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VRMMOが日常となった世界で青春物語  作者: 金 銀太
VRMMOが日常となった世界で大切な仲間が出来るまで
21/50

20話:ギルドランク6位

「話は大体分かりました」


 立花はそう言うと静かに頷いた。


「酷い話だと思わないか?」


 総司は呆れ交じりの問いかけを立花に向ける


「……先生達は部活がアレサばかりの物になる事を良く思ってなかったから」

「とはいえこうも丸投げされるとわな」

「それがこの学校の良い所でもあり悪い所でもあるのよ」

「そりゃそうだがね……」


 ソファの背に身を傾ける総司、チラリと隣に座る絵里先輩を見た。チマっと身を縮め座る彼女はしおれた花のようにしょぼくれていた。総司は自然とため息が出た。


 部室に戻った総司と絵里先輩の2人。職員室で起こった事を立花と楓に話し数分が経った部室。部にはいつもの様な活気さが無く何とも湿っぽい雰囲気だった。


 総司は隣に座る絵里先輩から楓に目を移す。


 (絵里先輩もそうだけど……楓さんも何だか元気がないな……)


 ギルド合併の話が出てから彼女は視線を下に落としずっと黙ったままだった。

 不穏に思い楓に話しかけようと思った総司だったが、それよりも早く彼女は動いた。


「ちょっと外の空気吸ってくるね」

「え? あ、ああ」


 ソファから立ち上がる楓を戸惑いながら見送る総司。立花は扉を開け部室を出ていく彼女を見送ると小さくため息をついた。


「……合併の相手がよりにもよって”アミックス・テラ”とはね……」

「アミックス・テラ?」


 聞いたことの無い言葉に総司は疑問を投げかける。


「今のランク6位の勢力の事よ」

「何か問題でもあるのか?」

「アミックス・テラは最近出来たギルドなの。分かっているのは構成人数とそのメンバーくらい。どういう目的で結成されて、どういう意図で動いているのか、具体的な内容は明かされてないの。ただ、何か目的があって行動はしているようではあるみたいだけど……」


「ふ~ん……でも最近出来たり、構成人数少ないって割にはギルドランク高いな、6位って半分より上だし」

「アミックス・テラは名うてのプレイヤーや元有名ギルドの幹部のみで構成されているのよ。メンバーの平均レベルならこの学校でもトップクラスよ。彼らが6位なのはまだ部活動として認定されてなく、規模が小さいからでしかないわ」

「……なるほどね」


 納得する総司。だが、立花の話はそこで終わらなかった。


「でも、問題はそれだけでは無いの」

「まだ何かあるのか?」


 問いかける総司に立花は一呼吸置いてから答えた。


「私と楓が以前何処のギルドにいたか、貴方は知っているかしら?」

「いや、どこかまでは聞いてないな」

「そう、なら以前貴方に話したトリナシオンというギルド覚えている?」

「ああ、あの宇宙ステーション抱えてるところだろ? もしかしてそこ?」

「そうよ」

「そうか……でもそれが何か関係しているのか?」


 話の繋がりが見えず問いかける総司に立花は意を決したように言った。


「……アミックス・テラのリーダーはトリナシオンの元幹部なの」

「……! 本当かよ!?」

「ええ……」


 思わず声量が上がってしまう総司と肯定する立花。

 そんな2人の様子から何かを感じ取ったのか、絵里先輩が顔を総司に向ける。


「楓ちゃんに何かあったの?」


 総司はチラリと立花を見ると彼女は静かに頷いた。


「楓さんは昔ギルドを辞めさせられてるんです……弱いからって……」


 本人がいないときに言う事は悪いと思いつつ、躊躇いがちに総司は言う。絵里先輩は顔を伏せ、力なく「そうなんだ……」と呟いた。


 総司は目を閉じ腕を組む。


 楓が今日元気が無かった事の理由に合点がいく、自分が辞めさせられたギルドの幹部が作ったギルドと合併なんて気乗りしないのは当然だ。


 総司は目を少し開け立花と絵里先輩を見た。立花は考え込む様にテーブルを見つめ、絵里先輩も先程より一層縮こまっている。きっと2人とも楓の事を考えているのだろう。


 総司は腕を組み離しソファに身を傾け天井を見つめる。

 目的が良く分からないが高い実力を持つギルド。そしてそこにリーダーが元々立花と楓がいたギルドの幹部……簡単に終わる話ではなさそうだった。


 考え込む3人だったが、突如ガラッ!と音を立て部室の扉が開いた。楓だった。


「ただいま!」

「あ、おかえりなさい」


 反射的に答える総司。少し遅れて立花と絵里先輩も続く。

 楓はそのままソファに座る。その表情は総司達よりずっと明るかった。


 (思いの外気にしてないのか?)


 気になりつつも楓を見ると彼女は笑って絵里先輩を見る。


「絵里先輩! 合併の話、進めましょう!」

「え……いいの?」


 恐る恐る尋ねる絵里先輩に、楓は彼女が気を遣っているのを察したのかハッキリと言った。


「はい! きっと上手く行きますよ!」

「……え! そ、そうかな?」

「ゲーム部は素敵な所ですから!」


 楓がそう言うと絵里先輩の表情は明るく色を取り戻していく。それに比例して少し重かった部の空気も段々と軽くなり、総司も胸の重しが軽くなっていくように感じた。


「まあ、どちらにしろ約束した以上、話し合いくらいはやらないといけないですしね」


 軽く言う総司。


「そうね、ここで足踏みをしていても何も変わらないから」


 微笑む立花。


 絵里先輩は2人に後押しされるとニッコリと笑った。


「よ~しじゃあ進めちゃおうか!」


 いつもの様子に戻った彼女を見ると総司はつい口元が緩んだ。総司は視線を立花に向ける。


「そう言えば立花はそのリーダーの連絡先とか知ってたりするのか?」

「いえ、知らないわね。何分大きなギルドだったから知ってるのは名前だけよ」

「そっか、じゃあ名前は?」

「2年生の先輩で”桜木(さくらぎ)(しん)”という男性よ」


 アミックス・テラのリーダーはどうやら桜木進という名前らしい。総司が頭にその情報をインプットしている最中に絵里先輩が素早く反応した。


「桜木君!?」


 バッと立花を見つめる絵里先輩。


「知り合いですか?」


 絵里先輩はうんうんと頷く。


「中1の頃同じクラスだったの!」

「へ~……どんな人なんです?」


 尋ねる総司に絵里先輩は首を傾げた。


「う~ん……クール? 熱血?」

「どっちすか……」

「あんまり話したことは無かったからね~でも連絡先は知ってるよ!」


 (他人よりはマシって所か……)


「ちょっと連絡してみるね」


 絵里先輩はそう言うとスマホを打ち込み始める。それを見守る3人。

 絵里先輩は顔を上げると笑った。どうやら無事送信出来たようだった。


 その後はゲーム部4人はメールの返信を待つため。楓が買ってきたお菓子を食べたり、他愛の無い雑談で時間を潰した。


 部室がオレンジ色の光に照らされ、いつの間にか合併の話など頭から消えてしまうくらい話に夢中になっていると、微かな振動と共に絵里先輩の携帯が揺れた。

 それを絵里先輩が確認すると3人に画面を見せた。そこにはただ一言――


「明日16時に向かう」


 と書かれていた。

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