結局何も進んでねぇ〜!
すると俺の肩は物理的に重くなり思わず体制を崩しそうになったがなんとか耐えた。
「ぐっ!……お」
み、美代のおっぱいが重いのかそれともたいじゅ!!!!
「雪くん?それ以上言ったら美代が何するか分かってるよね?このまま腹わたをぐちゃぐちゃにかき乱して……」
ひっ!殺される!
最後の方は声音低すぎて聞き取れないし!
「お、おっと!軽すぎてびっくりしたぁ〜!いやほんと!逆にびっくり!」
何が逆なのか全然分からないけど。
背中越しの美代にそう言うと今度はさっきと違って優しい締め付けの抱きつきをした。
まぁ結局重い事と苦しい事に変わりはないんだけどね。
俺は自分のお腹を撫で下ろしながら安堵のため息を吐いた。
「良かった〜、もう少しで美代が雪くんの臓器を食べる事になってたよ?雪の膵臓を食べたいって映画が始まっちゃうところだったよ〜」
何それ!?絶対泣けないよね!?恋愛映画じゃなくてホラーとかのジャンルだよね!?
俺は空笑いしながら一秒でも早く美代の側から離れたくてしょうがなかった。
「あら?雪くん?背中に豚がいるのだけれど振りほどいたほうが良いのでは?そんな重苦しい豚、空気も家畜臭くなるし豚がうつるわよ?気がついたら両親も豚になって風呂屋で住み込みで働く事になるのだけれど?」
淡々と語る志保の表情は黒く汚れた雑巾を見る目でこちらを見つめていた。
志保と美代の雪隠しかな?隠すだけですむなら問題ないけどぉぉ!!!!苦しい!?苦しい!!ごほっ!!
突如俺の首が悲鳴をあげると視界が茜色の空を見上げついに俺も天界に召されるのかと錯覚してしまった。
「美代は別に太ってないんだけど?むしろこれくらい豊満な身体をした女の子あんま見ないよね?ま、ガリガリの志保さんが羨ましがるのもわかるけどね〜普通これくらいの肉付きが無いと男の人は満足しないと思うの〜分かる?下向けばつま先見えちゃうもんね〜?」
声音を変色させつつ美代は見せつける様におっきいおっぱいと程よく肉のついたエッチな太ももをチラッとスカートをたくし上げて魅了させた。
ふむふむ、これは雪的にポイント高いですね〜解説の雪さん?これはどうでしょうか?
ふ〜ん、エッチじゃん。
そうですね〜、寡黙な事で有名な雪さんですが具体的にはどの辺りがエッチなんでしょうか?
やはりハリとツヤですかね。
ハリとツヤ……ですか?
はい、太ももの肌色に淡く映るピンク色の影、艶ハリ……この三点セットが揃うと男は死にます。
死ぬんですか!?
はい、男は……いや!漢は死にます!つまり俺は太ももフェチだ!
「あの、雪さん……見過ぎです!」
ユンは頬を赤らめながら両手で顔を隠していた。
あれ?俺が第一回太ももは最高だ協議会を行なっているうちに何が起きたんだ?
「雪くん?そんなにそこの豚足が気に入っているの?だったら沖縄に行けばたくさん見られるわよ、あそこは余す事なく豚を食べる習性があるらしいから屋台とかで吊るしてるんじゃ無いかしら?」
志保は服についた鬱陶しい毛玉を見る様な目でこちらを睨んでいた。
ちょいちょい、そんなヘイト買いそうな発言控えてください。
ちなみに俺は豚足もミミガーも苦手。
そう思いつつも未だに目線は斜め下後方で抱きついている美代の太ももから離れられなかった。
「やっぱ雪くんは美代の太もも大好きなんだね?ほら……触っても良いよ」
ええっ!良いんですか!?なら遠慮なく……ってなるわけないだろ!
ユンと志保が見てる中でそんなことをしたら終わり!しかも美代にのちのち脅されて俺は奴隷に近い状態に……。
女子の太ももを触る機会なんてもう二度とないかもしれないのに!
こんな誰もが憧れる様なシュチュエーションの中で美代と志保がヤンデレやメンヘラじゃなく普通の女の子だったら!
「チクショぉ〜!こんな厳しい世界に生まれたくなかったぁ!」
俺はそう叫びながら家に猛ダッシュで帰った。
結局何も進んでねぇ〜!




