バッドドリーム
男性1人、女性1人、不問1人の3人用声劇台本です。
不問はセリフ数が少なめなので、兼役でも可です。
フリーでお使い頂けますが、使用される際連絡を頂けると喜んで聞きに参ります!
(所要時間25分)
キャスト
男
女
???・依頼人(不問、兼役する場合は???を女役が、依頼人を男役がされるとスムーズです)
男
「うわぁっ!」
女
「ちょっと、急に大声出さないでよ!
ビックリしたじゃないの!!」
男
「だ、だって…
俺が怖がりなの知ってんだろ!?
ったく、何でこんな事に…」
女
「森の中だもの、鳥の鳴き声の1つや2つあるでしょうよ。
いちいちビビらないでよね」
男
「帰りたいぃぃ…」
女
「だーめ!
早く帰りたいなら、アンタも依頼された物を見付ける手伝いしてちょうだい」
男
「そ、そういえば突然引っ張り出されたせいで聞きそびれてた。
その、依頼された物って何だよ?」
女
「あれ、言ってなかったっけ?
依頼された品は2つ。
1つは日記帳、もう1つは写ルンです」
男
「は?
何、写ルンですって」
女
「使い捨てカメラよ。
ほら、昔コマーシャルであったじゃない」
男
「あぁ…そんなのあったなぁ…
今でも売ってんのかな?」
女
「さぁ、デジカメの時代だしねぇ。
まぁでも、まだ売ってるんじゃないの?」
男
「っていうか、こんな山奥に住んでた人がいるなんて…
酔狂な人だな、その依頼主」
女
「あぁ、依頼主はその館の主じゃないのよ。
知人だってさ」
男
「知人?
んー、何でまたそんな依頼が…」
女
「分かんない」
男
「分かんないのかよ!」
女
「だって、相手と対峙して受けた依頼じゃないもの」
男
「どういう事だ?
もう少し詳しく教えてくれよ」
女
「昨日、1通のメールが届いたの。
依頼主は匿名で、この奥に残された洋館から日記帳と使い捨てカメラを探し出して欲しいってね」
男
「へぇ…いや、ちょっと待て…匿名!?
お前そんな怪しい依頼受けたのか!?」
女
「事態は急を要する。
報酬は言い値で支払う、ってさぁ」
男
「はっはーん」
女
「何よ」
男
「お前、さては金に目が眩んだな!?」
女
「我が探偵事務所の、明日の生活がかかっているのです!!」
男
「しょっぱい事情だった…」
女
「そんな訳で、いざゆかん!
明治よりそびえ立つ朽ちた洋館へ!!!」
???
「立ち去れ…」
男
「っ!?」
女
「ん、どうしたの急にキョロキョロして。
腰引けてるわよ?」
男
「い、今何か、聞こえなかったか!?」
女
「え?
別に何も聞こえなかったけど…
怖がり過ぎて空耳でもしたんじゃないの?」
男
「…空耳…かなぁ…」
女
「ホントは昼間に来たかったのに、アンタの仕事が終わるまで待ってたせいですっかり日が暮れたわね」
男
「別に俺を待たなくても良かったと思うんだけど…」
女
「流石に1人でこんな山奥に来るのは危ないでしょ?
熊でも出たらどうすんのよ」
男
「熊くらいなら、一撃必殺で倒せるだろ?」
女
「んな訳あるか!
っと、見えてきたみたい…
うわぁ…想像してたのより大きいわね…」
男
「蔦だらけだな…
でも、明治時代からの遺物にしてはそこまで荒廃してない様な…」
女
「あぁ、空き家になったのは割りと最近らしいのよ。
じゃ、早速探索開始ね!」
男
「あれ、鍵とかは?」
女
「施錠はされてないんですって。
見て!
あれ噴水じゃない?」
男
「ホントだ。
住人がいた頃はさぞかし…」
???
「立ち去れ…」
男
「ま、また聞こえたっ!
って、おい、置いてくなって!」
女
「お邪魔しまーっす!」
男
「躊躇なく入ってくとか、鋼の心臓かよ」
女
「ふわぁ〜、何これ、映画のセットみたい…
見て見て、シャンデリア!」
男
「なぁ、帰ろうぜ…」
女
「なーに言ってんのよ、ここまで来といて」
男
「さっきから変な声聞こえるし、寒気までしてきたんだけど…」
女
「だーかーらー、気のせいだって!
えーと…」
男
「気のせいで済む話じゃないっての。
つーかさ、こんだけ広い中から日記帳と使い捨てカメラ探すとか…マジで無理…」
女
「取り敢えず、右手からぐるっと巡ってみよ!
使い捨てカメラはともかく、日記帳って事は多分書斎的な部屋にあるだろうし、それらしい部屋探しましょ」
???
「ククク…」
男
「誰だ、さっきからっ!!」
女
「もー、また空耳?
あ、分かった、アンタそうやって私を怖がらせようとしてるんでしょ!」
男
「いや、お前聞こえないの?
今笑い声が…」
女
「だーかーらー、何も聞こえなかったよ?
えーと、ここはどうかな…んん…応接室って感じ…」
???
「先へ進むな…」
男
「また聞こえた…
なぁおい、先に進むなって…」
女
「なぁに、それ」
男
「俺が知るかよ…
ホンットにお前聞こえてないのか!?」
女
「全然。
先に進むな、ねぇ…」
男
「依頼主には悪いけどさ…今回は諦めないか?」
女
「嫌よ〜、だって報酬は言い値よ?
暫く生活安泰よ!?
毎日もやし生活しなくてもいいのよっ!?」
男
「そこまで切羽詰まってんのかよ…」
女
「ここ最近、脱走した猫を探してくれとか、汚部屋の掃除をしてくれとか、しょっぼい依頼しか来なかったんだもの」
男
「汚部屋の掃除って…何でも屋か!」
女
「そんな仕事でも受けなきゃならない位だったって事!」
男
「聞いてて切なくなってきた…」
女
「だから今回は!
是が非でも依頼をこなして明日から贅沢三昧するのよ!!」
男
「俺も薄給だから、養ってやれないしなぁ…」
女
「アンタに養って貰う程、私は落ちぶれちゃいないわよ!
ん〜、ここには無さそうね…次行きましょ」
男
「うう〜、分かったよ…
あれは空耳、あれは空耳…
よし、とっとと見付け出してここから抜け出すぞ!」
女
「やっとヤル気が出たみたいね!
さぁて、次はぁ…食堂、かな?
これまた大きなテーブルねぇ…」
男
「流石にここには無いんじゃないか?」
???
「消えろ…」
男
「あー、空耳空耳」
女
「うん、ここにも無さそうね。奥の厨房もあるとは思えないし…
あ、こっちはこれで行き止まりみたい。
一旦戻るわよ」
男
「あれ、こっちからは2階に上がれないのか?」
女
「階段らしきものは見当たらないわね…
正面ホールに階段があったでしょ?」
男
「こんだけ広いんだから、学校みたいに端にも階段あればいいのにな」
女
「ふむ、確かに…
分かった!
きっと隠し階段があるのよ!!」
男
「忍者屋敷かよ!」
女
「ま、そんな訳無いわよね!
…うーん、この階段も装飾が見事ねぇ…
昔観た豪華客船の映画みたい」
男
「実物でここまでのを見るのは俺も初めてだよ…
住人がいて、きちんと手入れされてたら圧倒されただろうになぁ」
女
「上がってみたいのは山々だけど、先に1階を探索しましょ。
こっちにはどんな部屋があるのかな〜?」
???
「ひ、き、か、え、せ…」
男
「あーもう、はいはい」
女
「何よ、呆れた風な返事やめてくれる?
さっきはヤル気出たみたいな事言ってたじゃないの。
舌の根も乾かぬ内にーー…」
男
「お前に言ったんじゃねーよ」
女
「また聞こえたの?
しつこいわね、その空耳」
男
「最初こそビビったけど、何かお前見てたら真面目に怖がるの馬鹿らしくなった」
女
「で、今度はなんて?」
男
「殆ど言ってる事は同じだよ、今度は引き返せってさ」
女
「ボキャブラリー貧困ね」
男
「お前、正体不明の声の主に対して手厳しいな…」
女
「私には全く聞こえてないし、どうでもいいけどさ。
その声の主はこの洋館から出て行って欲しい訳よね?」
男
「まぁ、そうだな」
女
「ここの主だった人かしら?」
男
「えっ、もしかして、亡くなって…るのか?」
女
「分かんない」
男
「また分かんないのかよ!」
女
「そこまでメールには書かれていなかったもの。
あ、でも明治時代の建物な訳だから、初代の主なら確実にこの世にはいないでしょうね」
男
「まぁそうだな…となるとーー…」
女
「やだ、ここトイレだったわ」
男
「うぉいっ!
話の途中なのに探索再開すんのかよ!」
女
「うるさいな〜。
とにかく私は、明日の美味しいご飯の為にこの依頼を迅速にこなさなきゃなんないの!
ボキャブラリー貧困な正体不明の声なんかどうでもいいの!」
男
「祟りとかあったらどうすんだよ…」
女
「祟りなんかより、光熱費の督促状の方がよっぽど怖いわよ!」
男
「請求書じゃなくて督促状って辺りが現状を推し量れるな…」
???
「気の毒だな…」
男
「ホントだよ、ここまでとは思わなかった」
???
「だが…これ以上先へ進むのは許さん…」
男
「荒らしたりはしないからさ、こいつに同情するんならちょっとだけ許してくれよ」
???
「同情はするが…いや、ダメだ…」
男
「頭硬いなぁ〜」
女
「ちょっと、アンタさっきから何1人で喋ってんの?
キモいよ」
男
「いや、だから声がさぁ…」
女
「はいはい、まぁいいわ。
んーと…ここは浴室か。
水周り関係しか無さそうね、こっちは」
男
「お前、よくズカズカ入れるなぁ…
心臓に毛が生えてるってこういう奴の事言うんだろうな」
???
「恐ろしい女だ…」
男
「全くだ」
女
「1階は多分これで全部見たわね。
じゃあ2階に行ってみましょ!」
男
「へぇへぇ、もうどうせ止めても無駄なんだろ?」
???
「待て…進むな…」
男
「俺に言われても…」
女
「とんとんとーんっと!
これ、ドレス着て上から降りてくるとか絵になりそうじゃない?」
男
「真っ暗で、唯一の光源が懐中電灯じゃなければなー」
女
「ホントよね。
この吊り下がったシャンデリアも、明かりが点いてたらさぞかし…ええっ!?」
男
「っ!!
ど、どうなってんだ!?
な、なぁ、ここって数年前に空き家になったんだったよな?」
女
「そうメールには書いてあったけど…
まぁ何にせよ、明かりが点いたんなら探索も簡単ね!
ほら、ボケーッとしてないでさっさと行くわよ!」
男
「お、おいっ!
…変な声は聞こえるわ、空き家の筈なのに突然照明が点くわ…どうなってんだ…?」
女
「キャーッ!!」
男
「なっ、おい、どうしたっ!?
何だ、今の物音は!?」
女
「えっ、これ、どうしたら…」
男
「この部屋か!
あれ、ドア開かないぞ!!」
女
「急に棚が倒れてドアの前に…どうしよう、そっちから開けられない!?」
男
「押しても引いてもビクともしないぞ!」
女
「私、ドアを開けたままにしておいた筈なのに…あ、ちょっと待って…」
男
「な、何だ!?」
女
「取り敢えずアンタは、どうにかしてこのドアを開けられないか頑張って!」
男
「はぁっ!?」
女
「ここ、どうやら書斎みたい…
もしかしたら、日記帳があるかもしれない。
探してみる!」
男
「ちょ、お前閉じ込められたって事態なのに何悠長な事ーー…」
女
「頼んだわよ!」
男
「お、おいっ!!
…マジかよ…何か使えそうな物…
くそっ!」
女
「取り敢えず、この部屋も明かりが点いてるから探し物をするのは容易ね。
はー…凄い蔵書の数…
この中に日記帳があるなら探し出すのは骨が折れるけど……うーん…
やっぱり怪しいのは、窓際の机ね。
日記帳、日記帳っと……引き出しかな?」
男
「おりゃっ!
…蹴ってもダメか…
ドアを破壊するしか無いな…斧とかあれば……って、そう都合良く斧なんてある訳…
うわっ!
だ、誰だっ!!」
女
「ビンゴ!!
日記帳ってコレかしら。
んん、でも鍵が付いてるのね…中身は確認出来ないみたい。
それにしても、依頼主は何で日記帳なんかを…」
男
「な、何だ…鎧かよ…
あービックリしたぁ…洋館で鉄鎧があるとか、ベタだなおい!
お誂え向きとばかりに斧持ってんな、コイツ…
き、急に動いたりとかしないよな…?」
女
「他には何か無いかしら?
あれ、何だろう、この鍵…あ、日記帳の鍵かな。
んん〜、ダメだ、全然鍵穴に合わないや…」
男
「ちょーっと、その斧お借りして、いっすか〜?
友人を助ける為にどうしても必要なんで…
って、何で俺こんな鉄で出来た空っぽの鎧に向かって下手に出てんだよちくしょう!
動くなよ!
俺は硝子のハートなんだバカ野郎!」
女
「写ルンですは無いみたいね。
他の部屋かな…
んもう、アイツ遅いわね…何やってんのかしら。
山奥過ぎて携帯電話も圏外だし…不便極まりないわね」
男
「よし、外れた!
っと、結構重いな…
………おーい、戻ったぞ!」
女
「どーお、何とかなりそう?」
男
「斧でこじ開けるから、ドアから離れてろ!」
女
「斧…そりゃまた随分物騒な物持ち出してきたわねぇ…
まぁいいわ、んじゃ宜しく!」
男
「行くぞっ!
よっ!とりゃっ!うらぁっ!!」
女
「おおっ、向こう側が見えてきた!」
男
「これでどうだっ!!
ふぅーっ…
よし、こんなもんか…
あーあ、随分デッカい棚だなこりゃ。
ほら、手ぇ貸してやるから…出れそうか?」
女
「うん、ありがと!
よいしょっと…」
男
「ん、それ…日記帳か?」
女
「あぁ、うん、多分。
鍵付きでね、中身は確認出来てないけど」
男
「あー、昔こういうの流行った事あったなぁ…
カメラは?」
女
「それらしい物は無かったわ。
他の部屋にあるのかも……あれ?」
男
「ん、どした?」
女
「どした、じゃないわよ…アンタ、どっか怪我したの?」
男
「へ?」
女
「アンタが持ってる斧…ち、血が…っ!」
男
「うわぁっ!!
な、何だこれ!!」
女
「ちょっと待って…血痕が、向こうの廊下に点々と続いて…!?」
男
「なっ…!!
…その向こうから…何か…聞こえないか…!?
カシャーン、カシャーンって…」
???
「ククク…ハハハハハ!」
女
「だ、誰っ!?」
男
「この声、さっきの!」
女
「に、逃げるわよっ!!」
男
「えっ、いいのか、カメラは!?」
女
「いいから早く!!」
男
「お、おうっ!」
間
依頼人
「いやぁ、有難うございました。
確かに、依頼した日記帳です」
女
「こちらで宜しかったんですね。
でもすみません、写ルンですは見付けられませんでした…」
依頼人
「いえいえ、この日記帳さえあれば事は足ります。
写ルンですは、ついででしたから」
女
「そうですか?
それなら良いんですが…」
依頼人
「えぇ、アレは存在してはならない物ですからね、元々処分するつもりだったんです。
見付からなかったという事は、きっと……ふふ」
女
「えっ…?」
依頼人
「本当に有難うございました。
報酬についてですが、こちらの小切手にお好きな額をお書きになって構いません。
では…失礼致します」
女
「あ、お待ち下さいっ!
………えぇっ、もう、いない…!?
一体、何がどうなってるの…」
男
「すみません、お待たせして!
…あれ、依頼主は?」
女
「帰った…みたい」
男
「みたいって何だよ。
あーもう、折角取っておきの高級茶葉使ったのに…
まぁいいや、急ぎの依頼とか言ってたもんな。
で、報酬の件はどうなったんだ?
マジで言い値で!?」
女
「あ、えーとね、この小切手にーー…あれっ?」
男
「…お前、頭でも打ったのか?
何も無いけど…」
女
「小切手まで消えたぁっ!?
嘘でしょ、今日から約束されていた優雅な生活はっ!?
美味しいご飯はっ!?」
男
「…………悪い夢でも見てんのかな、俺達…」
女
「嫌ーーーーーっ!!」
-end-
感想を頂けると喜びの舞を踊ります!