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あ、雫居た


 「さすが円堂くん!やっぱあの名作シリーズはやりこんでるんだね!……って!ちがーう!円堂くん!大変だ!雫が居ない!」


 「お、落ちつくのでござる雪殿!あの様子だとこの先にあるデパートに向かったと予想するでござる。さぁ雪殿!拙者たちも追いかけましょうぞ!」


 「そ、そうだね!さすが円堂くん!」


 「ふふっ、雪殿!拙者のスピードについて来れますかな!?」


 「足には自信あるから大丈夫!早く行こう!」


 円堂くんとの会話が楽しすぎて当初の目的を忘れていた。


 やっぱ男友達っていいね。


 急いで商店街の先にあるデパートに向かった。


 日ももう落ちかけている。


 夕暮れ時の商店街は大勢の人で賑わっていて雰囲気も良かった。


 だが心情は妹が心配で仕方がない。


 出来るだけ早く走りたいところだがもちろん円堂くんが俺の足について来れるわけがない。


 「はぁ……はぁ……ゆ、雪殿!拙者のことは構わず先に行ってくだされ!大切な妹殿を守るために!と言うか早すぎでござる……」


 呼吸もままならないのか何度も深呼吸を繰り返していた。


 なんてカッコいいんだ……。


 「ありがとう円堂くん……君の事は忘れない!」


 円堂くんは無言で親指を立てるとそのままパタンと倒れた。


 あんなにも必死で着いてきてくれてたのか。


 円堂くんの思いも無駄にするわけにはいかない!


 必ず妹を救ってみせる!


 商店街の中心部まで辿り着いた。


 ここからは人混みが増えるため一気にスピードを落とさなくてはならない。


 すると妹と同じ制服を着た5人組の女子達が泣きながら俺と反対方向から歩いてくるのが見えた。


 声をかけて聞きたかったがみんなボロボロになってるしとても話しかけれるような雰囲気じゃなかった。


 「グスッ!なんなのあの子!一人で私たちを軽く捻ってきて!あんな寝ぼけた顔してるのになんであんなに動けるのよ!」


 「それに助っ人で連れてきてた女子柔道部と空手部は彼女と知り合いで合気道でも結構有名だったみたいだし……私たちもしかしてこれからやばいよね?」


 「嫌だよぉ!私バレー部のエースなのに!バレー部のエースなのにいじめられる!」


 街中で堂々と叫ぶ彼女達を見て話しかけなくて良かったと思った。


 ともかく視界が悪い。


 道ゆく通行人の背中が殆どだ。


 闇雲に探しても拉致があかないだろうし。


 さて……どうするか。


 あ、雫居た。


 なにやら大量の荷物を持ってる。


 「妹よ!大丈夫か!?陽キャ達に無理やりホテル連れてかれたりしてないだろうな!?」


 「あ、お兄ちゃん……これ見て、一週間分くらいの食材が手に入ったんだけど持って帰るの大変でさ〜手伝って」


 何故か大量の食材が。


 なんか思ったより大事にはなってないみたいだし良かったけど。


 「他の人達はどうしたんだ?みんな帰ったのか?」


 「うん、事情を知ったらみんな帰った」


 そう言う妹の頬には何故か返り血のようなものがついていた。


 色々気になる事もあるけどなにがともあれ妹が無事ならそれでいいか。


 あんましつこく質問攻めするとうざがられるし。


 「よし、俺らも帰るか」


 「うん、あとこっちにも荷物あるからこれも持って、そっちは卵入ってるから慎重にねお兄ちゃん……てか私がホテルに連れてかれたりしてると思ってたの?」


 スーパーの袋を両手に抱えると妹もエコバッグを肩にかける。


 「そりゃもう俺の可愛い妹の事だから簡単に流されちゃうじゃないかと心配で心配で……」


 「てかなんで今日私が遊びに行くの知ってたの?……まさかお兄ちゃんストーカー?警察署に行った方がいい?」


 こうして二人で家に帰った。


 あれ?なんか忘れてるような?


 「ゆ、雪殿〜!!妹殿は無事でござるのか〜?」

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