世界の法則とか捻じ曲げてくれそうだし
とりあえず学校を抜けては見たものの。
うん、俺はユンの家を知らない。
ねえ?どうすんのこれ?本当に詰みじゃん。
大体なんで休みなんだ?
この日に限って。
しかも二日連続で。
たまたま体調を崩した?
少なくとも俺が知ってる限りではユンは身体が弱いとかそんな風には見えないし知らない。
だとすると誰かが仕組んだ?
そんな奇跡的なことが出来る人物。
約二名思いつくが。
あ、ここにも二人いるから合計四名か。
「ねぇねぇ?どこに行くつもりなの?雪くん?学校抜け出してまで大事な用事って事だよね?……まさか他の女の子と会う約束なんかしてないよね?違うよね?ねぇ?」
両腕を俺の首に触れそうなくらいの距離まで持ってくる。
やばい!既に俺の死亡フラグは立っている気がする!
死ぬのか!?今!?ここで!?
「ちょっと二人とも!本当にどうしちゃったのよ!?学校飛び出すなんて!何を考えてるのかしら?」
美代は表情こそ普段通りだが心配そうにしているのが伝わる。
志保はもう見るからに俺の事を頭がおかしくなったんじゃないかと。
そう思ってるに違いない。
どうせ死ぬなら二人に説明するべきなのだろうか。
何かしら行動しなくては。
変わらないし、変われない。
うん、言おう。
「いや、実はユンがかなりやばい状況でさ……」
俺は思いつく限りの嘘をつきまくった。
本当にすみません。
生きたいという感情が俺により一層リアリティーを与えてくれている。
自分でも驚くくらいスラスラと物語を作れた。
「そうだったのね……なら私も協力するわ!そんな事を今まで黙っていたなんて水臭いわね……私たちは友達じゃない」
志保さんまじカッケーっす!
目頭が熱くなった。
昔から志保はこう言う時に頼りになる。
「美代も手伝うよ〜雪くんとは友達じゃなくて夫婦だけど〜」
「はぁ?あなた何言ってるの?家畜は家畜らしくさっさと豚小屋に帰ってブヒブヒ言いながら餌を与えられるだけの存在になってなさい、雪くんの件は私が解決しておくから」
やべ、いつものが始まっちゃう。
「え〜?この貧乳でまな板で目つきの悪い女が怖い事言ってくる〜シンプルにキモ〜い、美代みたいにか弱くておっぱい大きくてお目目のキラキラした女の子の方が雪くんの好みだもんね〜?」
二人の取っ組み合いが始まる前になんとか気を逸らさなきゃ!
「志保も美代も女性の中でもかなり魅力的だと思う!(性格以外)そんな二人を頼らせてくれ!(物理的に)ユン(俺の命)を救う為に」
この二人が居れば正直なんとかなる気がしてきた。
だってありえない事を平然とやってのけるし。
世界の法則とか捻じ曲げてくれそうだし。
「雪くんがそこまで言うなら……このメス声豚野郎とか一時休戦ね」
「美代は産まれてから死ぬまで一生雪くんの味方だよ〜」
「二人ともありがとう……けど実はユンの家が分からん」
「「あぁ、それなら」」
二人の声が綺麗にハモる。
……は?




