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いや、言いました!許しません。

今日も無事に生きて帰ってくることが出来た。


 なに?俺は戦時中の兵士なの?


 玄関を開けるとそこにはいつも通り妹こと雫がエプロン姿でキッチンから顔を覗かせていた。


 「おかえりんとして咲く花〜今日もボロボロで帰って……きたねぇ〜先に風呂入ってきなよお兄ちゃん」


 「それは曲の名前だ……妹よ、あとしれっと汚いって言った?」


 妹は目を逸らしお玉に口をつける。


 「……言ってない」


 いや、言いました!許しません。


 俺はドタドタと歩き洗面所に映る自分の姿を見て……。


 「やっぱ戦時中の兵士じゃん、本当に土まみれだし……俺はこんな姿で街中を歩いてたのか」


 「お兄ちゃん足音うるさい……ってなんでorzのポーズ?嫌なことでもあったの?もしかしてED?EDなのお兄ちゃん?」

 

 洗面所の入り口から顔を覗き込んでくる妹は口元を押さえてクスクスと笑っている。


 可愛いからってなんでも許されると思うなよこいつ。


 「俺はEDじゃないしバリバリ現役だ」

 

 「素振りばっかでホームに立ってないじゃん本番はまだなの?一人で自主練ばっかして飽きない?」


 「うるさいぞ思春期、俺は豆腐メンタルだからそれ以上言われると普通に落ち込むし多分このあと風呂でこの件について悶々として落ち込む」

 

 つまりはもう落ち込むのは確定してる。


 「可哀想なお兄ちゃん……今日は卵スープと炒飯だからタンパク質いっぱい摂取して夜に放出しなさい、さすれば全てを忘れられるでしょう」


 「よし分かった妹がどんだけ俺のことを馬鹿にしてるかよ〜く分かったお兄ちゃんがお前の大切なファーストキスを奪ってやる!」


 妹は棒読みで「犯される〜」と言ってキッチンに戻って行った。


 俺の甲子園はいつになることやら。


 カッポン……。


 身体を洗い湯船に浸かる。


 最近はいつもあの人の事を考える。


 俺があの日スターランドに行った時に出会った神様的な人。


 まぁ神に近い存在らしいけど俺は神様なんて信じない。


 でもユンが天使を名乗れば信じるし志保と美代が実は悪魔でしたって言っても余裕で信じる。


 実際悪魔みたいなもんだし。


 俺はその神様的な人に死の宣告をされてフラグを回避するには指定の人物を救い鍵を手に入れそれを使用すれば生きることが出来ると言われた。


 一応ユンの悩みは解決して鍵と思われる防弾ジョッキを手に入れて使用したんだが。


 本当にあれであってたのか?まぁ帰り際にあの防弾ジョッキはアイスピックが深く刺さってた訳なんだが。


 ユンの言動には少し違和感を感じる。


 そして懐かしさも。


 妹は何か隠し事をしている気がする。


 何かは分からないけど。


 それらの秘密をおそらくあの人なら知っているはず。

 

 最近しばらく会えていないが……一体何してるんだろ?


 てかあの日から一体何日経ったんだろ?


 高校生活始まってから毎日が濃い一日を過ごしているから中学とは比べ物にならないくらい密度の濃い時間を過ごしている気がする。


 水滴が湯船に落ちて波紋が広がる。


 そろそろのぼせそうだし上がるか。


 俺は身体の水分を拭き取りリビングへ向かう。


 既にテーブルには料理が並べられていて山盛りのキャベツが何故か添えられていた。


 なんであんな山になってんだよ。


 俺は冷蔵庫を開けて体脂肪牛乳を飲む。


 やっぱこれだよなぁ〜コクのある牛乳が乾いた喉を潤し冷えた牛乳が火照り切った俺の身体を冷ましてくれる。


 「ねぇお兄ちゃん、なんか凄いの出来た」


 凄いの?……てかこの展開どっかであったような。


 俺は空のグラスをシンクに置いて妹のそばに近づく。


 あれ?今日って炒飯じゃなかったっけ?


 「ほらほら、トンカツにソースかけたらなんか凄いの出来ちゃった」

 

 俺がトンカツのソースに書かれた線を見た瞬間に視界が真っ白に広がる。


 これは!


 ……凄く嫌な予感がする。

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