これが俺の日常です。
俺の名前は高橋 雪、今絶賛全速力で走ってます!
なんで走ってるかって?
殺されそうだからだよ!
あ、これ二回目ですね。
「待ちなさい雪くん!止まって死ぬか捕まって死ぬか選ぶ事しか出来ないのよ!なら大人しく捕まって楽に死になさい!」
黒髪赤目で追いかけてくる志保。
スタイルはいいが胸がないのが欠点だ。
つまりは選択死ってね!
アホか!そんな事よりマジで死ぬって!
俺はひたすらに足を前へ前へと前進させた。
ちなみに俺はあの二人から日々逃げる生活が続いたせいかクラスで一番足が速い。
人間ってほんと死ぬ気になればなんだって出来るんだよね。
強制的に海外行けば嫌でも英語が話せるようになるじゃん?あれと一緒だよね。
ってそんな事言ってる場合じゃない!!
「雪く〜ん、後ろから貧乳のストーカーに追われてるよ〜やっぱ胸ないから無駄に足早いよね〜」
そう言って俺の背中スレスレまで追いついてる美代。
茶髪ボブショートで優しそうなタレ目。
あととにかく胸がでかい。
明らかに美代の方が足早いんだが!?あと笑顔で俺の全速力についてくるのやめて!
これが俺の日常です。
ごく普通の高校生を名乗れない!!俺は平和に生きたいのにぃぃ!!!!やばい!捕まった!!殺される!死にたくない!死にたくないぃ!!!!
俺は志保に馬乗りにされ美代が顔を覗き込ませてくる。
「あ〜雪くん捕まっちゃった〜でも大丈夫だよ?この婚姻届にサインと判子と親の許可……はとってあるからここに記入してくれさえすればこんな貧乳殺して二人で幸せに暮らそうね?美代は幸せ〜」
おい!親!本人の了承がまだなんだぞ!
確かに美代みたいな可愛い子と結婚出来たら嬉しいが……嬉しいが!死ぬでしょ!絶対意見合わなくて俺が殺されるから!
「は?ちょっと黙ってなさいよこの豚野郎、今私と雪くんで大事なお話があるの……ほら!これにさっさとサインしなさい!私みたいな超絶美少女と結婚出来るなんて雪くんも嬉しいのではないのかしら?無事サインが終わったらこの豚野郎で私が愛情たっぷりの生姜焼きを作ってあげるわ感謝しなさいよね!」
そう言って俺の顔に婚姻届をぶつけてくる。
あの何も見えないです!あとお腹に何かが擦れてて幸せです!ありがとうございます!!
志保が動くたびに俺の自我は崩壊しかけていた。
くそっ!耐えろ俺!こんなところでバレたら確実にいじられる!!
てかどっちかが暴走して俺に飛び火がかかる!
誰かぁ!!助けてくれぇ!!
「皆さんおはようございます、朝からお元気ですね?」
声のする方へ首を向けるとそこには金髪美少女お嬢様の羽形ユンがいた。
「ユン!助けて!殺される!結婚しないと殺されてしまう!」
「あらま」
そんな口元押さえて可愛いポーズとられても解決しないんだって!
目の保養にはなったけどぉぉ!!!!
目が……目がぁ!!!!
「雪くん最低ね!私という女がいながらこんな金髪に鼻の下を伸ばすなんて!貴方にはバルスの刑がお似合いよそして三分間だけ待ってあげるからこの婚姻届にさっさとサインしなさいよ!」
無理だぁぁ!!そしたら美代に殺される!!
「てかさっさと美代の雪くんからどけよ貧乳、殺されたいの?志保みたいな貧乳じゃ雪くんの可愛い赤ちゃんにおっぱい吸わせる事も出来ないじゃない……ふふっ可哀想だね〜」
最後だけ猫撫で声出して全力で煽ってる……怖いよこの人。
あ、俺の唯一の幸せが……。
志保は俺に跨るのをやめて美代にメンチを切った。
「あ?豚野郎が今日本語喋ってたのかしら?ブヒブヒ言っててよく分からなかったのだけれど?まぁそんな身体にたくさん無駄な脂肪をつけてよく人様の前を歩けるわね?美代は豚なんだから四足歩行でブヒブヒ言ってなさいよ、ほら!早く!」
口悪すぎだろ!あとジョジョ立ちほんと好きですね!
「え〜美代こわ〜い、この人さっきまで雪くんに跨って自分の股擦り付けて気持ちよさそうな顔してた変態の癖に美代を豚扱いするの〜?志保も腰を振るしか脳のない猿の癖に気持ち悪い〜」
「なっ!いや!違うっ!違うのよ!?美代!適当な事言わないで貰えるかしら!?」
え?そうなの?まさかジョジョ立ちのフリして隠してたって事ですか!?
俺は別のとこが立ちそうだが……ユンの前でそんなはしたない事は出来ない!
「じゃあ今ここでスカート捲ってよ〜濡れてないって証明出来たら美代が謝ってあげる♡」
マジかよ!?志保のパンツ見られるの!?
志保は顔を真っ赤にして俺のことをチラチラ見て美代をキッと睨みつけた。
「いいわよ!見せてあげようじゃない!その目に焼き付けるといいわ!」
こい!こい!こい!
俺は麻雀の当たり牌を祈るように志保の太ももをガン見した。
何色なんだ!?一体何色なんだぁ!!!!
俺は腕を強く引っ張られた。
「雪さん!乙女の秘密を除いちゃ駄目です!あとそろそろ遅刻しそうなので走って下さい!」
え!マジで!?
ポケットからスマホを取り出し電源を入れると既に授業開始三分前だった。
「遅刻確定じゃねぇかぁ!!」
俺達は全速力で学校へと向かった。




