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あ、やっぱ縋るんじゃなかった。

「は?いいから言いなさいよ?分からないのかしら?拒否権なんて無いのよ?殺すわよ」


  「ねぇ?美代にとってそれは大事なことだよね?後ろのカーテンに血痕が付着する前に白状した方が身のためだよ?」


  やっぱ二人とも優しいなぁ……え?


  二人の顔はこわばっていてとにかく相談しなければ分かってるよね?みたいな雰囲気を醸し出していた。


  やっぱ優しくないじゃん!


  「わ、分かった!そうだよね!長い付き合いだし遠慮なんて要らないよね!いや〜二人ともこわ……じゃない!優しいなぁ!ははは!」


  「良かった〜もし美代に相談してくれなかったらどうやってマグロの叩きにしてやろうかと思った〜そうならなくて良かったね?」


  満面の笑みで俺に語りかける美代の手にはすり鉢のようなものが握られていた。


  なにそれ!?太鼓の鉄人でもやるの!?マイバチとかガチ勢じゃん!


  美代もやるって事はやっぱ民度低い……すみません何でもございません。


  「それで?何があったのかしら?」


  そして俺は詳らかに話すこととなった。


  ーーーー


  一連の流れを話し終えた後、二人とも唸るように考え込んでいた。


  こうやって話を真面目に聞く姿は可愛らしいのだが普段のあれやこれを見ているとどうもその可愛さが欠けてしまう。

 

  「つまりは雪くんが悪ということね」


  え?ああ、まぁ確かに簡潔にまとめればそうなるかもしれないけど……ここまで話させて開口一番にそれとかちょっと傷ついたんですけど。


  「美代もそう思うよ、雪くんが全面的に悪い」


  いや……そうなんだけど、もっと慰めとか無いの?悩んでる人間に現実押し付けたら立ち直れなくなっちゃうよ?


  志保は髪をなびかせるとお馴染みの胸を抱え込むように腕組みをしてない胸を強調させた。


  と言うか盛ってるだけなんですけど。


  「つまりは買ってこなかった事に対して怒ってるわけじゃ無いの、雫は将来的には私の妹になる予定なのだけれどもその要件よりも事を忘れていた雪くんに対して怒っていると言う事よ」


 今……超早口で何か言ってたよね?


 予定がなんだって?


  「要件?つまりは忘れた、と言う事に対して怒ってるって事なの?」


  俺はおうむ返しのように自明である事を聞き返した。


  それに対して志保は頷くと再び唸るように考え込む。


  「どうしたものかしらね……雪くんがどうしようもない事は分かったけれど……まぁそれは元からだし仕方ないわよね、そんな解消なしの雪くんさらにも優しくしてあげるんだから感謝して欲しいのだけれど」


  あの……あまり責めないでください、いやほんと豆腐メンタルなんで……死んじゃいます。


  「美代は解決策分かったかも〜」


  俺はその言葉に速攻食い付いた。


  このギクシャクした関係を打開する方法があるなら藁にでも縋りたいと思っていた。


  それなら縋ろうじゃないか!


  「ほ、ほんと!?教えてもらっても良い!?」


  「うん!雪くんが美代のお婿さんになればいいんだよ〜、そしたら雫ちゃんも喜んで許してくれるよ」


  えへへ〜っと恥ずかしそうに手で顔を隠す美代はちょっとだけ可愛かったけど半ば呆れ顔でため息を漏らす。


  あ、やっぱ縋るんじゃなかった。


  所詮藁は藁なのだ、縋るなら頼れる人間か高価なものにしよう。


  「話は聞かせて貰いました!私でよければお力添えしたく思います!」


  突如現れたその姿は甘美で優雅なその辺の藁とは比べ物にならない高嶺の花が儚くも舞い散る姿を思い浮かべさせた。


  潤んだ瞳は見たものすべてを誘惑させその容姿を一切とてひけらかすこともなければ外連味もなくまさに非の打ち所がない完璧な生け花。


  後ろの扉を静かに閉めると礼儀、礼節をわきまえて一例をすると華やかな姿でこちらに近づく。


  こうして俺たちは三人で妹と仲直り大作戦を決行する事になったのだが……。


 果たしてその人物は一体……。

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