ユンとの二人っきりを楽しむんだ
なんとか無事一息つけるような場所まで辿り着いた。
クラスの人達は既にこの水上公園を満喫しているみたいだ。
「くそっ!志保さんと美代ちゃんが見当たらないぞ!」
「隣のクラスの情報によると白い水着を着てカッターで道行く人にご褒美をくれるらしい」
あれはご褒美じゃなくて制裁でしょ?
あんなのをご褒美とか言ってるのか……。
もううちの学校はダメかもしれない。
「まじかよ!?俺もご褒美欲しい!……けどそうじゃない……そうじゃないんだよ!俺が見たいのはおっぱいなんだ!美代ちゃんの……大きいおっぱいを水着という名の合法的な下着に近い状態で見たいんだ!」
「「うぉっ〜!!!!」」
なんか凄い盛り上がってるがやっぱ志保も美代も人気あるんだな。
俺の隣でちょこんと座ってるユンの目のやり場に困る。
太ももとか胸とか頸とか。
女の子をジロジロ見るのは失礼だ。
だが目が勝手に引き寄せられる!
白い肌に綺麗な金髪。
何やら爽やかな香りが鼻腔をくすぐる。
「雪さん、わざわざ私が学校を休んだだけであそこまで心配してくれるとは思いませんでした……あの時は本当にご迷惑おかけしました」
「い、いやいいんだ別に!俺の早とちりだったし何よりこうして生きてるんだからなんも問題ないよ」
心配してたのは自分の命なんだけどね。
「そうですか……それに私たちは友達ですもんね……それなら一緒にあのウォータースライダー行きませんか?私一度あれやってみたかったんです!」
「もちろん、そっかユンはお嬢様だからこう言ったとこ初めてだもんな」
「はい!あれも!あれにも乗ってみたいです!あれはなんでしょう?」
普段よりはしゃいでるユンの姿に俺もなんだか嬉しくなってしまった。
普段大人しいくせに変なとこでスイッチ入るんだよな。
やれやれ、俺も付き合ってあげますか。
俺たちは目に映るもの全てを遊び尽くした。
あれ?いいのか?
こんなに楽しんで?
志保や美代は?
それに鍵についても探さなきゃ行けないのに。
見つけられなきゃ死んじゃう。
そもそもユンと二人っきりになってる時点で俺の危機感知センサーが赤く点滅している。
「雪さ〜ん!今度はあれやってみませんか〜?凄い楽しそうですよ〜!あ!あっちに売店があります!後で行ってみましょうよ!」
……けど。
だけど今くらいは嫌な事全部忘れて楽しんでもいいよな?
それくらいご褒美があってもいいはず。
「今行くよ〜あんまはしゃぎすぎるなよ〜」
「は〜い」
なんて素直で可愛いんだ。
どっかの誰かさん達にも見習って欲しい。
じゃない。
今は余計な事は考えないようにしよう。
ユンとの二人っきりを楽しむんだ。
今日は最高の一日にするぞ!
「雪さ〜ん、あれ見てください」
どれどれ?
ユンが指さしてる方向を見るとそれは水面が光ってるプール。
水深自体は浅いが日光に当てられ綺麗に光り輝いていた。
光の屈折でキラキラとしている。
何やらその光が渦を巻き始める。
あら?
何やら嫌な予感が。
俺が眩しさで手を目元に当てるといつもの通り視界が真っ白になった。
はいはい、いつものいつもの。




