぁいいか。
俺は黙って日誌を職員室まで持って行くと教室の鍵を先生に渡し学校を出た。
いつもの帰り道も志保と美代がいないとかなり静かだった。
カラスの鳴き声や車のエンジン音、それだけが俺の耳に入ってきた。
アスファルトの上を猫が退屈そうに欠伸をしている。
奥の家では子供が猫じゃらしを使って二匹の子猫たちと遊んでいる姿が。
子供ってやっぱいいよね。
ポケットに手を入れそのまま歩き始める。
いつもの道、あんま周りを見ることして来なかったな。
いつもただひたすらに前を見て走るか二人と目を合わせてたから。
後胸とか。
これから夏休みか……今年は妹と出かける日が増えるな……。
何処に行くかなぁ〜プールとか行くと日焼けして嫌なんだよなぁ〜。
風呂入る時痛いし妹には日焼け止め塗らないとシミ出来て後悔するよって脅されてるし。
「……ねぇ……ねぇ!そこで暗い顔をしている人」
なにそれ黒人のこと?そりゃ黒人に失礼極まりないだろ。
それは暗いじゃなくて黒いだろ。
「ねぇねぇ!そこの生きる気力が無さそうにしている人!」
呼ばれてますよ〜生きる気力が無さそうな人。
「あなたのことですよ……っと!」
「わっ!」
いきなり飛びつかれると影を見て小柄な子だとわかった、ついでに声からして女の子だろう。
俺は後ろを振り向くとそこには銀髪の幼女がいた。
「やっと気づいてくれた……仕方ないから来てやったわよ」
何この展開?




