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超ウケる

 

  時間は12時を回ってお腹の虫が響く前ぶれを感じる中、冷水で冷やしておいた野菜類をまな板に並べて火の通りにくいものから順にカットして行った。


  まずはジャガイモの芽を出してそのあとに人参をいちょう切りにそして美代はそんな俺をひたすらに眺めて(いや、手伝って……)よし、なんとか他の班にも追いついてきた。


  料理は今まで妹とやってきたし何よりカレーなんてのは基本誰が作っても美味しくなるもの、煮込み時間は個人的に長めの方が好ましい。


  もうねドロドロレベルが個人的に好き。


  「さっすが美代の雪くん!チュウしてあげようか?ねぇ?ねぇ!?」


  隣でなんか五月蝿いのがああだこうだ言ってるが無視無視。


  なんならカレーの具材になって貰おう。


  ……いや、カレー(美代)に飲み込まれる想像をしてしまったのでやっぱやめておこう。


  「あれ?……もしかして雪くん美代とのキスシーンを想像しちゃったの?しかも結構ディープなやつ?お互いの舌と舌を伸ばして絡めあって……やだなぁもう……雪くんのエッチ♡」


  やだなぁもう、そんな物よりもっと恐ろしいものを想像していたんですよ。


  そう言ってしがみついてくる美代を俺は放っておき鍋の中にルーを入れしばらく待った。


  「雪くん私は何をすれば良いのかしら?この泥水にその女を突っ込めば全て解決するような気もするけど?」


  確かに色は似てるかもしれないけどそんな恐ろしいことサラッと言わないで下さい。


  「とりあえずカレーが煮込むまでそこで見張ってて、強火だし鍋の蓋に焦げ目がつくくらいがちょうどいいかも」


 二人とも料理出来るのは知ってるが確実に意見が割れそうなので俺が作ってる。


 絶対調理器具投げ合うし。


  「ふ〜ん、そこの女は入れなくて良いのね?豚肉を入れればさらに美味しくなると思うのだけれど?喋ってばかりで五月蝿いからせめてカレーの具材くらいにはなって欲しかったのだけれど本当に使えないのね?まぁいいわ、私が見張っておくから豚肉はそこでブヒブヒ鳴いてれば?」


  「はぁ?この女何言ってるの?まじで殺すぞ?」


  痛い痛いです、美代さん肩を鷲掴みするのやめて下さい声色が低すぎて怖いです。


  すると聞きなれない声が聞こえてきた。


  「ちょっとさぁ〜あんたたちあたしらの前でイチャイチャするのやめてくれない?すごくムカつくんですけどぉ〜」


  そう言って彼女は、彼女たちは俺たちの前で髪の毛をいじりながら迷惑そうな目つきでこちらを見てきた。


  俺は初めてクラスの人間に話しかけられたがまさかのこんな形で会話することになるとは……。


  1人は金髪のギャルでスカートはもうパンツ見えるか見えないかくらいの高さまで上げていた。もう1人は褐色のかなりエロいボディをした年上かな?と思うくらいの怖い目つきをした女性だった。


  スカート丈短すぎ、あと身体エロすぎ。


  と言うか何故女は成長と共に化粧をするのだろうか?


 俺は二人の顔を見ると女子高生にしては暑すぎる化粧をしている。


  「あのさぁ?あーしらの話聞いてんの?超ウケるんですけどぉ」


  ふふっ、ギャル用語辞典があれば絶対そのワード入ってるよね。


 超ウケる。


  「ちょっと、なに笑ってるの?あーし言いたい事ははっきり言ってくれないとムカつくんですけど?てか既に顔がムカつく!」


 あ、馬鹿にしてるのバレた。


  金髪縦ロールを人差し指でクルクルと回しながらギャルはこちらに2、3歩近づいて来た。


  唇はリップで淡いピンク色に輝き爪はネイルで色鮮やかに装飾されていた。


  うっわぁ近くで見るとまじででかいな、もしかしたら美代よりあるかも、ぐはぁ!


  なぜか美代に脇腹殴られた。


  「……い、痛いです」


  「あれ?なんで美代雪くんのこと叩いたんだろ?でも雪くんが凄く失礼な事を考えているような?」


  こいつ新手のスタンド使いか!?


  人の煩悩を見抜くとは……でも今時の男子高校生なんておっぱいと世界平和くらいしか考えてないからな。


  つまり俺は間違ってないと言う事だ。


  「話の論点がずれているのだけれど大丈夫なのかしら?」


  話の論点がずれているやつなんていたか?


  俺はギャル二人組と志保と美代を交互に見る。


 はっ!


 これはまずい事になった!


  このままでは志保は明らかに不利となりその八つ当たり先は十中八九俺だ。


  俺は今考えてはいけない事を考えている、それは確かに個人の概念や定義によって考え方は変わる、しかしこれに関しては宗教が出来てしまうくらい意見が分かれるのだ。


  戦争が終わらない原因はこれなんだろう。


  志保……すまない。


  今の俺にとってステータスが一番低いのは志保だぁ!!!!っぐはっ!!


  なぜか思いっきり腹パンを食らった、志保から。


  「……い、痛いです」


  「あら?私はどうして雪くんの事を殴ってしまったのかしら?でも凄くスッキリしたわ、あとはこの養豚場にいる三匹を殺せばさらにスッキリするわね」


  俺はズキズキと痛むお腹を抑えながらその場にうずくまった。


  おいおい、またもや新手のスタンド使いか……流石のギャル達もドン引きしてるぞ。


  「ちょ!なんなのこいつら、ろくに会話もしてないくせに話が勝手に進んでるんですけどお?」


  「なんなの!?特にそこの男子!急に殴られるし!気持ち悪いしもう行こう……」


 ヒソヒソとこちらを見ながら去っていくギャル達。


  確かに側から見たら頭のおかしい人たちだろう、だがもうなれてしまったのだよ。


  奇天烈扱いも童貞扱いも……まぁ童貞扱いしてるのはどっかの妹さんだけなんですけどね。


  あぁ、お腹超痛い。


 一休みさせて欲しい。


  「ねぇ雪くん?」


  美代が俺の肩に抱きつくと少し苦い顔をしてきた。


  今お腹痛いからやめて欲しいんだけど……。


  「なんだか焦げ臭くない?」


  ……言われてみれば。


  「志保……お前もしかして」


  俺は狼狽しながらも志保の顔をまじまじと見つめた。


  その顔は普段見ている志保のクールな表情はこれっぽっちもなくただ「私は何もしていないわ、ただカレーを見張っていただけなのだけれど?」みたいな顔するのやめて!


  志保は目を泳がせ動揺が隠せないようだった。


  「あの〜、火ならすぐ消しておきました〜」


  ユンが鍋の前でこちらに手を振っている。


 どうやら焦げ臭いのは俺たちの班じゃ無いみたいだ。


  ユンさんまじ天使、ありがとう!志保は詫びれる様子もないし美代も俺から離れてくれないしお腹痛いし。


  とりあえず俺とギャル達の命があってよかったよかった。


 あとお腹痛い。

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