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……こいつ最低だ。


 あれから数週間が経った。


 やっぱ常に二人が居るから神崎姉妹についてよく調べられていない。


 無理に調べようとすればそれこそ寿命を縮めるだけだ。


 外は大雨。


 ちょくちょく遠くから雷の音も聞こえる。


 俺はいつも通り身の危険を感じながら危険人物に指定されている(高橋組合)二人に挟まれていた。


 「はいは〜い、今はロングホームルームの時間ですからね〜一応授業中ですからあんま大きな声で喋らないでくださいね〜……特に高橋くん達は仲がいいのは分かるけどイチャイチャも程々にね〜」


 クラスの視線が痛い。


 「本当あいつ美代ちゃんと志保さんと仲いいよな……あんなやつの何処がいいんだか」


 「ばっか!お前知らないのか?高橋の悪口を言った奴は次々病院送りにされる話!なんでもカッターを使うタイプとアイスピックを使うタイプのどちらかに襲われるらしい!こう……背後からドスっ!って!」


 ん〜その特徴見覚えがありますね。


 「まじかよ!?こえ〜!」


 「こら!そこもお喋りしない!……それじゃあ近々水上公園で遠足に行くのでそのグループ分けをしてもらいます、みんなよかったね〜うちの学校は行事が多くて……青春を謳歌し放題じゃない……」


 きっとあの様子だと失恋か何かあったのだろう。


 心の中で敬礼しておいた。


 「ぐ、グループ分けか〜美代ちゃん俺と一緒にどうかな?四人グループみたいだし俺とこいつ……山木はサッカー部の次期エースって言われてるぜ」


 イケメン二人組に美代が絡まれてる。


 そのまま是非ともあっちの班に行って欲しい。


 「ごめんね〜美代は既に決まってるの〜ね?雪くん?」


 「え?いや初耳……」


 俺が最後まで喋ろうとした瞬間。


 小指を逆の関節の方向に曲げられた。


 いったぁぉ!!


 指はそっちに曲がらないから!


 「美代と同じ班だよね?」


 「はい」


 「ならよかった〜違うならこのまま手の甲まで小指がくっついちゃうとこだったよ〜そうならなくてよかったね?」


 もう……帰りたい。


 「ううん!」


 何やら今度は後方から咳払いが聞こえてくる。


 「ううん!……私は班誰と組もうかしら〜まだ特に決まってないのだけれど〜本当どうしようかしら〜」


 俺が小指を労っているといかにもわざとらしく志保が声を出す。


 「し、志保さん!私たちと同じ班になりませんか?私たち女子剣道部なんですけど志保さんみたいなカッコいい女性になりたくて剣道やってるんです!」


 「そう、他を当たってちょうだい」


 この人凄くドライ!さっきまで組む相手居ないって言ってたのに!


 ほら!剣道部の子泣いちゃってるよ!酷すぎるよ!


 「雪くん〜志保がまだ班決まってないんだって〜可哀想だよ」


 え!?意外にも美代がそんな事を。


 それってつまり志保を一人にさせるのは可哀想だから同じ班に入れてあげようってことだよな?


 なんだかんだ言って志保の事思っていたんだな。


 「そっかじゃあ俺たちの……」


 「うん、可哀想だよね美代達はすごく楽しみ!志保は全く知らない人達と組むことになって可哀想だね!」


 ……こいつ最低だ。


 「雪くん……ちょっと退いてもらってもいいかしら?そこの豚骨を近くのラーメン屋に売ったらいい出汁とチャーシューになってくれそうなのよね」


 し、志保さん?


 うぐっ!


 何故か志保が俺の首を絞めて来る。


 「私……班決まってないの……分かる?雪くん?最近余裕ないの」


 「おっ……俺たちの……班で良かったら……い、一緒に……」


 上手く呼吸が出来ない!


 苦しい!


 死ぬ!


 「し、仕方ないわね!それなら私が雪くんの班に入ってあげるわよ!本当に寂しがり屋なんだから!危うくこのまま雪くんの事を窒息死させるところだったじゃない!」


 すみませーん!誰か100当番してください!


 ここに殺人鬼が二人ほどいます!


 「う〜ん、この貧乳お飾りを入れてもあと一人足りないんだよね〜どうしよっか?」


 「は?最近ちょっと成長したのだけれどそんな事も分からないのかしら?あなた小さい変化に気がつかないとか将来のパートナーが可哀想ね……ほら雪くん……ちょっと大きくなったわよね?」

 

 そう言って白いワイシャツ越しにやや透けたブラが見える。


 なんかめっちゃ胸元寄せてる気もするが……確かに今日は少し大きい気がする。


 美代が大き過ぎるせいであまり気にならなかったが。


 「え〜それパッド入れてるよね?美代の目は誤魔化せないよ?志保ってば見栄張っちゃって恥ずかしい〜一体何処の何が育ったのかなぁ?ねぇ?美代にも教えて〜ねぇねぇ」


 「……表に出なさい」


 静かにそう言うと机にはカッターが複数本深く刺さっていた。


 「いいよ〜今日ちょうどこの子の切れ味を試そうと思ってたから〜けど手加減とか美代は出来ないから普通に殺しちゃうかも」


 見つめ合う二人。


 突然外が真っ白に光る。


 と同時にバリバリと深く重い音が響く。


 近くで雷が落ちたみたいだ。

 

 振動が伝わってくるレベルだけど俺は目の前の二人の方が怖い。


 教室がざわつく。


 「すっげぇ雷だな!当たったら普通に死んじゃうんじゃね?」


 「雨もだいぶ強くなって来たね」


 俺にとっては雷も雨も大した事ではない。


 雷なんて当たる確率で言ったら宝くじレベルらしいけど。


 この二人に殺される確率は80%近くはあるから。


 「は〜い、みんな落ち着いて〜雷は凄いけど班は決まりましたか?決まったなら代表者が一名私のところに来て教えてくださいね」


 「とりあえず二人ともあと一人を決めないとな?」


 「そうね……一旦保留にしてあげるわ。良かったわね美代、寿命が少しだけ伸びたじゃない」


 「う〜ん、雪くんがそう言うなら良いけど〜それなら適当に……」


 美代はそう言うと影薄そうなクラスメイトを連れて来た。


 あれ?この人どっかで……。


 「この人を美代達の班に入れるけど良いよね?」


 「せっ!拙者がですか!?美代殿と志保殿と同じ班に!?な、何かの罰ゲームでは!?」


 あ、この前ユンのことを聞いたメガネくんだ。


 あれ?でもこの人ってクラス同じだったっけ?


 「や、やぁ……よろしく、この間はどうも高橋雪です」


 「おおっ!この前の!拙者の名は円堂 智樹と申す!ちょうど隣のクラスの同胞に会いに行っていたら雪殿に声をかけられたのでござったなぁ」


 あ、そう言うこと。

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